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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

社会福祉法人ケアネット やよいほうむ 施設長。
社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービス、居宅介護支援事業等に従事。その後、フリーでの活動を経て、現職では、特別養護老人ホーム、ショートステイ、デイサービス、小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援事業を統括。介護福祉士や介護支援専門員、社会福祉士の受験対策講座なども行っている。 (介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員)

第45回 第31回介護福祉士国家試験・筆記試験を振り返って(後半)

 こんにちは。今回は、「午後」の問題を振り返ります。なお、解答については、こちらをご覧ください。

発達と老化の理解

 本科目は、介護の原因となる老化や、老いて患う病気・障害などの知識が問われます。その中で今回は、加齢に伴う身体機能の変化(味覚の感受性が低下する)、尿失禁(トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを、切迫性尿失禁という)、高齢者の疾患と治療について(薬剤の効果が強く出ることがある)、高齢者の便秘(腹筋の筋力低下は、原因となる)、変形性膝関節症の利用者における日常生活の留意点などについて、出題されました。学習と現場経験とを踏まえて、1問でも多く、正答できていればと思います。
 なお、エイジズムとは、年齢に対する差別や偏見を指します。高齢者に対して、「(年をとると)頑固な性格になる」といった見方が、該当します。

認知症の理解

 加齢による物忘れと比べたときの、認知症による物忘れの特徴(物忘れの自覚はない)、認知機能障害について(失行では、洋服をうまく着られなくなる)、軽度認知障害について(記憶力の低下の訴えがある)、抗認知症薬について(副作用として悪心や下痢が生じることがある)、認知症の原因となる疾患と特徴的な行動・心理症状など、認知症の原因疾患別の特徴や、認知症に関する知識・技術が、事例問題とともに、例年どおり出題されました。少々難しく感じたかもしれませんが、得点できましたでしょうか。
 この科目では、前述以外にも、認知症に関する様々な事柄が出題されます。介護保険制度における要介護者の、介護が必要となった主な原因の構成割合のうち、最も多いのが、認知症なのですね。また、認知症サポーターは、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、認知症の人を支援します。

障害の理解

 上記2科目が、およそ介護保険法の利用者を想定しているのに対して、本科目では、障害者総合支援法の利用者において、介護の原因となっている病気・障害などの知識が問われます。今回は、対麻痺を生じる疾患(腰髄損傷)、統合失調症の特徴的な症状(妄想)、知的障害の特徴(てんかんの合併率が高い)、網膜色素変性症の初期症状(夜盲)、関節リウマチの人の日常生活上の留意点(身体を洗うときはループ付きタオルを使う)などについて、出題されました。障害に関して幅広く出題される科目ですが、何問くらい、正答できたでしょうか。
 また、障害者分野から台頭した、ノーマライゼーションの理念における、ニィリエがまとめた8つの原理や、リハビリテーションにおける、医学的リハビリテーションなど世界保健機関(WHO)による定義は、大切な知識といえます。障害受容の5つの心理過程のうち、最初の段階は、ショック期ですね。

こころとからだのしくみ

 こころとからだのしくみも、学習範囲が広く、難しく感じる科目です。今回は、こころのしくみからは、ライチャードによる老年期の性格類型(円熟期は、年を取ることをありのまま受け入れていく)、キューブラー・ロスの死に関する5つの心理過程について、出題されました。からだのしくみからは、臓器とその機能の組み合わせ(肝臓―グリコーゲンの貯蔵)、唾液腺と唾液(唾液には抗菌作用がある)、排便の仕組み(排便時には、外肛門括約筋を意識的に弛緩させる)などについて、出題されました。なお、良肢位とは、ADL(日常生活動作)に最も支障が少ない姿勢のことをいいます。
 本科目は例年、「発達と老化の理解」や「生活支援技術」など、他の科目で学んだ事柄を組み込んだ出題が多く見られます。テキストなどでの学習と、現場経験とを結びつけながら、1問でも多く正解にたどりついていればと思います。

医療的ケア

 前々回から始まり3回目の出題となった本科目は、いかがでしたでしょうか。
 スタンダードプリコーション(標準予防策)において、感染する危険性のあるものとして取り扱う対象は「唾液」。喀痰吸引の実施が必要と判断された利用者に対して「食後の吸引は避ける」。気管切開をして人工呼吸器を使用している人の喀痰吸引において「吸引を終了した後は、人工呼吸器の作動状況を確認する」。胃ろうによる経管栄養の実施手順として、栄養剤を利用者のところに運んだ後の最初の行為は「本人であることの確認」。イルリガートル(注入ボトル)を用いた経鼻経管栄養では「栄養剤の液面は、胃から50cm程度高くする」といった、医療との密な連携を必須とした、医療的ケアにかかる知識や技術、留意点などについて、テキストや本連載記事などによる学習や、実務者研修等での演習などを思い起こしながら、冷静に正解を導いてくださっていれば何よりです。

総合問題

 在宅あるいは施設で生活する利用者に関する4つの事例について、12科目の学習や、実務経験で身につけた知識、技術、理念などをふまえて、正答できましたでしょうか。
 今回は、事例を通して、脳出血による左半身不全麻痺・白癬、レビー小体型認知症、腰髄損傷による両下肢麻痺・うつ病、脳性麻痺と、その介護に関する知識や技術などが、出題されました。あわせて、介護支援専門員(ケアマネジャー)が招集した会議(サービス担当者会議)、養護老人ホームにおける介護保険サービス(特定施設入居者生活介護)、障害児入所施設の根拠となる法律(児童福祉法)などについて、出題されました。

 受験において、結果は確かに大事ですが、現場の仕事をわかりやすく、おもしろく、やりがいをもって続けていくために、受験を通して積み重ねた学びを、活かされることを願ってやみません。
 これからも一緒に取り組んでいきましょう。