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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2020年の合格率が17.7%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。


第6回  第2単元「保険料」 2回目

学習しやすい時期になってきました。 今夜は少しがんばってみませんか?

 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、緊急事態宣言の期間延長と対象地域拡大、さらには「まん延防止措置法」による適用拡大などがすすむ一方、ワクチンの大規模接種センターの設置、拡大などが検討されています。医療提供体制の限界も近づくなか、オリパラの実施に向けても準備は着々とすすみ、はたしてどちらの方向が正解なのか、なぜ明確に判断できないのかなどといった疑問をモヤモヤしながら抱きつつ毎日を過ごしています。
 ボランティアで医師や看護師をオリンピックに動員するとか、納得ができないことに腹を立てても、なんともなりません。また、休業要請や時短営業などの影響から収入を確保できない事業主や労働者の失業なども大きな課題です。本当にどうしたらよいのか、悩んでみても、残念ながら名案は浮かびません。
 自粛期間に受験勉強を進めた方も多いと思いますが、「まだある、まだある」と思っていたら、ゴールデンウィークも終わり、いつのまにか試験まであと5か月を切ってしまいましたね。受験科目は「介護支援分野」だけでなく、「保健医療・福祉サービス分野」もありますから、計画的に、そして若干前倒しで進めていく必要があります。気候もよくなり、学習には持ってこいの時期です。
 「試験の実施要項」の配布等についても、『都道府県または試験を実施する指定機関のホームページなどは各自でチェックをお願いします。延期という情報も今のところないので、粛々と準備は必要だと思いますよ。
 さて、それでは今週もはじめていきましょう

第1号被保険者の保険料はどうやって決まるのか?

 先週から第2単元の「保険料」について解説しています。介護保険の財源は、社会保険という性格から、介護保険法によって、その財源内訳を公費50%と保険料50%という割合で構成しています。

 保険料50%のうち、第1号被保険者と第2号被保険者の負担割合は、国がその人口割合から3年ごとに定めます。ちなみに2021(令和3)年度から2023(令和5)年度の第8期介護保険事業計画期間の3年間については、第1号被保険者負担率が23%、第2号被保険者負担率が27%とされています。

 それでは具体例をあげながら、第1号被保険者の介護保険料の決定までをみていきましょう。

 国が策定する「基本指針」(『[八訂]介護支援専門員基本テキスト』(「基本テキスト」)第1巻179ページ・『ケアマネジャー試験ワークブック2021』(「ワークブック」)79ページ)のなかで、この第1号被保険者の介護保険料と第2号被保険者の介護保険料の負担割合を示し、この基本指針をもとに「保険者」である「市町村」は、「市町村介護保険事業計画」(「基本テキスト」179~180ページ・「ワークブック」79~81ページ)を策定します。

 この計画を作成するなかで、

  • (1)その市町村において3年間に介護保険で給付するサービスの総費用として「介護給付費」等の額を算定する。
  • (2)(1)の額を3年で割って、その市町村において1年間に必要な介護保険給付の額の平均額を算出する。
  • (3)23%が第1号被保険者負担率なので、(2)の額の23%が、第1号被保険者が負担する保険料の額になる。
  • (4)その市町村の第1号被保険者の人数で割り、1人あたりの年間保険料を算出する。
  • (5)さらに(4)の額を12か月で割って、1か月の第1号被保険者の介護保険料の基準額を算出する。

 というようにして、第1号被保険者1人の1か月に支払う介護保険料の基準額が算定されるわけです。ある第1号被保険者が1万人いる市町村を例にあげましょう。

(例)

  • (1)ある市町村の市町村介護保険事業計画で3年間に要する介護給付費の総額が90億円と算定される。
  • (2)90億円÷3年=30億円(その市町村における介護保険給付費の1年間の平均額)
  • (3)30億円×23%=6億9000万円(「基本指針」で示されたその市町村における第1号被保険者が保険料で負担する割合分)
  • (4)6億9000万円÷1万人=69,000円(第1号被保険者の1人の年間介護保険料
  • (5)69,000円÷12か月=5,750円(第1号被保険者1人の月額介護保険料の基準額)

 このようにして算定されたものに、さらに第1号被保険者が負担すべき費用として、財政安定化基金の拠出金(「基本テキスト」84ページ・「ワークブック」92ページ)や市町村特別給付の負担分(「基本テキスト」107~108ページ・「ワークブック」41ページ)等の負担分が加算され、第1号被保険者の介護保険料の基準額として、市町村ごとに定められるのです。

 さらには、この基準額に対して所得状況に応じて第1号被保険者ごとに「0.3倍~1.7倍」といった、所得割合に応じた原則9段階の保険料率が算定されることになります。

 このことを「所得段階別保険料率」(「基本テキスト」78ページ・「ワークブック」88ページ)といいます。この9段階の段階区分については、市町村が条例で定めることにより、より細分化した保険料率を設定できることも抑えておきましょう。
 なお消費税の増税が実施されることになると、さらに低所得者への配慮が行われる予定です。

それでは、第2号被保険者の保険料は?

