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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2020年の合格率が17.7%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。


第13回  第5単元「支える仕組み」1回目

頑張れば、手応えはつかめます!! いよいよ7月に入りました

 うちの大学の社会福祉士国家試験の合格率は83.3%でした。私が入職して15年目にして、初めての80%超えの成果でした。全国の合格率が30%前後の試験で、受験制限もせずの合格率には本当に嬉しいことであり、自慢の一つです。最近はいろいろな大学から、その受験対策について尋ねられることも多くなっています。私が試験対策講座で言う言葉に「出るところは必ず覚えろ!」があります。毎週の特別講義と毎月の模擬試験に臨みながら、ひたすら来年2月に実施される国家試験対策に取り組んでいます。毎月実施される模擬試験結果をみると、着実に伸びている学生も多く、このまま継続してほしいなと感じています。
 さて、「出るところ」とは何なのかが重要なポイントとなりますね。多くの受験生は、過去問をよく使いますが、過去問を解いて正答を見て一喜一憂する繰り返しより、振り返りをノートにまとめて分析し、よく出ている、出題されている箇所を自分で見つけられたときに、しっかりと定着しているようです。過去問をず~っとやっている人は、振り返りをノートにまとめることをしてみませんか。すると「ここはよく出るな」がわかってくるんです。
 勉強方法も効率的にやったほうがいいと思います。頑張れば、その分必ず何かしら手応えがあるものです。頑張れば合格は近づいてきます。

 さて、いよいよ7月を迎えます。今週からこの講座は、第5単元の「支える仕組み」に入りますよ。 私の受験講座も皆さんの試験合格まで支えますからね!

 第5単元「支える仕組み」では、保険者である「市町村」を支える仕組みとして、「国民健康保険団体連合会」・「国」・「都道府県」について解説します。

今週は、その第1弾として、「国民健康保険団体連合会」(国保連)について解説します。

国保連の業務は、最低3つ覚えましょう

 国保連の介護保険に関連する業務は、多くて5つぐらいで、このなかで出題される定番は「3つ」です。はっきり言えば、それを押さえてしまえば、必ず得点できるんです。
 したがって、今年、国保連の問題が出題されたら、確実に得点できるラッキーな「支える仕組み」といえます。では、始めますよ!

(1)審査支払の実績ある国保連は、「介護報酬の審査支払」も

 国保連という団体は、市町村を保険者とし、自営業者等を被保険者とする医療保険である「国民健康保険」の保険者の連合体で、都道府県ごとに1か所設置されています。

 本来の業務では、医療保険者である市町村の連合体として、診療報酬の審査支払業務を市町村から委託を受けて行っています。

 そうした医療保険の診療報酬の審査・支払業務を行っているという実績と、市町村という保険者の連合体であるということから、介護保険制度においても「介護給付費」を市町村が支払う際にも活用されることとなり、(1)介護給付費の審査ならびに支払業務を市町村から委託を受けて行っています。

 具体的には、法定代理受領によるサービス提供事業者・施設からの介護報酬請求について、居宅サービスの場合は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が提出する「給付管理票」をもとに審査し、事業者や施設に支払うべき金額を市町村ごとに算出し、その介護給付費の支払いに必要な額を市町村へ請求し、市町村から受領した金額を事業者・施設に対して送金するのです。

 この審査にあたっては「介護給付費審査委員会」『[九訂]介護支援専門員基本テキスト』(以下「基本テキスト」)上巻173~174ページ・『ケアマネジャー試験ワークブック2021』(「ワークブック」)118~119ページ)が国保連に置かれることとされています。

(2)国保連は公正・中立な立場なため「苦情処理」を!

 国保連はその保険者とは違い公正・中立な立場の性格から、「サービス内容についての苦情受付」窓口が置かれています。(2)苦情処理については、それぞれの事業者やケアマネジャー、市町村窓口でも対応できることになっていますが、その公正・中立な立場から、国保連の業務(「基本テキスト」上巻174~175ページ・「ワークブック」119ページ)とされています。

 具体的には、書面等による申立を受け、専門の調査員(学識経験者等)が置かれ、調査することになっています。この調査によって国保連は事業者等を指導することはできますが、指定の取り消し権限等はないことは押さえておいてください。指定の取り消しは、指定を行った都道府県、市町村となります。

(3)市町村の連合体という観点から、「第三者行為求償事務」を受託

 国保連は、市町村の連合体でもありますので、市町村の行う事務の効率化のためにも業務を行います。例えば、生活保護受給者の生活保護からの介護扶助についても、事業者が介護保険の保険者である市町村に対し請求された保険給付費を生活保護費から支払う手続きについても国保連が担っています。

 さらには、(3)第三者行為求償事務といって、本来は介護保険の給付すべき事由ではなく、第三者の行った行為により、介護が必要になった人に介護給付を行った場合、市町村はその第三者に対して、損害賠償を請求する権利が発生します。この場合、第三者に対して損害賠償請求を行う事務(「基本テキスト」上巻175ページ・「ワークブック」120ページ)についても国保連の業務とされています。

 (1)~(3)の3つの業務は、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)で出題される「定番」となっています。ここ数年で国保連に関する問題は出題がありませんが、過去の試験では、なぜか出題される国保連問題でした。
 昨年は「絶対出ます!」と強調しましたが、本当に出題されましたね。今年の出題は無いと思われますが、一通りみておいてください。
 傾向としては、国保連の業務として適切なものを選ぶ問題です。少なくとも今回説明した「3つの業務」については理解しておいてください。さらに、国保連自体が介護サービスの提供事業や介護保険施設の運営もできるとされているので、この点も押さえておきましょう。

