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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2020年の合格率が17.7%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。


第28回 介護支援専門員実務研修受講試験の講評 

皆さん 受験お疲れさまでした!

 皆さん、先日はケアマネ試験の受験お疲れ様でした。まずは一区切りといったところでしょうか、合格発表の12月2日(木)までがドキドキで落ち着かない毎日ですね。
 いろんなサイトで合格基準点の予想が出て、「けあサポ」はもちろん、どの解答速報もほぼ同じ解答ですから、正答は確定したと判断してよいかと思います。ただし合格基準点は全国の全受験者の採点結果が出たところで試験委員会が判断しますので、セミナー等の講師をやった手前、根拠のない合格基準点の情報を示すのは控えたいと思います。
 厚生労働省の発表によると今回の受験者は、54,334人とされています。受験資格の改正が行われた第21回(2018年)の49,332人や、昨年のコロナ禍での試験の46,415人から比べると増加傾向にあります。


第24回ケアマネ試験の試験講評について

 そうしたなかではありますが、10月10日(日)に実施された試験問題について、講評をしてみたいと思います。
 第24回の試験に対しては、受験のためのテキストとなる「介護支援専門員基本テキスト」が改訂され、九訂版となりました。執筆者も新しい方が加わり、内容が一新された部分も多いのですが、試験問題の傾向はどのようになったのでしょうか。早速みていきましょう。

 まず問題全般について、一通り解いてみて感じたのは、非常にオーソドックスで法律や基本テキストに正解の根拠を見つけ出すことができる、良い問題が多かったということです。第23回試験と比較して、問題文が短文化する傾向が顕著になっていたのも原因かもしれませんが、全般的に易しい問題が多いように感じます。
 介護支援分野は、依然として問題の出足から「えっ!」と驚かされる問題1から問題5でしたね。私の講座でも「問題1からはやらない。問題24の事例問題から解きましょう」なんていいましたが、今回はなんと「解きやすい事例問題」が3問の出題でした。現場をイメージして、介護支援専門員ならば「何をどうするのか」を考えれば正答が導かれる問題が3問ありましたし、ケアマネジメントに関する問題も易しい問題でしたね。さらに問題7、問題8、問題9などは、非常に素直で「サービス問題」かなぁと思ってしまいました。
 あっ補足しますが、最初の5問についても、基本テキストでしっかり理解していたら、そんなに難易度は高くない問題でしたよ。
 今年の問題を解いてみて、数年前までの試験はどうしてこんな問題を出題するのか、介護支援専門員としての基礎知識とは何なのかと、さんざん文句を言ってきた私にとって、今回の試験問題の作問者には、やっと気づいてくれたのかと感謝したいくらいです。
 私も一人でも多くの合格者を出していただきたいと考えているのですが、なぜか出題されていた「宝島」(要介護認定等の審査判定基準 p.79 認定調査票の基本調査の項目 p.76 主治医意見書の項目 p.78)からの出題は今回全くありませんでした。こうしたことから介護支援分野は、基本テキストや基礎的なことが理解できていたら得点しやすい問題が多かったと思います。
 一方で、なぜこんな問題が出たのというものもあります。例えば問題15は、作問者の意図が知りたいですね。(笑)
介護サービス情報の公表制度についての出題はこれまでもあるのですが、「居宅介護支援に係る公表制度」とか、サービスを指定しての出題は初めてでした。しかしながらケアマネの事業所が何をするところかがわかっていれば、直接関係のない「ターミナル」や「身体的拘束」は外せられるので、落ち着いて考えれば解けますけどね。

