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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、地域や学校、介護サービス事業者・施設の研修講師・アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員、特別養護老人ホームの施設長等に携わる。介護福祉士や社会福祉士、介護支援専門員などの受験対策講座も数多く行っている。

第45回 第32回介護福祉士国家試験・筆記試験を振り返って(後半)

 こんにちは。今回は、「午後」の問題を振り返ります。なお、解答については、こちらをご覧ください。

発達と老化の理解

 本科目は、介護の原因となる老化や、老いて患う病気・障害などの知識が問われます。その中で今回は、加齢に伴う嚥下機能の低下の原因(喉頭挙上の不足)、老年期の記憶と注意機能(複数のことを同時に行う能力は、加齢によって低下する)、心不全が進行したときに現れる症状(チアノーゼが生じる)、高齢者の栄養状態を良好に維持するための対応(歯科健康診査を受ける)、糖尿病の高齢者の転倒・骨折・入院治療後に再び自宅療養を続けるための専門職の役割(介護支援専門員〔ケアマネジャー〕は、訪問リハビリテーションの利用を提案する)などについて、出題されました。
 少々難しく感じたかもしれませんが、学習と現場経験とを踏まえて、1問でも多く、正答できていればと思います。また、本連載の第43回で助言した、「正しいもの(適切なもの)を1つ選べ」という問題形式に対して、「正しいもの(適切なもの)を1つ探すとともに、誤っているもの(適切でないもの)を4つ消す」ことで、正解を導くことができましたでしょうか。
 なお、「高齢者」とは、65歳以上を指すことを、知っておいてください。

認知症の理解

 認知症の行動・心理症状(BPSD)(昼夜逆転が生じる)、認知症の初期症状(正常圧水頭症では、歩行障害が認められる)、認知症の発症リスクを低減させる行動(集団での交流活動に参加する)、抗認知症薬(症状の進行を完全に止めることはできない)、前頭側頭型認知症の症状のある人への対応(常同行動がある場合は、本人と周囲の人が納得できる生活習慣を確立する)など、認知症の原因疾患別の特徴や、認知症に関する知識・技術が、アルツハイマー型認知症などに関する事例問題とともに、出題されました。
 本科目では、前述以外にも、認知症に関連する様々な事柄が出題されます。認知症と間違えられやすい、せん妄は、薬剤によって生じることがあります。また、2025(令和7)年の認知症高齢者数は、約700万人と推計されているのですね。

障害の理解

 上記2科目が、およそ介護保険法の利用者を想定しているのに対して、本科目では、障害者総合支援法の利用者において、介護の原因となっている病気・障害などの知識が問われます。今回は、痙直型や不随意運動型(アテトーゼ型)などの分類がある疾患(脳性麻痺)、内因性精神障害に分類される疾患(統合失調症)、自閉症スペクトラム障害の特性(社会性の障害)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)(視力や聴力は保たれる)などについて、出題されました。
 また、本科目では、前述以外にも、障害に関連する様々な事柄が出題されます。今回は、障害者差別解消法(共生社会の実現を目指している)、施設入所支援を利用している重度の知的障害者が地域移行するときの社会資源(共同生活援助〔グループホーム〕)、制度化された地域の社会資源(民生委員が行う相談・援助)などについて、出題されました。障害に関して幅広く出題される科目ですが、何問くらい、正答できましたでしょうか。
 糖尿病性網膜症による失明に関する事例問題として出題された、障害受容の5つの心理過程も、大事な知識です。

こころとからだのしくみ

 こころとからだのしくみも、学習範囲が広く、難しく感じる科目です。今回は、こころのしくみからは、マズローの欲求階層説(好意がある他者との良好な関係は、所属・愛情欲求に相当)について、出題されました。からだのしくみからは、皮膚の痛みの感覚を受け取る大脳の機能局在の部位(頭頂葉)、爪や指の変化とそこから推測される疾患・病態との組み合わせ(さじ状爪―鉄欠乏性貧血)、口臭(他者との交流を避ける原因となることがある)、高齢者の大腿骨頸部骨折(リハビリテーションを早期に開始する)、摂食・嚥下のプロセス(先行期は、唾液分泌が増加する)、正常な尿(排尿直後は淡黄色で透明である)、弛緩性便秘の原因(食物繊維の摂取不足)、抗ヒスタミン薬の睡眠への影響(夜間に十分睡眠をとっても、日中に強い眠気がある)、死亡直前にみられる身体の変化(下顎呼吸の出現)などについて、出題されました。
 本科目は例年、「発達と老化の理解」や「生活支援技術」など、他の科目で学んだ事柄を組み込んだ出題が見られます。テキストなどでの学習と、現場経験とを結びつけながら、1問でも多く正解にたどりついていればと思います。

医療的ケア

 第29回から始まり4回目の出題となった本科目は、いかがでしたでしょうか。
 介護福祉士が医師の指示の下で行う喀痰吸引の範囲は「咽頭の手前まで」。2011(平成23)年の社会福祉士及び介護福祉士法の改正に基づいて、介護福祉士による実施が可能になった喀痰吸引等の制度として「喀痰吸引等を行うためには、実地研修を修了する必要がある」。鼻腔内吸引を実施したところ、吸引物に血液が少量混じっていたときの対応として「鼻腔と口腔の中を観察する」。口腔内・鼻腔内の喀痰吸引に必要な物品の管理として「吸引物は、吸引びんの70~80%になる前に廃棄する」。経管栄養の実施時に、冷蔵庫に保管していた栄養剤を指示どおりの温度にせずにそのまま注入したときに起こる状態は「下痢」といった、医療との密な連携を必須とした、医療的ケアにかかる知識や技術、留意点などについて、テキストや本連載記事などによる学習、実務者研修等での演習などを思い起こしながら、冷静に正解を導いてくださっていれば何よりです。

総合問題

 在宅あるいは施設で生活する利用者に関する4つの事例について、12科目の学習や、実務経験で身につけた知識、技術、理念などをふまえて、正答できましたでしょうか。
 今回は、事例を通して、脳梗塞の一種であるラクナ梗塞、アルツハイマー型認知症、統合失調症、関節リウマチの特徴や症状と、その介護に関する知識や技術などが、出題されました。あわせて、介護保険制度下の介護予防サービス・支援計画書の作成者(地域包括支援センターの主任介護支援専門員)、介護老人福祉施設の生活相談員が作成した基本情報の記録(フェイスシート)、精神障害者本人の同意が得られず家族の同意で入院した場合の形態(医療保護入院)、障害者総合支援法で電動車いすを購入するときに利用できるもの(補装具費)などについて、出題されました。

 ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
 受験において、結果は確かに大事ですが、現場の仕事をわかりやすく、おもしろく、やりがいをもって続けていくために、受験を通して積み重ねた学びを、活かされることを願ってやみません。

 これからも一緒に取り組んでいきましょう。