 第2号被保険者の保険料については、全員が給付されている年金のような仕組みはないので、設計段階では、その徴収方法についてさまざまな検討がなされました。第1単元の「被保険者」で学習したように、第2号被保険者の強制適用の要件に「医療保険加入者」がありましたよね。

 実はここにその秘密が隠されているのです。基本的に40歳以上65歳未満の人は、なんらかの公的医療保険に加入しています。医療保険は、職域保険としての「健康保険」(一般的に「社保」と呼ばれたりします)と地域保険としての「国民健康保険」(一般的に「国保」と呼ばれたりします)の仕組みがあります。異なる部分はありますが、医療保険制度としてはほとんど同様なので、ここでは詳細の説明は省略しますね。

 介護保険制度設計時に、介護保険料を確実に徴収する仕組みが求められ、第2号被保険者の介護保険料についても、この医療保険の保険料を徴収する際に「介護保険料」も併せて徴収する仕組みを採り入れたのです。

 したがって、保険料を納めることのできる「医療保険加入者」を強制適用の要件に加えているのです。(納得できましたか?)

 介護保険の第2号被保険者については、「医療保険料+介護保険料」という合算した形で、医療保険者が被保険者から介護保険料を徴収する仕組みがあるのです。

 そして、その額が「社会保険診療報酬支払基金」に集められる仕組みとなっているのです。

 さて、その第2号被保険者の保険料の算出の仕方ですが、非常に複雑な仕組みなんです!

 過去の出題としても第2号被保険者の介護保険料についての問題は少ないのは、その複雑さが理由かもしれません。
 出題されたことといえば、「負担割合は国が定める」(○)とか、「健康保険の場合、事業主の負担がある」(○)といった問題です。

 2017(平成29)年の改正により、被用者保険の第2号被保険者の保険料については「総報酬制」を導入することになりました。これまでは「加入者1人当たりの負担見込み額×加入者数」ということで、それぞれの医療保険者に納付が求められていましたが、2017(平成29)年8月から段階的に「総報酬割」を導入し、2020(令和2)年から全面導入となりました。
 なお、国民健康保険の被保険者である第2号被保険者については従来通りとなっています。このあたりのことは、昨年の試験(問題5の選択肢5)に出題されましたね。(「基本テキスト」81ページ・(「ワークブック」91ページ側注)

「保険料」の過去問にチャレンジ

 ではここで、先週の保険料のキーワードを確認するとともに、少し過去問題に挑戦してみましょう。
 昨年の問題では、次のように極めて基本的な「介護保険料」に関する問題と、前述の「総報酬制」について、あきらかに×の選択肢として出題されました。まず、2問解いてみましょう。

問題11 介護保険料について正しいものはどれか。2つ選べ。

  •  普通徴収による第1号被保険者の保険料については、その配偶者に連帯納付義務がある。
  •  第1号被保険者の保険料に係る特別徴収は、社会保険診療報酬支払基金が行う。
  •  国民健康保険に加入する第2号被保険者の保険料は、都道府県が徴収する。
  •  所得段階別定額保険料の所得区分は原則として9段階であるが、市町村の条例でさらに細分化することができる。
  •  第2号被保険者負担率は、市町村が条例で定める。

正解は1、4です。

問題5 2017(平成29)年の介護保険制度改正について正しいものはどれか。3つ選べ。

  •  改正の趣旨は、地域包括ケアシステムの強化である。
  •  を創設した。
  •  市町村介護保険事業計画に、自立支援、介護予防・重度化防止等への取組を記載することとした。
  •  施設サービスとして、介護医療院サービスを追加した。
  •  第1号被保険者の保険料に総報酬割を導入した。

 正解は、1、3、4です。
 一昨年は、介護保険料についての出題は「第1号被保険者の保険料」について正しいものを選べという「問題9」のなかの2つの選択肢でした。関連して「調整交付金」に関する出題でした。続いて2問解いてみましょう。

問題9 介護保険における第1号被保険者の保険料について正しいものはどれか。2つ選べ。

  •  保険料率は、毎年度改定しなければならない。
  •  年額18万円以上の遺族厚生年金受給者は、特別徴収の対象となる。
  •  年金を受給していない者は、市町村民税に合算して徴収される。
  •  世帯主は、普通徴収の場合には、その世帯に属する第1号被保険者と連帯して納付する義務を負う。
  •  保険料減免の対象者は、政令で定められる。

