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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2020年の合格率が17.7%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。


第11回  第4単元「保険給付」2回目

「保険給付」の2回目をはじめます!!

 先週、楽しみにしていた『[九訂]介護支援専門員基本テキスト』が届きました。これまで試験問題は必ずこのテキストに書かれていることが出題されるので、「基本テキスト」での理解が必要です。というスタンスで受験対策の講義やセミナーに取り組んできた私にとっては、届いた日から毎晩、読みふけっています。
 皆さんのなかにも手に取られた方もいらっしゃるのではないでしょうか。以前に紹介した今年受験する卒業生からも、「先生、びっくりしました。こんなにページ数があるなんて。何が大切で、何を覚えなければならないのですか?」とメールが届きました。確かに「基本テキスト」なのですから、大切なワードがゴシック体や赤文字、あるいは網掛けで表記されていたらわかりやすいですよね。ただ、改訂されるたびにイラストや図も取り入れられて、読みやすくなっているのも確かです。
 また、今回は全体の構成も変わりました。

(1)「法令等のCDが付いていない」→ 長寿社会開発センターのHPに情報サイトがあり、過去問題もアップされている。 https://caremana.chojubooks.net/
☞ケアマネではなく、「ケアマネジメメントを学ぶから、「ケアマナ」ですかね。訪問者はまだ少ないようです。

(2)上巻に、各サービスの意義、目的、利用者の特徴などを「共通事項」で括って移動した。
 ☞ケアマネジャーがサービスについて確認できるようには考えられているが、何が介護支援分野で、何が保健医療福祉サービス分野なのかが受験者にとってはわかりにくい。

(3)介護保険サービスの介護報酬の項目がなくなり、加算等なども含めた解説がなくなった。
 ☞法改正や介護報酬の改定などは、ホームページで更新することにして、3年ごとの改訂はしないつもりなのかもしれませんね。しかし、これまでの試験傾向から、介護報酬についての加算・減算の考え方などは無くなるとは思えないのですが……。

(4)第2編「ケアマネジメント」の構成、内容が新しくなった。
 ☞執筆者が変わり、主旨や基本的事項は変わらないが書きぶりがかなり変更されている(第2編 第1章から第3章)。
 ☞高齢者の保健医療の基礎知識では、「認知症」や「介護技術」などは八訂の目次構成と比べても、かなり新しくなっている。

 などなど、ワクワクしながら「九訂基本テキスト」を読み込んでいます。
 今年度の試験問題も楽しみなところですが、正直なところ過去問との問題の質の相違や、基本テキストでの記載内容、さらには詳細な法令など、出題には予想の難しさを感じています。基本的な出題は限られると思います。
 なぜなら、この試験のねらいが基本テキストの目次前の冒頭に「本書からなにを学ぶか」として約2ページにわたり明確に記載されているからです。このテキストをどのように活用してほしいのか、「介護支援専門員になるための必要な知識であるとともに、資格取得後、ケアマネジメントを実施するために獲得しなければならない最低限の知識」と、編集委員会の熱意が伝わってきます。
 さあ、頑張って勉強をすすめましょう !  試験日まで120日を切りました。もちろん、受験手続きは進めていますよね。
 では、今週も始めますよ。保険給付のうち難しいところの解説ですから、テキストやワークブックの該当部分を読みながらでも、じっくりと時間をかけてこの部分は学習してくださいね。

低所得者に対する配慮

 さて、前回は保険給付の具体的な方法や利用者負担について解説しました。今回は、その利用者負担について制度上の配慮や低所得者に対する配慮について解説していきます。
 先週お話ししたように、保険からの給付は「9割」または「8割」「7割」であり、残りの「1割」または「2割」「3割」が自己負担として利用者が負担することになっています(所得の多い方は「8割」の給付、「2割」の負担に加え、平成30年8月からは3割負担も導入されました。

 定率の自己負担の他にも「利用者負担」として、食費(材料費・調理費相当額)や居住費(光熱費等)についても全額利用者負担となっています。あわせて、在宅生活者が受けるサービスでは呼び方がかわるものがあります。例えば、通所介護(デイサービス)や短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)などで、食事がある場合は「食費」の負担があります。さらに、短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)では、「食費」に加えて「滞在費」も全額自己負担です。

