メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2019年の合格率が18.5%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

2020ケアマネ試験

第28回  第23回介護支援専門員実務研修受講試験の講評

皆さん 受験お疲れさまでした!

 皆さん、過日はケアマネ試験の受験お疲れ様でした。 まずは一区切りといったところでしょうか、合格発表の12月2日(火)までがドキドキで落ち着かない毎日ですね。
 いろんなサイトで合格基準点の予想が出ていたり、解答速報も「けあサポ」はもちろんほぼ同じ解答ですから、正答は確定したと判断してよいかと思います。ただし合格基準点は全国の全受験者の採点結果が出たところで試験委員会が判断しますので、セミナー等の講師をやった手前、根拠のない情報を示すのは控えたいと思います。
 現在、厚生労働省の発表がありませんので受験者数はわかりませんが、コロナ過の試験でもあり、昨年より若干減っているのではないかと考えられます。
 受験資格の改正以降、受験者が減少傾向であること、介護職の上位資格のように位置づけられているのに、介護職の給与改善がすすみ、魅力がなくなってきているとも言われていますので、介護支援専門員の試験や資格、給与等に対して大きな変更がないと、将来のケアマネジャー従事者の確保が課題となることも起きてきますが、今後厚生労働省の受験者数の発表を注視するとともに、合格者数も関心をもってみていこうと思います。
 また、今回の受験者も、台風で一部中止や遅延開始といった昨年と同様に、コロナ過での試験であり、いつもとは違う対応が求められたようです。

第23回ケアマネ試験の試験講評について

 そうしたなかではありますが、10月11日(日)に実施された試験問題について、講評をしてみたいと思います。
 第23回の試験に対しては、受験のためのテキストとなる「介護支援専門員基本テキスト」が一昨年6月に改訂され、八訂版となりました。この八訂版は2色刷りになったりイラストも使われたりと、これまでの基本テキストと比較すると斬新でした。執筆者も新しい方が加わり、内容が一新された部分も多いのですが、昨年度も一昨年度の試験には改訂された部分の出題は全く見られず、若干拍子抜けした感がありました。
 さて、そのあたりも含めて今年の問題はどうだったのでしょうか早速みていきましょう。

 まず問題全般についてみれば、一通り解いてみて感じたこと、第22回の10月試験と比べると、少し作問の構成が悪い感じがします。正攻法ではなく、消去法を使って解けてしますような問題が多くみられます。 これまでの試験講評でも言い続けていますが、試験問題づくりに「心がない」のではと思ってしまいます。
 試験問題は過去問として、残るのですからこの試験を通して「どんな介護支援専門員になってほしいのか」伝えてほしいと思うのです。
 今回の介護支援分野の問題3「近年の高齢者や介護に関する状況」に関する問題は、介護の現状や課題を理解しているかといった出題で、意図は感じられるのですが、選択肢の上からみていくと、3つに〇がつき、4と5を注意すれば「違うぞ」となっていく、そして正答は、1・2・3となります。もう少し考えて作問してほしいですね。こんなこと基本テキストには掲載されていませんね。高齢者介護に関わっていればわかる問題ですが、「55歳以上が半数以上で限界集落であるとは」非常に粗末な選択肢です。作問者のサービス問題意識なのでしょうか。

 次に分野ごとの講評をしてみましょう。

 介護支援分野については一部の問題を除いて、必要な知識が問われているといえるでしょう。但し、近年の傾向とは違って一つ一つのカテゴライズされた事項に対して、奥深い、詳細な事項が問われており、しっかりと学習していないと正答が出せないのではと思います。しかし、前述した通り「消去法」が有効な問題が多いですね。

