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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2019年の合格率が18.5%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

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2020ケアマネ試験

第18回  「ケアマネジメント論」1回目 事例問題と指定基準

あと70日ほど・・・ありますね

 今週から介護支援分野の出題範囲から、いわゆる「ケアマネジメント論」の解説をはじめます。

 私は、大学では「社会福祉援助技術論III」と「ケアマネジメント論」という2つの科目でケアマネジメントを講義しています。
 1990年代に在宅介護支援センターに勤務していたとき、私は「ケースマネージメント」に出会いました。この「援助技術」による多職種連携と、地域の資源開発機能などそのすばらしさに感激し、「ケースマネージメントは地球を救う」のではないかと感じたのです。
 その後、高齢者介護・自立支援システム研究会が介護保険制度にケアマネジメントを位置づけることを決定し、介護保険制度におけるケアマネジメントが検討されました。

 介護保険制度の施行により、「ケアマネジメント」や「ケアマネジャー」という言葉が一般の方にも知られるようになりました。しかしながら、もともと「保険」制度は、負担と給付の公平性が優先するものです。そのため「必要な人に必要なだけサービスを提供する」といったケアマネジメントの理念を実現するには限界があります。
 そうしたなかで介護保険制度に位置づけられた介護支援専門員(ケアマネジャー)は、利用者のニーズを適切に把握するととともに、介護保険制度における給付サービスを適切にリンケージする(つながり続ける)ところまでは、ケアマネジメントの理念を普及させてきました。

 しかし、私は、現在の介護保険制度におけるケアマネジメントは、まだ、ケアマネジメントの理念の実現には不充分であることを学生に事例を交えて講義しています。学生たちも実習先で介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務の忙しさと煩雑さを感じながら、「先生の話す理想のケアマネジメントは行われていなかった」と報告してくれます。
 しかしながら、八訂「基本テキスト」では、本来のケアマネジメントのあり方が地域包括ケアシステムの深化とあわせて、強調して書かれており、この基本テキストで学んだ介護支援専門員が、学生たちが実習先で出会う「本物のケアマネジメント」を体験してきてくれる時代もそう遠くないと思います。

 さて、基本テキストが大幅に書き下ろされたため、試験での出題がどのようになるのかとても楽しみな反面、予想しにくいことは事実としてありましたが、やはり試験内容についての大幅な変更はなかったのが一昨年と昨年の試験でした。

 まぁ、基本テキストが重要であると言い続けていますので、皆さんはテキストに目を通して、理解をしていけば簡単に解ける問題であると思いますが、八訂「基本テキスト」に沿った出題がなかなか出題されないのは、本当に残念です。
 しかしながら今年こそ、書き下ろし部分が出題されることを期待して、八訂「基本テキスト」に沿って、テキストをまとめる「ノート」のような感じでけあサポ原稿を来週から掲載していこうと考えていますので、楽しみにしていてくださいね。
 そこで今回は、これまでの出題構成から「介護支援分野」のうち、「ケアマネジメント論」という区分が適切であるかは別にして、説明していこうと思います。

受験対策として「介護支援分野」は2つの出題区分

 さて、今年10月11日(日)に行われる介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)のうち、「介護支援分野」としての問題25問は、大きく2つに区分することができますね。介護保険制度に関する問題がおおむね18問程度、ケアマネジメントに関する問題がおおむね7問です。

 ケアマネジャー試験の合格基準では「おおむね70%の正答」とされているので、「介護支援分野」25問の70%だと、25問中17問~18問に正解する必要があるということになります。しかし、これまで実施された全20回の試験では、「介護支援分野」の合格ラインが70%に達したことはなく、ここ数年は25問中13~15問正解あたりが合格ラインとなっています。
 もちろん、よく勉強していらっしゃる皆さん方の目標は、15問正解が目標ではなく、あくまでも18問以上の正解を目標としていただきたいのですが…。

 そしてこの「ケアマネジメントに関する問題」の構成として、例年、最後の1問~2問、つまり問題24と問題25は、「事例問題」になっています。(20回のみ1問)
  先週お話ししましたが、試験問題は、介護支援専門員(ケアマネジャー)としての基礎知識と基礎技術を問うという目的から作成されますから、「事例問題」は介護支援専門員(ケアマネジャー)として、遭遇する場面で適切な対応ができるかどうかという考え方や基礎技術を問う問題となるわけです。
 そういう意味で事例問題は、介護支援専門員(ケアマネジャー)としてもつべき「技量」がポイントとなります。さらにケアマネジメントの「課題分析」から再アセスメントのプロセス、つまりケアマネジメントがどのように展開されるのか、そのプロセスをよく理解していなくてはならないのです。