 保健医療サービス分野では、高齢者に対する医療知識として必要な知識が出題されます。高齢者に多い疾病(白内障、誤嚥性肺炎、骨折、褥瘡、心不全、骨粗しょう症、糖尿病など)に関する問題では、どの選択肢も専門的というよりは、「浅くて広い知識」、介護支援専門員として知っておくべき最低限の知識だったので、過去問を繰り返し解いておくことで対応可能だったかもしれません。また、バイタルサインや検査数値などの問題も同様に、過去問で対応可能でしたね。
 問題29と問題30は「介護技術」としての排泄や睡眠、口腔、ヒートショックなどの基本的な問題でしたね。問題31は幅広い認知症の施策についての出題で難しい問題かもしれませんね。その他、事業所・施設の問題では、例年通り「訪問看護、介護老人保健施設、介護医療院、看護小規模多機能型居宅介護、訪問リハビリテーション」とまんべんなく出題されました。こうした状況から、保健医療サービスの問題20問は、非常に素直で、問題をあえてひねったりもせず、ストレートな直球勝負の問題であったと思います。基本テキストや過去問をやっておけば通用する問題といってよいかもしれません。
 特に、基本テキストに介護報酬についての掲載がなくなったのが原因でしょうか、いつも出題される「介護報酬の加算や減算問題」の出題がなくなったことで、素直な問題になっていると思います。

 福祉サービス分野では、ソーシャルワークに関する出題と高齢者に関連する制度としての生活保護制度、成年後見制度、生活困窮者自立支援法などは極めてオーソドックスな出題ですね。ソーシャルワークとは何か、コミュニケーション技術、地域援助技術などの問題も基本的な問題で得点可能な範囲です。また介護保険で給付される福祉サービスに関する出題については「訪問介護、通所介護、訪問入浴介護、短期入所生活介護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護、介護老人福祉施設」などはほぼ定番といった出題でしたね。「福祉用具貸与と入れ替わったのが住宅改修」でしたが、前述した通り介護報酬に関する基本テキストの掲載が削除されたため、「算定、加算、減算」という言葉がなくなり、基準やサービス内容の選択肢が増えています。私の試験の講評で、毎年のように、『出題意図は、サービスの内容と利用対象者のマッチングのためにサービス内容の理解が大切なのに、介護報酬請求事務的な問題が多い感じがする』と書き続けたのが反映されたことはとてもうれしいです。(笑)