 保健医療サービス分野では、高齢者に対する医療知識として必要な知識ですが、前半の出題が「次の記述について…」という問題が多く、全く異なる、例えるなら〇☓問題の選択肢5つがまとめてあるような問題が見られます。一問一答の過去問寄せ集めみたいな作問のようです。高齢者特有の状況の〇☓ではありますが、医療系の人にとっては優しそうですね。
 一方、福祉系の人にとっては「出血・誤嚥・飲用禁止・やけど・吐き気」(問題27)が代表的で、少し頭の中をアチコチと考えを巡らせなければならない感じがしますね。保健医療の最後の2問は介護老人保健施設と介護医療院の指定席になり、少し細かいですが、骨のある問題ですね。介護報酬や、介護医療院の問題はなかなかの難問ですね。(「3つ選べ」は、消去法が有効になりますが…)

 福祉サービス分野では、ソーシャルワークに関する出題と高齢者に関連する制度としての生活保護制度、成年後見制度、高齢者虐待などは極めてオーソドックスな出題ですね。それに比較すると介護保険で給付される福祉サービスに関する出題については昨年と比べ「算定」という言葉がほとんどなくなり、基準やサービス内容の選択肢が増えています。昨年の講評で、『出題意図は、サービスの内容と利用対象者のマッチングのためにサービス内容の理解が大切なのに、介護報酬請求事務的な問題が多い感じがする』と書いたのが影響していれば有難いです。(笑)

介護支援分野の問題を分析してみます

 そうしたなかで、私の担当してきた介護支援分野を分析してみたいと思います。先ほどもお話したように、詳細な内容を問う問題が多い介護支援分野となりました。

 しかしながら、やはり問題1と問題2は、受験者をいきなり呪いにかけるような難問ですね。問題1についてみれば「認定者数の状況」について、数字ではないが傾向を把握しているかが問われました。問題2はいきなり「予防給付」についての問題。ここは介護保険法第〇条の指定席なのに…と思っていたのにとダメージを受け、進めると問題6で「介護保険法第2条」に遭遇し、「ここにあるじゃん」となる。昨年と比べると「難しかった」とのネットでの声を散見しましたが、その理由は「ケアマネジメント」の問題の出題が少なく、例年に出題されることのない、統計データ、現状や改正の要点が出題されていたこと。さらには、選択肢がこれまでは単語を並べる「単語化」が多かったのが、「文章」の選択肢が20問以上となり、難しく感じさせるのではないかと思います。そして事例問題が2問の構成自体は考えられていると思いました。