正解は2、4です。

問題10 介護保険の調整交付金について正しいものはどれか。3つ選べ。

  •  国が市町村に交付する。
  •  すべての市町村に一律に交付される定率の公費負担となっている。
  •  調整交付金の総額は、介護給付費及び予防給付費の総額の5%に相当する額とする。
  •  市町村ごとの第1号被保険者の年齢階級別の分布状況を考慮して交付される。
  •  市町村ごとの第2号被保険者の所得の分布状況を考慮して交付される。

正解は1、3、4です。

「保険料」の過去問にチャレンジ(〇☓問題)

 では、次に一問一答の○×問題にチャレンジしてみましょう。  をクリックすると、正解を確認できます。

  • 1 共済年金は、第1号被保険者の保険料に係る介護保険の特別徴収の対象とならない。 × 
  • 2 市町村特別給付に要する費用には、第2号被保険者の介護保険料も充当される。 × 
  • 3 第2号被保険者の介護保険料の一部は、地域支援事業支援納付金の納付に充てられる。 〇 
  • 4 第1号被保険者の介護保険料率は、年度ごとに算定する。 × 
  • 5 健康保険の被保険者である生活保護受給者は、介護保険料を支払う義務はない。 × 
  • 6 介護保険の第2号被保険者は強制加入ではない。 × 
  • 7 健康保険の被保険者に係る介護保険料には、事業主負担がある。 〇 
  • 8 財政安定化基金財源の負担割合は、国2分の1、都道府県4分の1、市町村4分の1である。 × 
  • 9 財政安定化基金事業交付金の交付は、介護保険事業計画期間の最終年度において行う。 〇 
  • 10 財政安定化基金事業交付金の額は、介護保険財政の収入不足分の全額に相当する額である。 × 
  • 11 財政安定化基金事業貸付金の償還期限は、次期市町村介護保険事業計画期間の最終年度の末日である。 〇 
  • 12 財政安定化基金事業貸付金は、償還期限までの間は無利子である。 〇 
  • 13 財政安定化基金の 財源は、国、都道府県及び市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担する。 〇 
  • 14 財政安定化基金の 財源には、第2号被保険者の保険料も充当する。 × 
  • 15 給付費増大により市町村の介護保険財政に不足が見込まれる場合に、財政安定化基金から必要な額の貸し付けをうけることができる。 〇 
  • 16 保険料未納による収入不足が見込まれる場合に、その2分の1を基準として財政安定化基金のからの交付を受けることができる。 〇 
  • 17 財政安定化基金から資金の貸付けを受けた市町村は、貸付けを受けた計画期間の終了年度末に一括して返済しなければならない。 × 
  • 18 第1号被保険者と第2号被保険者の保険料負担割合は同じである。 × 
  • 19 地域支援事業のうち総合事業にかかる負担割合は施設等給付費と同じである。 × 
  • 20 所得段階別定額保険料の所得区分は6段階である。 × 

 どうでしたか?x×だった問題は、以下に解説しましょう。

  • 1…×共済年金も、特別徴収の対象となる。
  • 2…×第2号被保険者の保険料は、市町村特別給付には充当されない。
  • 4…×第1号被保険者の保険料率は、3年ごとに算定する。
  • 5…×義務が発生する。
  • 6…×社会保険制度であるため、介護保険は強制加入。
  • 8…×財源の負担割合は、国、都道府県、市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担。
  • 10…×基金事業交付金の額は不足額の2分の1を基準として交付する。
  • 14…×財政安定化基金の財源における市町村負担分(財政安定化基金拠出金)は、第1号保険料で賄われる。
  • 17…×資金の貸付けを受けた市町村は、市町村介護保険事業計画の計画期間となる3年で返済しなければならない。
  • 18…×負担割合の根拠は、それぞれの人口比に応じた負担割合である。
  • 19…×居宅給付費と同じとなっている。
  • 20…×所得段階別定額保険料は、原則9段階である。

 保険料の問題はさまざまな形式で出題されますが、これまでは基本的なところばかりが出題されていますので、確実に得点できるようになっておく必要がありますよ!

 来週からは、第3単元の「保険事故」について解説します。

 あっ! 介護保険の事故って、「要介護認定」のことなんですよ。
 予習として、「基本テキスト」85~101ページ・「ワークブック」では23~33ページを読んでおいていただけるとうれしいです。
 そろそろ『[九訂]介護支援専門員基本テキスト』の発行も気になるところですね。

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