 参考のために過去問題を掲載しておきますね。
 「得点できる国保連」を押さえておきましょう。
      をクリックすると答えが見れますよ。

 昨年の試験では市町村の取り消しのできる権限が、一昨年の試験では社会保険診療報酬支払基金が出題され、国保連に関する問題は出題されませんでした。なお、再試験では誤った選択肢として、問題15に国保連が出題されました。
 いわゆる、「よく出るところ」として国保連の業務を覚えておきましょう。

第22回(再試験)

  • 問題15 介護サービス情報の公表制度について正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 国民健康保険団体連合会は、報告された内容が事実かどうかを調査しなければならない。
     (誤った選択肢としての出題)

第21回(2018年)

  • 問題15 介護保険法で定める国民健康保険団体連合会が行う業務として正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 第1号被保険者の保険料の特別徴収事務
  • 2 居宅介護サービス計画費の請求に関する審査
  • 3 第三者行為求償事務
  • 4 財政安定化基金の運営
  • 5 介護保険施設の運営

正答  2・3・5 

第18回(2015年)

  • 問題8 国民健康保険団体連合会の業務について正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 広域保険者を監督する。
  • 2 介護給付費等審査委員会の委員を委嘱する。
  • 3 指定居宅介護支援事業を運営することができる。
  • 4 介護保険施設を運営することができる。
  • 5 指定地域密着型サービス事業を運営することはできない。

正答  2・3・4 

第15回(2012年)

  • 問題10 国民健康保険団体連合会の行う介護保険関係業務について正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 市町村から委託を受けたときの第三者行為求償事務
  • 2 利用者から介護保険サービスに関する苦情があったときの事実関係の調査
  • 3 介護サービス事業者に対する監督
  • 4 介護給付費審査委員会(※2015年度より介護給付費等審査委員会)の設置
  • 5 介護給付費交付金の交付

正答  1・2・4 

第14回(2011年)

  • 問題8 国民健康保険団体連合会の行う介護保険関係業務について正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 市町村から委託を受けて行う居宅介護サービス費等の請求に関する審査及び支払
  • 2 市町村に対する地域支援事業支援交付金の交付
  • 3 指定居宅サービス等の質の向上に関する調査
  • 4 指定居宅サービス事業者に対する勧告
  • 5 指定介護療養型医療施設の運営

正答  1・3・5 

第13回(2010年)

  • 問題10 国民健康保険団体連合会の行う介護保険業務について正しいものはどれか。2つ選べ。
  • 1 事業者のサービスに係る利用者等からの苦情の受付と事実関係の調査
  • 2 都道府県の委託による介護給付費審査委員会(※2015年度より介護給付費等審査委員会)の設置
  • 3 損害賠償請求権に係る事務の市町村への委託
  • 4 市町村事務の共同電算処理
  • 5 事業所に対する強制権限を伴う立入検査

正答  1・4 

第12回(2009年)

  • 問題12 国民健康保険団体連合会について正しいものはどれか。2つ選べ。
  • 1 都道府県知事から委託を受けて、介護報酬の審査・支払業務を行っている。
  • 2 介護給付費審査委員会(※2015年度より介護給付費等審査委員会)を設置し、委員は都道府県知事が任命する。
  • 3 介護サービス事業者に対し必要な指導及び助言を行う。
  • 4 介護サービス事業者の指定取消しを行う権限を有する。
  • 5 市町村から委託を受けて第三者行為求償事務を行う。

正答  3・5 

第11回(2008年)

  • 問題13 国民健康保険団体連合会について正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 都道府県の委託を受けて、介護報酬の審査・支払い業務を行っている。
  • 2 介護給付費請求書の審査を行うため、介護給付費審査委員会(※2015年度より介護給付費等審査委員会)を設置する。
  • 3 利用者からの苦情を受け付け、サービス提供事業者に対する指導・助言及び立入検査を行う。
  • 4 介護給付審査委員会は、それぞれ同数の介護給付等対象サービス担当者代表委員(※2015年度より「または介護予防・日常生活支援総合事業支援担当者代表委員」を追加)、市町村代表委員及び公益代表委員により構成される。
  • 5 介護サービスの提供事業や介護保険施設の運営を行うことができる。

正答  2・4・5 

 どうですか、基本テキストとワークブックの内容を読んで、過去問の傾向から「出たら取れる国保連」にしてくださいね。今年は「国保連」が出題されることを期待して、理解をしておきましょう。

いつものようにキーワードをまとめておきます

  • ●介護給付費の審査・支払(「基本テキスト」上巻173ページ・「ワークブック」118ページ)
     事業者・施設から請求された介護給付費について、介護報酬の基準等から請求書等の審査を行い、結果に基づいて費用を支払うとともに、支払いに要する費用を市町村に請求する。
     また、介護予防・日常生活支援総合事業に要する費用の審査・支払も市町村から委託を受けて支払を行う。
  • ●介護給付費審査委員会(「基本テキスト」上巻173~174ページ・「ワークブック」118~119ページ)
     審査を専門的見地から公正かつ中立的に処理するために設置される。国民健康保険団体連合会が委嘱する介護サービス担当者代表、保険者代表、公益代表の委員(それぞれ同数)によって構成される。
  • ●苦情処理(「基本テキスト」上巻174~175ページ・「ワークブック」119ページ)
     利用者等のサービスに関する苦情・相談などを処理する業務。その対象は、指定基準違反には至らない程度の苦情とされる(指定の取消しなど、強制権限を伴うものは都道府県知事等が行う)。
  • ●第三者行為求償事務(「基本テキスト」上巻175ページ・「ワークブック」120ページ)
     市町村が第三者行為により保険給付を行ったときに取得する損害賠償請求権にかかる損害賠償金の徴収・収納事務を、市町村から委託を受けて行う。

 来週は、「国」「都道府県」の解説をしていきますね。もう少し頑張ってみましょうか!

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