介護支援分野の問題を分析してみます

 そうしたなかで、私の担当してきた介護支援分野を分析してみたいと思います。先ほどもお話したように、詳細な内容を問う問題が多い介護支援分野となりました。

 しかしながら、やはり問題1と問題2は、受験者をいきなり呪いにかけるような難問ですね。問題1についてみれば「2020年の法改正」について、改正の歴史を聞いて何になるのでしょうか? いきなりの出題でまさしく呪文ですね。問題2は基本テキストで介護保険の実施状況が更新したデータになりましたし、少しページ数も増えたので、出題される可能性は感じていたのですが、「給付費は、約14兆円」などは知らなければ迷いますよね。正答は「約10兆円」p.36です。過去問では、ここは介護保険法第〇条の指定席なのに…と思っていたのにとダメージを受け、問題を解き進めると問題5で「介護保険法第4条」に遭遇し、「ここにあるじゃん」となる。いつもと違うところに配置しても、法律に関する問題、第1条、第2条、第4条は、定番のようですね。(笑)
 問題3は「社会保険」はテキストの記載通りです。選択肢3の「原則、公費」なら保険料の負担はいりませんよ、あと強制適用ですから社会保険。基本的な問題ですね。
 問題4は、被保険者の中でも「第2号被保険者」の問題ですね。被保険者となる要件、要介護認定となる特定疾病、保険料徴収方法、地域支援事業には充当しない、特養の入所要件など選択肢全てによくまとめていただけました。被保険者の問題は近年出題されにくくなっていましたが、総合的にまとめての出題、お見事と言わざるを得ません。ありがとうございます。問題5は、法条文の問題です。第5条の記載も選択肢にありますが、テキストでしっかり押さえているのでこの問題も易しかったのではないでしょうか。
 そして、今回の介護支援分野では難問の1つ問題6ですね。「市町村の事務・責務」か「都道府県の事務・責務」かという問題がこれまでだったのですが、条例に定める事項としての出題です。私の講座でも「公務員試験ではないのに、ここが出ます」とお話ししましたが、基本テキストp.58にまとめられていますので、必ず見ておいてくださいとお願いした部分でしたね。「保健福祉事業」で迷わされた方、p.164にそんなことまで書かれていませんよね。
 問題7から問題9は、キホンの「キ」ともいうべきサービス問題ですね。消去法でもいけますね。
 問題10はいきなりの「介護支援専門員」問題です。なんかノスタルジックな問題で、第1回試験合格者の私にとっても懐かしい雰囲気の問題でした。ありがたい問題です。
 問題11は、「財政安定化基金」で選択肢5つの問題です。過去問では、繰り返し選択肢の一つとして見かけたものをまとめての出題です。都道府県に1つ、財源は1/3ずつ、第1号被保険者の保険料で市町村分を負担など基本的事項の問題です。
 そして、問題12は、「保険財政の問題」ですね。「調整交付金」が特別と普通に分けられていますが、特別は災害時の保険料減免等の特殊事情のもので、後期高齢者の割合などで傾斜的に交付されるのが、普通調整交付金です。「調整交付金」に偏った誤り問題でしたね。
 問題13は「市町村の介護保険事業計画」問題ですね。これまでは、国の基本指針や、都道県の介護保険事業支援計画などと選択肢を混在させる問題が多かったので、市町村計画の純粋問題は久々です。しかし正答を選ぶのは基本テキストp.166にある内容を理解していれば可能ですが、選択肢4は、ひっかけ的な「過去の実績」がありますね。ここは「見込み」ですからね。
 問題14は「地域支援事業」の問題ですね、そのなかでも必須事業の「介護予防・日常生活支援総合事業」の基本的問題です。
 問題15は「公表制度の問題」ですが、前述した通り「居宅介護支援」とサービス種別を絞っての出題です。問題6と同様に難問に扱われるかもしれませんが、ケアマネ事業所がどんな業務をするのか、ある意味では居宅介護を支援する役割なので、居宅介護サービスを直接提供しないと冷静に考えれば、根拠よりも雰囲気で正答が選べる気がしますが、気がかりな問題だったかもしれません。問題15の正答は、「ターミナルケア」と「身体的拘束」を除いた、「1.2.5」が正解です。安心してください!
 問題16から問題18は「要介護認定」に関する問題です。いつも3問程度の出題ですが、今回は定番の「要介護認定等の審査判定基準 p.79 認定調査票の基本調査の項目 p.76 主治医意見書の項目 p.78」といった詳細な項目問題が出題されなかったことが意外でした。来年以降はどうするんですかね。3問の選択肢全て基本テキストと過去問で解けますね。
 問題19から問題22は、ケアマネジメントに関する素直な問題4問ですね。私が「ケアマネの試験に出題する意味はあるのか」と文句を言っていた「介護予防支援」は出題されませんでした。相変わらず、選択肢の文章が長いですね。長い理由は不適切と指摘されないための安全策だと思われます。基本的な内容ですから、味わって選択肢の文章を読んで間違えないようにしたいところですね。
 問題23から問題25は「事例問題」ですね。生活保護のAさん、一人暮らしのAさん、高齢者世帯のAさんと、全て「Aさん」というのもびっくりしましたが、3問も出題されたのは本当にいつ以来のことでしょうか? 事例問題が1問の時もあったのですが、今年は「大盤振る舞い」でした。昨年は入所中のターミナル対応、ヤングケアラーの新しい視点での事例でしたが、以前のオーソドックスな事例問題に戻った感があります。
 「介護支援専門員の対応として」となっていますが、高齢者介護の関係者であれば適切な対応を選ぶことは決して難しい選択肢とは思えません。

 以上、介護支援分野の25問も振り返ってみましたが、総じて非常にオーソドックスで良い試験問題であったと、これまでの試験をみてきた一人として感じています。
 この変化が、合格率20%以下という落とすための試験から、合格させるための試験へと変わってほしいと願うのですが、やっぱりそれは叶わぬ夢なのでしょうか。


最後に皆さんへ

 頑張ってきた自分を誉めていただき、合格の吉報をお待ちください。
 受験対策講座をご愛読いただきましてありがとうございました。
 今年も皆さんのお力に少しでもなれたとしたら幸せです。ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして受験対策を一旦閉講させていただきます。

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