しかし、過去問題の事例を見てみると・・・

回(年)問題24問題25
21回(2018(平成30)年)大腿骨頸部骨折の術後、退院予定で要介護2の認定を受けた。相談を受けた介護支援専門員の対応訪問介護で家事援助を受けてきた一人暮らし高齢者が息子と同居することになった相談をうけた介護支援専門員の対応
20回(2017(平成29)年)飼い主の世話ができなくなった一人暮らし高齢者からの相談対応と支援
19回(2016(平成28)年)大地震の避難所で担当している認知症の利用者と家族支援
18回(2015(平成27)年)一人暮らしで認知症の疑い要介護3と認知症の二人暮らしの支援
17回(2014(平成26)年)訪問介護の回数を減らす介護老人保健施設からの退所依頼
16回(2013(平成25)年)一人暮らし(訪問介護への期待)一人暮らし(介護老人保健施設退所後の生活)
15回(2012(平成24)年)利用者からのクレーム対応サービス拒否者への対応
14回(2011(平成23)年)認知症を抱える高齢者世帯一人暮らしの介護保険施設への入所対応
13回(2010(平成22)年)介護支援専門員の対応病院からの対応依頼

 勝手にタイトル的に内容をまとめてみましたが、「事例問題」は、基本的に利用者であるAさんに対して、介護支援専門員(ケアマネジャー)がどう対応することが「適切」なのかを選択する問題です。
 テーマとしては「一人暮らし」や「高齢者世帯」「認知症」「虐待」「サービス拒否」などの事例が多くあげられています。
 しかし、この「事例問題」は、介護支援専門員(ケアマネジャー)として、どのように対応するか、適切な対応は何かを問う問題であり、基本的に何らかの実務経験があるみなさんにとっては、他の問題と比較すると、容易に得点できる2問(1問)です。判断を誤らなければ必ず得点できるはずです。

 私のケアマネジャー受験対策セミナーでは、本番のケアマネジャー試験の問題では、はじめの問題1問題2「呪文がかけられている」とお話しています。
 『ケアマネジャー試験 過去問解説集2020』などで過去問題を見ていただければわかりますが、問題1問題2は「これから、あなたが解こうとしている試験は、難しい問題ばかりですからね」というメッセージを受験者にあたえるような、解きづらい問題になっています。
 ですので、セミナーでは、「だったら問題1問題2に取り組んで、出だしでつまずくより、問題24問題25で出される『事例問題』を先に解いてから、問題1に戻ったらどうですか?」とお話しています。

 そうなんです!! 「事例問題」は状況設定さえわかれば、あとは介護支援専門員(ケアマネジャー)としての適切な対応がどれか、消去法でもいいので、「より適切」だと感じる選択肢を選べばよいのです。 こうした八訂に書かれている「本物のケアマネジメント」については、来週からまとめますね。

 そして、事例以外に得点しやすいのは「居宅介護支援の指定基準」です。八訂「基本テキスト」でも重要な基準が一覧表にまとめられ、「最低限これぐらい知っておいてほしい!」と言っているみたいです。

「居宅介護支援の指定基準」について

 こうしたなか、本番のケアマネジャー試験問題をみて驚くのは、居宅介護支援事業者の「指定基準」(「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」)、や介護予防支援事業者の「指定基準」(「指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準」)に関する問題も2~3問程度出されていることです。
 具体的には、「居宅サービス計画」の作成方法などを「指定基準」と関連づけて、毎回出題されているのです。
 これらは、「指定基準」に定められていることから〇×の判断が明確にできるからだと考えられます。したがって、ケアマネジメントの展開プロセスにあわせて「指定基準」として、ケアマネジメントの展開が、「指定基準」においてどのように示されているのかを確認しておく必要があると思います。

 そこで、「指定基準」について考えてみましょう。
 「指定基準」とは、事業者の指定にあたって、一定のレベルを維持しているかを指定権者が判断するためのもので、基本方針・人員基準・設備基準・運営基準から構成されています。
 介護保険の制度内でサービスを展開する場合は、それぞれ指定権者から指定を受けていなければ、たとえ介護サービスを提供したとしても、介護報酬が受け取ることができないという仕組みとなっています。
 ご承知のように「指定居宅介護支援事業者」と「指定介護予防支援事業者」は市町村が指定することとなっていますね。
 そして、その指定するかどうかの判断になるのが、この「指定基準」と呼ばれるものです。居宅介護支援事業の指定基準には、「設備基準」が定められていないのが特徴ですが、「居宅介護支援」は『[八訂]介護支援専門員基本テキスト』(以下「基本テキスト」)1巻209~250ページ・「介護予防支援」については「基本テキスト」1巻348~352ページに記載されています。

