馬淵先生のケアマネジャー受験対策講座
ケアマネジャー試験で出題される介護支援分野、保健医療サービスの知識等、福祉サービスの知識等の3分野の中から厳選した〈必ず知っておきたいテーマ〉を解説しています。 講師はケアマネ試験対策のプロ・馬淵敦士先生。いっしょに合格を目指しましょう!
要介護・要支援認定の流れ
今回のテーマは、「要介護・要支援認定」です。出題される可能性はかなり高いので、必ず理解しておきましょう。今回は「全体の流れ」についてお話しします。
保険事故とは
保険給付を受けるための要件が「保険事故」である
「69歳の父(第1号被保険者)が車いす状態になり、この状態なら介護保険のサービスが使えそうなので、明日から訪問介護を利用したい」
このような相談を受けた場合、みなさんならどう返事をしますか?
「車いす状態だし、介護が必要になるから、訪問介護が使えるのではないか?」
と思ってしまいがちですが、厳密にいうと、こうした状態になっているという事実だけでは介護保険のサービスを使う(保険給付を受ける)ことができません。
保険給付を受けるためには、その要件を満たさなければなりません。それを保険事故といいます。例えば、自動車保険では、「車がぶつかり故障した」「人にけがをさせてしまった」ということが保険事故に該当します。自動車保険の場合は、自動車事故=保険事故になるのでわかりやすいのですが、介護保険の場合は少し異なります。
介護保険の保険事故=要介護認定もしくは要支援認定を受けることとなります。そのため、介護保険では「車いす状態になる」と「介護保険のサービスを受けることができる」はイコールにならず、通常は若干のタイムラグが発生します。

スタートは「申請」から
介護保険サービスを利用する(保険給付を受ける)意思を示す
被保険者が車いす状態になったからといって、自動的に要介護認定されるわけではありません。介護保険では、保険給付を受けたい人が申請をする仕組み(申請主義)になっています。冒頭の例のように「訪問介護を利用したい」のであれば、その意思を示さなければなりません。これが申請(要介護等認定申請)です。
申請は保険者である市町村に対して行います。申請書には定められた様式があり、2022(令和4)年4月1日からは医療保険者番号記入欄等が増えるなどの変更がなされました。
認定調査を受ける
認定調査員が居宅を訪問して行う
申請が受理されると、認定調査員が申請者の居宅等を訪問します。そこで申請者は74項目について質問を受けることになります。認定調査票の基本調査項目は下記の7分類となります。
1.身体機能・起居動作に関連する項目
2.生活機能に関連する項目
3.認知機能に関連する項目
4.精神・行動障害に関連する項目
5.社会生活への適応に関連する項目
6.特別な医療に関連する項目
7.日常生活自立度に関する項目
基本調査項目は過去に出題されたことがありますが、試験対策として積極的に覚える必要はありません。
基本調査項目をコンピュータに入力すると一次判定が示されることになります。
一次判定から二次判定へ
「特記事項」と「主治医意見書」をあわせて精査する
コンピュータで算定された一次判定の結果だけでは、被保険者の状態を適正に評価できない場合があります。そのため、認定調査員は基本調査項目とあわせて特記事項を認定調査票に記載します。特記事項は文章で記載されるため、コンピュータによる一次判定には反映されません。
さらに、市町村は医学的見地の意見を求めるため、被保険者の主治医に主治医意見書を提出してもらいます。この内容もコンピュータでは処理できない情報です。ちなみに、主治医意見書は、市町村が主治医に請求するため、被保険者が主治医にお願いして書いてもらう必要はありません。
審査・判定は介護認定審査会が行う
このように特記事項や主治医意見書の内容は人の手を介さないと適正な評価は行えません。そこで、市町村は介護認定審査会という合議体を設置します。介護認定審査会で会議を開いて審査・判定を行うのが二次判定です。
市町村から被保険者に通知される
二次判定で示された結果は市町村に伝えられます。そして、最終的に保険者である市町村が「要介護認定・要支援認定」を行い、申請した被保険者に通知します。
申請から通知までの流れ
今までのお話を時系列にまとめたのが次の図です。まずは「全体の流れ」を理解しましょう。文章だけではイメージしにくい部分がありますので、みなさんもぜひこのような図表を活用してみてください。

次回は「申請」「認定調査」についてさらにくわしい内容と、認定有効期間など、認定について覚えておきたいことについてお話しします。
まとめ
この項目は、年度によっては試験に複数問出題される重要な部分です。まずは全体の流れを理解してから細かい部分に着目すると理解が進みます。また、あまり細かい部分まで覚えようとしないというのもコツです。過去問解説集を使いながら試験に出たところを中心に勉強を進めていってくださいね。

馬淵敦士(まぶち あつし)
ベストウェイケアアカデミー学校長。介護福祉士、ケアマネジャーの受験対策講座を各地で開催し、アカデミー受講者の合格率は全国合格率を大幅に上回る。『ケアマネジャー試験過去問解説集』(中央法規)の代表執筆を務める。
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