 こうした負担の仕組みは、あくまでも制度の公平性として行われているのですが、介護保険制度には、実はとても利用者に優しい仕組みもありますよ。

高額介護サービス費と高額医療合算介護サービス費等

 その1つが「高額介護サービス費」(『[九訂]介護支援専門員基本テキスト』(以下「基本テキスト」)上巻105~114ページ・『ケアマネジャー試験ワークブック2021』(以下「ワークブック」)59~61ページ)です。
 これは、定率の利用者負担、つまり「1割(2割・3割)負担」の世帯合計額または個人の額が一定額を超えた場合、その超えた額が「償還払い」によって給付されるものです。

 なお、この高額介護サービス費は、すべての利用者が対象ですが、利用者の所得状況によって負担しなければならない上限額が設定されています。低所得者にはこの上限額を低くすることによって、さらに配慮しています。

高額介護サービス費による負担上限額

所得区分 負担上限額(月額)
現役並み所得相当 44,400 円(世帯)
世帯のいずれかが市町村民税課税 44,400 円(世帯)
※同じ世帯のすべての65歳以上の高齢者の利用者負担割合が1割の世帯に年間上限額(446,400円(37,200円×12か月))を設定
市区町村民税非課税世帯等 24,600 円(世帯)
  年金収入80万円以下等 15,000 円(個人)

例をもとに少し説明しましょう。

 低所得でない「世帯のいずれかが市町村民税課税(利用者負担割合が1割)」で、要介護5の利用者がいると仮定しましょう。要介護5の「区分支給限度基準限度額」は36,217単位(「基本テキスト」上巻99ページ・「ワークブック」53ページ)です。
 区分支給限度基準額まで目いっぱいサービス利用した場合は、1単位=10円の地域の利用者1割負担分は、36,217円となります。
 この利用者が仮に一般世帯であった場合、「高額介護サービス費」の適用となる負担上限額は、月額では44,400円です。そのため、「高額介護サービス費」の対象となりません。
 しかし、その世帯にもう1人「要支援2」の方が同居していて、その方の1割負担額として20,000円を負担していたとしましょう。その世帯の利用者負担合計額は56,217円となり、「高額介護サービス費」の適用となる負担上限額44,400円についての超過分として11,817円が発生します。この11,817円という額が高額介護サービス費として、その世帯に「保険給付」として償還払いされる仕組みです。
 現役並み所得あるいは課税状況によって、負担上限額が表のように設定されています。

 さらに、「高額医療合算介護サービス費等」(「基本テキスト」上巻106ページ・「ワークブック」60ページ)が位置づけられています。これは医療保険と介護保険の両サービスを利用した世帯で、1年間の自己負担合計額が一定額を超えた場合に、2つの保険制度から按分によって支給されるものです。
 「基本テキスト」には詳細が複雑なために金額などについては書かれていませんが、この「制度があること」ぐらいは押さえておきましょう。また、この「高額医療合算介護サービス費等」も、「償還払い」となりますので、この点も押さえておきましょう。

さらに、「食費・居住費」の負担についても・・・

 先ほどお話ししたように、施設利用者の食費ならびに居住費については全額利用者負担です。しかしながら、2005年(平成17)の介護保険法改正以前は、サービス費1割の定率負担と食材料費を合わせて、1か月の利用者負担が約8万円程度であったのに対し、2005年(平成17)の介護保険法改正により、12万円以上を負担しなければ、施設を利用することができない状況になりました。

 そこで、入所中の低所得者に対する配慮も同時に行われることになりました。具体的には、「特定入所者介護サービス費等」(「基本テキスト」上巻109~111ページ・「ワークブック」62ページ)です。
 基本テキストでは、やたらと「特定○○」っていうのが出できますね。「特」がついたら特に注意してほしいですね。これまででは「特定疾病」とか「特定施設」とかありましたね。

 さて、この「特定入所者介護サービス費等」ですが、「入所者」という言葉の前に「特定」をつけていることから、入所者について特定しているものですね。つまり、特定の「所得段階」の人に限定しているものです。

 突然ですが、この「所得段階」で思い出すことがありませんか?
 そうですね。第6回「保険料」のところで解説した「所得段階別定額保険料」(「基本テキスト」上巻64ページ・「ワークブック」89ページ)を思い出してほしいですね。

 実は、この所得段階別定額保険料の段階と、「特定入所者介護サービス費」の支給対象となる特定入所者とは関連しているのです。
 詳しくは「基本テキスト」や「ワークブック」をみていただきたいのですが、この所得段階に該当する人は、「介護保険負担限度額認定証」を申請により保険者から交付を受け、入所施設や短期入所施設等に提示することにより、それぞれの所得段階ごとに設定されている負担限度額までを負担すればよくなるというものです。

