張先生の受験対策講座

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。
- プロフィール張 百々代(はり ももよ)
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精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。
第1回 ご挨拶
精神保健福祉士の受験生の皆さん、こんにちは。2023年度の精神保健福祉士国家試験の受験対策講座を担当させていただくことになりました張と申します。よろしくお願いいたします。
皆さんと一緒に、合格を目指してこの1年間、受験対策講座に携わることができますことを大変嬉しく思っています。
精神保健福祉士資格制度
精神保健福祉士の国家試験も、いよいよ26回目を迎えます。精神保健福祉士の資格の誕生の経緯を顧みるとき、精神障害者の権利を護るために奮闘を重ねてきた諸先輩の実践に、胸が熱くなります。
精神保健福祉士資格の誕生後も、時代の変化とニーズの多様化、業務範囲の拡大、新たな社会的変化への対応のために、真摯に向き合い、研鑽と実践を丁寧に積み上げ続けてきた諸先輩の働きによって、精神保健福祉士という資格は、社会の中で大きな信頼を勝ち得てきました。このような素晴らしい資格に挑戦しようとしておられる皆さんに心からの敬意を表します。
精神保健福祉士養成カリキュラムの変遷
今までの試験を振り返ると、第11回までの旧カリキュラムによる試験、第12回以降の新カリキュラムによる試験と、試験科目や内容も大きく変化してきました。
そして、1年後の2024年度(第27回)試験からは最新カリキュラムによる試験が実施される予定です。最新カリキュラムの試験になると、今までのカリキュラムで学んできた受験生の皆さんは学習していない内容も出題されます。何としても今回の第26回試験で合格しておくことをおすすめいたします。
このように、教育内容が時代の節目に応じて大きく改定されるのは、精神保健福祉士の資格制度が創設されて以来、精神保健福祉士に対する社会のニーズが大きく拡大してきていることによるものです。
高い志の実現のために
今まで、多くの精神保健福祉士の受験生の皆さんとかかわらせていただいて強く感じているのは、受験生の皆さんの高い志です。精神障害者に対する深い共感と、社会に山積する様々な精神保健福祉に関する諸課題への深い洞察、そしてそれらに先駆的に取り組んでおられる実践力です。
自らの知識と技術を高め、社会の課題を敏感に感じ取り、課題を抱える精神障害者に寄り添い、その権利を護り、精神障害者の方々の日々が輝きに満ちたものとなるようにと、資格取得を目指している多くの受験生に出会い、その志の高さと熱意に多くのことを教えていただいてきました。このような皆さんの資格取得のために、少しでもお役に立たせていただきたいという思いを、年々強くしています。
精神保健福祉士の国家試験と受験対策
精神保健福祉士の国家試験は、専門科目6科目、共通科目11科目、合計17科目であり、科目数の多さと1科目あたりの出題範囲の広さに、どのように勉強していったらよいのか、漠然とした不安を感じておられる方が多いようです。
受験生の皆さんの中には、現役の大学生の方、受験資格取得のために養成校に通学されている方、現場ですでに活躍しながら通信教育でレポート提出に追われている方等、様々な立場の方がおられると思います。置かれている環境や立場は異なりますが、共通している一番の課題は、学習時間の確保の困難さと、膨大な学習量内容のどこに焦点を絞って学習したらよいのかということではないでしょうか。
精神保健福祉士の国家試験は、単なる暗記力ではなく、これから精神保健福祉士として実践していくための、人間や社会に対する深い洞察と幅広い知識を習得することが求められます。限られた学習時間の中で、効率よくこれらをご自分のものとしていただけるように、この講座が多くの受験生の皆さんにとって、少しでもお役に立つことができればと心から願っています。
第25回試験結果
第25回精神保健福祉士国家試験は、例年通り、基礎的な知識とそれを実践に活かしていく応用力を問う、出題基準に沿ったバランスのよい出題でした。出題形式も例年通り、五肢択一問題と五肢択二問題で構成されており、出題内容も過去の出題傾向とそれほど大きな変化はみられませんでした。
受験者数は7024 人で、前回に比べ522人の増加、合格者数は4996人で、前回に比べ729人の増加でした。合格率は71.1%で、前回の65.6%に比べ、5.5%の上昇となりました。

合格ラインは、全科目受験の場合、総得点163点に対し得点95点以上で、昨年の101点に比べると6点下がりました。専門科目だけの場合は、総得点80点に対し得点49点以上で、昨年の47点に比べると2点上がりました。
全体を概括すると、共通科目は難易度として、第24回と同程度の取り組みやすい問題が多いという印象を受けました。専門科目も、過去問を踏まえた問題が多く、受験生を落とそうとするような問題はあまり見受けられませんでした。
長文事例問題では、近年の傾向に沿って、実践的な内容が多くなっていました。今後は、社会の中で精神保健福祉士に求められる役割に関して、一層具体的な出題になっていくことが考えられます。社会的なニーズを背景に、精神保健福祉士としての包括的な力量が問われる傾向が強くなってきていますので、学習の際は、いつも具体的な状況をイメージしながら、広い視野で学習を進めていくとよいでしょう。
合格のための近道
受験生の皆さんは、精神保健福祉士の国家試験の出題範囲の広さと学習量の多さに不安を抱えているかもしれません。今後の学習でも時間との戦いの中で、時には壁にぶつかり、時には自信を失うこともあるかもしれません。そのようなときも、着実な学習を積み重ねていくことによって、不安は必ず自信に変わっていきます。合格のための一番の近道は、1日1日、着実に努力を積み重ねていくことです。
最初はばらばらな知識であっても、学習を進めていくと、17科目が相互に関連をもっており、一つひとつの知識がすべて関連していることに気づいてきます。そうなると、全体を見通すことができるようになり、学ぶことの楽しさを体験できるようになります。
限られた時間の中での学習は、不安と困難を伴うと思いますが、学ぶ苦しみを乗り越えていくと、学ぶ楽しさを体験できるようになります。不安が自信に変わり、困難が喜びに変わるという体験をしていただけるよう、この講座を大いに活用してほしいと思っています。
合格を目指して
第25回試験の発表以来、受験生から、次々に合格の知らせが届いてきます。一人ひとりの顔を思い浮かべながら、言葉にならない感慨でいっぱいになります。時には不安と限界に押しつぶされそうになりながら必死で取り組んできた方、理解が深まってきた時の喜びに満ちた表情、苦しい学習の中、ひたすら自分を信じて最後まで粘り切って栄冠を勝ち取った方、そのようなお一人お一人に、惜しみない拍手を送りたいと思います。
けれども0点科目やケアレスミスなどで惜しくも無念の涙をのんだ方、体調などの理由で実力を十分発揮できなかった方もおられたことでしょう。今回合格を逃した方も今までの積み重ねは大きな力となり必ず報われます。ぜひ再チャレンジして、共に合格の栄冠を勝ち取っていきましょう。
これからの受験までの1年間、学ぶことの喜びを味わっていただき、皆さんの無限の可能性が最大限に発揮されて合格を勝ち取ることができるよう、全力で応援していきたいと思っています。
この講座は、毎週火曜日に更新されます。受験までの長い道のり、学習に不安を覚えることもあることでしょう。この講座では合格のために、様々な角度から学習のポイントを紹介し、最後まで皆さんに伴走していきたいと思っています。
次回は、受験のための具体的な学習方法と本試験までの学習計画の立て方を中心に、第26回試験の受験対策を考えていきます。合格を目指してこれから1年間、一緒に頑張っていきましょう。
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