 【問題1】は「認定者の状況」の問題です。第2号被保険者の認定割合は2%程度ですが、これを知らないと、約1割は引っ掛かりそうな数字ですね。次の「女性は男性の約2倍…」そこまではいかないのではと考えると、誤るという、「前年に比べ」「そんなの判らない」「確かに少子化があるから減っているか」ってなる。最後の選択肢「25%」という数字どれが正解なんだと悩む問題ですね。もちろん八訂「基本テキスト」には記載がありません。
 【問題2】は「予防給付」の問題、テキストでは全てサービス名の頭に「介護予防〇〇」とあったのが全て省かれているので設題の「要支援者が使えるサービス」を選ぶ時に、選択肢全ては「介護給付」のサービス名であり、これは不適切問題ともいえるが、作問者の意図を汲んで、ギリギリ「看多機」と「地域密着の特養」を選ぶことにしよう。
 【問題3】は「近年の状況」で前述した通り。優しすぎる問題。
 【問題4】の「都道府県の事務」は、「ケンケンつながり」で介護保険審査会を選び、財政安定化基金も併せて選ぶ基本的問題感じですね。給付費審査委員会、ここだけ委員会なんだけど行政機関ではない国保連でしたよね「×」こういう素直な問題は好きです。
 【問題5】【問題6】は、これまでは問題1と問題2が定番の位置ですが、今回は遅めに出題されましたが、「「共生型」のケアマネジメントって何?」「総報酬制って第2号被保険者だよね?」と消去法でも解ける選択肢と3つ選べです。テキストを理解していたかがポイントになりますね。
 【問題7】は「高額サービス費関連」の問題です。段階的設定、世帯単位、施設も対象となるものですね。「常に…」という語句は要注意でしたよ。合算して、それぞれの案分で介護分は介護保険、医療分は医療保険から出されますが、これは「介護サービス」ですから介護保険から支給されますね。
 【問題8】は「特定入所者介護サービス費」の問題です。これまであまり出題されていませんが、このサービス費の開始時期は、施設における食費と居住費を給付の対象外とした2005年改正からです。その「施設、食費、居住費」がわかっていれば大丈夫でしたね。
 【問題9】は「市町村の減免」の問題は、これまで出ていない気がします。定率の利用者負担なので、保険料のことと誤解するとわからなくなってしまいます。そうです災害等の場合です。
 【問題10】は「通所系のサービス」の問題です。通所系のサービスは人気ですが、こんなに種類があるとその特徴を知っていないと混乱しますね。本来は保険医療福祉サービス分野みたいな感じです。(ここは「消去法」) デイサービスであっても機能訓練は必要、「限定」という語句を発見したので「×」といった感じでも正解ゲットですね。
 【問題11】は、「保険料」の問題です。わたしの「けあサポ」の講座でも紙面を割いていますが、出題されて良かった基本的な問題です。
 そして、【問題12】は、「保険財政」の問題です。「すべての」…財政状況に応じた「調整交付金」ってありましたよ。おっと「社会保険診療報酬支払基金」ここで存在意義を出していますね。各医療保険者が交付することになったら市町村は困ります。この設題には、「すべて」が3つの選択肢で出てきます。(「のみ」「すべて」は×という法則は使えませんね)
 【問題13】は「基本的な指針」の問題です。市町村の介護保険事業計画策定の時の「基本指針」と関連付けて、「基本」という言葉がある1と5を選ぶ。2は国ではないので×、基本指針は厚生労働省が総務省等と協議して変更します。市町村は出されたものに従うだけですね。
 【問題14】は問題が「単語問題」。なんか久しぶりの感じがしますね。地域支援事業は、必須事業と任意事業に別れていましたね。必須事業がわかっていれば問題なし。
 【問題15】は「介護保険審査会」の問題です。過去問でばっちりといったところでしょうか。基本的な問題です。
 【問題16】は「市町村の権限」って問題です。こんな「権限」って問う問題は珍しいかな。私は消去法を使いました。3は、社会保険診療報酬支払基金でしょ。5は都道府県ですよね。
 【問題17】もお好きですね「市町村のチカラ」。結構、保険者機能って改正の度に強化されています。
 【問題18】は、介護認定審査会だけで1問5選択肢。すごい基本だけど「認定」行為は市町村の事務ですから間違えないでくださいね。
 【問題19】は、出ました! 「主治医意見書・重箱隅問題」も定番化したら、重箱の隅ではなくなりますね。
 【問題20】【問題21】【問題22】は指定居宅介護支援事業者としてのケアマネジメントの基本問題ですが、選択肢の文章が長いですね。長い理由は不適切と指摘されないための安全策だと思われます。基本的な内容ですから間違えないで味わって選択肢の文章を読むところですね。
 【問題23】は「介護予防支援」の問題ですね。いつもここは「重箱の隅問題」なんです。昨年が、極めてオーソドックスな選択肢だったのに、今年また戻ってしまいましたね。
 そして、得点しやすい事例問題は予想通り【問題24】【問題25】で2問出題されました。入所中のターミナル対応、ヤングケアラーの新し目の事例ですが、介護支援専門員の対応としてとなっていますが、高齢者介護の関係者であれば適切な対応を選ぶことは難しいといえるでしょうか。(いやいや、そうでなくても消去法が最強の攻略法の事例問題でした)

 以上、介護支援分野の25問も振り返ってみました。

最後に皆さんへ

 試験を受けられた方は、頑張ってきた自分を誉めていただき、合格の吉報をお待ちください。
 受験対策講座をご愛読いただきましてありがとうございました。

 それでは、これをもちまして受験対策講座を一旦閉講させていただきます。
 今年も皆さんのお力になれたとしたら幸せです。ありがとうございました。