 実際にサービスを給付した施設等は、この利用者が負担をしなくてよい介護報酬の不足分について介護保険から「補足給付」として保険者である市町村に対して請求し、受領します。施設等が利用者に配慮して定額にしているものではありません。

 さらに、社会福祉法人には利用者負担の軽減制度などもあります。

「利用者負担」に関する問題

介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)では、数年前までは必ず「利用者負担」に関する問題が出題されていましたが、最近は出題がみられませんでした。
とても不思議でした。しかし昨年、久しぶりに「高額介護サービス費」と「特定入所者介護サービス費」、さらには「利用者負担の定率軽減」など、まとめて3問が出題されました。 たぶん今年も出題されると思います。
過去問題を掲載しておきますので確実に押さえておきましょう。

第23回(2020年)

  • 問題7 介護サービスに係る利用者負担が高額となった場合の取扱いについて正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 高額介護サービス費の負担上限額は、被保険者の家計に与える影響を考慮して、段階的に設定されている。
  • 2 高額介護サービス費の負担上限額を超えた利用料は、常に現物給付となるため、利用者が直接事業者に支払う必要はない。
  • 3 高額介護サービス費は、世帯単位で算定される。
  • 4 施設介護サービス費に係る利用者負担は、高額介護サービス費の対象となる。
  • 5 高額医療合算介護サービス費は、医療保険から支給される。

→正答は「1・3・4」になります。

第23回(2020年)

  • 問題8 特定入所者介護サービス費の支給について正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 対象となる費用は、食費と居住費(滞在費)である。
  • 2 負担限度額は、所得の状況その他の事情を勘案して設定される。
  • 3 対象となるサービスには、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は含まれない。
  • 4 対象となるサービスには、特定施設入居者生活介護は含まれない。
  • 5 対象者には、生活保護受給者は含まれない。

→正答は「1・2・4」になります。

第23回(2020年)

  • 問題9 定率の利用者負担を市町村が減免する場合として正しいものはどれか。2つ選べ。
  • 1 要介護被保険者の要介護度が著しく悪化した場合
  • 2 要介護被保険者の属する世帯が住民税非課税世帯になった場合
  • 3 要介護被保険者が災害により住宅に著しい損害を受けた場合
  • 4 要介護被保険者と同居する家族が心身に重大な障害を受けた場合
  • 5 要介護被保険者の属する世帯の生計維持者の収入が冷害による農作物の不作により著しく減少した場合

→正答は「3・5」になります。

第20回(2017年)

  • 問題7 高額介護サービス費の支給について正しいものはどれか。2つ選べ。
  • 1 第1号被保険者である生活保護の被保護者は、対象とならない。
  • 2 居宅要支援被保険者は、対象とならない。
  • 3 施設サービスの食費は、対象となる。
  • 4 施設サービスの居住費は、対象とならない。
  • 5 負担上限額は、所得によって異なる。

→正答は「4・5」になります。

第19回(2016年)

  • 問題 8 社会福祉法人による利用者負担額軽減制度の対象となる居宅介護サービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。
  • 1 訪問入浴介護
  • 2 訪問看護
  • 3 小規模多機能型居宅介護
  • 4 夜間対応型訪問介護
  • 5 第一号訪問事業のうち介護予防訪問介護に相当する事業

→正答は「3・4・5」になります。

第18回(2015年)

  • 問題13 介護保険制度の利用者負担について正しいものはどれか。2つ選べ。
  • 1 介護給付は、1割負担である。
  • 2 高額介護サービス費は、世帯単位で算定する。
  • 3 短期入所系サービスの滞在費は、1割負担である。
  • 4 食費は、社会福祉法人による利用者負担額軽減制度の対象となる。
  • 5 地域支援事業の第1号訪問事業については、利用料を請求できない。

→正答は「2・4」になります。

注意1 2015(平成27)年8月からは、「2割」負担が導入されている。(年金収入等 280万円以上)
    2018(平成30)年8月からは、「3割」負担も導入されている。(年金収入等 340万円以上)

 このように利用者負担に関する問題は、必ず1題は出されていましたよ。低所得者の負担軽減策についても、「基本テキスト」「ワークブック」に戻って今一度確認しておきましょう。

 来週は、今年も出題される可能性が高い「地域支援事業」について解説します。保険給付としての3種類(介護給付・予防給付・市町村特別給付)ではないのですが、介護保険財源を活用して市町村が必ず行わなければならないものなので、保険給付の単元で解説しますね。
 特に、「介護予防・日常生活支援総合事業」や、包括的支援事業の内容をじっくり解説したいと思います。

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