 なお、「基本テキスト」1巻70~73ページ・『ケアマネジャー試験ワークブック2020』(「ワークブック」)15ページの「条例」についての記載がありますが、2011(平成23)年5月に「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(「地域主権改革一括法」)が公布され、従来は介護保険法で厚生労働省が定めるとされていた「指定基準」について、都道府県または市町村が制定する条例に委任されることになりました。
 とはいうものの、すべての基準をそれぞれの都道府県や市町村が条例で定めてよいかというと、そうではありません。厚生労働省令に、(1)従うべき基準、(2)標準、(3)参酌すべき基準として、都道府県や市町村の条例に定められる内容を分類して示しています。実際においても厚生労働省令で定める基準が、そのまま同じ文言で、条例として定められていることも多いですね。
 さらに、2014(平成26)年4月から「第3次地域主権改革一括法」が施行され居宅介護支援事業者の「指定基準」は、都道府県(指定都市・中核都市)の条例に(※2018(平成30)年からは市町村の条例に)、介護予防支援事業所、地域包括支援センターの「指定基準」は市町村の条例に委任されました。

どんな「指定基準」は知っていたほうがよいのか

 「居宅介護支援」も「介護予防支援」もほぼ同様な事柄を規定していますので、それぞれの違いを比べながら、学習しておくのもよいかもしれません。そこで「居宅介護支援」の基準で見ておいたほうがよいものをあげてみたいと思います。

  • 指定基準第2条 人員基準
    常勤の介護支援専門員を1以上おくこと。利用者の標準は35人であること。
  • 指定基準第3条 管理者
    常勤の管理者をおくこと。管理者は「主任介護支援専門員」であること。(兼務も可。)

 次に「運営基準」として、試験に向けて最低限、理解しておくべき基準を列記したいと思います。テキストをしっかりと読んでおいてほしいと思います。

  • 指定基準第5条 提供拒否の禁止
    正当な理由とは何か… 断っていい場合を理解しておきましょう。
  • 指定基準第7条 利用者の受給資格等の確認
    被保険者証の何を確認するのか…。
  • 指定基準第8条 要介護認定の申請にかかる援助
    これに違反すると…、申請代行ができませんね。
  • 指定基準第9条 身分を証する書類の携行
    介護支援専門員証を携行し、提示しましょう。
  • 指定基準第13条第7号 課題分析における留意点
    必ず居宅を訪問し、利用者・家族と面接して行います。「課題分析標準項目」を見ておきましょう。
  • 指定基準第13条第9号 サービス担当者会議等による専門的意見の聴取
    サービス担当者会議の開催。欠席した場合の意見聴取など。
  • 指定基準第13条第14号 モニタリングの実施
    月1回以上、居宅を訪問し、月1回以上記録を残すことが必要です。
  • 指定基準第13条第17号 介護保険施設との連携
    介護保険施設への紹介と退所時の円滑な支援をしましょう。
  • 指定基準第13条第19号・第20号 主治の医師等の意見等
    医療サービスの利用には、主治医の意見と指示の確認が必要です。
  • 指定基準第13条第22号・第23号 福祉用具貸与および特定福祉用具販売の居宅サービス計画への反映
    福祉用具の利用についての妥当性の判断、サービス担当者会議、理由を居宅サービス計画に記載します。
  • 指定基準第15条 利用者に対する居宅サービス計画等の書類の交付
    やむを得ず他のケアマネジャーに代わることになった場合も気持ちよく、直近の居宅サービス計画等を交付しましょう。
  • 指定基準第23条 秘密保持
    当然のことですが…。えっ! ケアマネジャーでなくなったあとも…。
  • 指定基準第25条 居宅サービス事業者等からの利益収受の禁止等
    介護支援専門員(ケアマネジャー)は公正中立な支援をします! これに違反すると…、更新認定の調査ができなどさまざまな制限ができます。
  •  

 

これ以外にも規定はありますが、これらの規定の内容についてはひととおり、解説の文章も読んだうえで理解しておく必要があると思いますよ。

 暦の上では「立秋」となります。猛暑を避け一日でも勉強しやすい時間が取れることを願っています。最近私もエアコンをタイマーで切れるように設定しているため、エアコンが切れた時間くらいから起きてしまい、本を読むようになりました。
 早朝のリフレッシュした時間も 受験勉強にはおすすめですよ~