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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2019年の合格率が18.5%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

2020ケアマネ試験

第12回  第4単元「保険給付」3回目

地域支援事業について予習してきましたか?

 2014(平成26)年の介護保険法改正部分では、要支援者に対する「予防給付」のうち「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」が廃止されています。これらのサービスは、市町村が2017(平成29)年度末までに、2011(平成23)年の介護保険法改正でこっそりと位置づけてあった「介護予防・日常生活支援総合事業」に切り替えられています。こうした改正は何故行われるのかという疑問を持っていただきたいのですが、答えはすべて「制度の持続可能性」という言葉にあります。

 要介護高齢者の増加は、当然のごとく「介護保険財源」を直撃します。介護保険財源は公費と保険料で折半されているのですが、公費負担の増大と保険料の高騰が、「持続可能」を判断しているともいえます。したがって、改正点を見る時に、そうすることによって「財源」にはどう影響するかと考えると改正した理由がわかります。

 もちろん利用者や被保険者にとっては、望ましかったり、好ましいかというと「改悪」ではないかという声が聞こえてくるかもしれませんね。

 少々、受験対策とは違う発言をしてしまいましたが、「何故?」という疑問をもちながら制度をみていくと興味深いですよ。

 さて「介護予防・日常生活支援総合事業」では、市町村がどのようなサービスを新しく組み立てているのかが大きなポイントになると思われます。さらに各市町村では「生活支援コーディネーター」の配置が行われ、「日常生活支援総合事業」の体制整備に向けた「協議体」の動きが加速度的に進められています。(新型コロナ感染症予防のため一時停滞してしまったところもあります。)

 そのうえで、「総合事業」である「介護予防・日常生活支援総合事業」を実際に行うのは、住民参加による「多様な実施主体」とされ、これまでの指定介護予防事業者のような法人格といったものがなくても、住民が中心となって行う活動や、コストの安いサービスであってもよいとか…。聞こえてくる内容はやっぱり介護保険制度の持続可能性だったと確信してしまいます。

 こうした様々な事業主体の継続性など、今後様々なことが心配になってしまいそうですね。

 さらに市町村ごとの独自事業も展開するとはいえ、「市町村格差」が現実として起きてきますね。このあたりのことを心配しているのは私だけでしょうか…。介護保険はこれからどうなっていくのでしょうか?
 もはや「介護の社会化」とか、「利用者本位」だとか介護保険制度創設の理念(『[八訂]介護支援専門員基本テキスト』(「基本テキスト」)1巻38~39ページ)はどこへ行ってしまうのかと思われます。

 さて、今週はその「地域支援事業」と「地域密着型サービス」についてお話します。

 まず、はじめに「地域支援事業」について解説していきます。先ほどお話ししたとおり「介護予防・日常生活支援総合事業」の実施については、すべての市町村が2017(平成29)年度末までに実施し、移行を完了しています。

もともと「地域支援事業」とは何だったのか?

 この「地域支援事業」が実施されるようになった理由は、2005(平成17)年の介護保険法の改正によるものですね。

 ご承知の通り、地域支援事業は「保険給付」ではありません。「地域支援事業」は「介護予防事業」を中心に展開するために、介護保険の財源を使って実施されている事業で、近年の「地域包括ケア」を推進するための大切な事業です。

 「基本テキスト」でも、第1巻160ページからかなりのページが割かれ、「基本テキスト」のなかでも重要な位置を占めているということを示しています。また「地域支援事業」を実際に行う「地域包括支援センター」も含めてページ数も多く割かれています(「基本テキスト」第1巻173~178ページ・『ケアマネジャー試験ワークブック2020』(「ワークブック」)94~114ページ)。

 介護保険法は、当初から実施後5年の状況を見て、大幅な改正が行うことが「附帯決議」されていました。これは、介護保険法にはいわゆる「見切り発車」的な事項も多く、「走りながら考える」状況だったからでした。

 私自身も「要介護認定の調査を委託することは、保険者としての怠慢ではないか?」とか「要介護状態の人に給付をするのが保険であって、要支援や援助の必要な人については税金(公費)で対応すべきではないか」、「ケアマネジメントの必要な人とそうでない人もいるのに全員に位置づけるのはおかしい!」など、多くの疑問を介護保険法施行当時も、そして現在ももっています。

 こうしたなか、2000(平成12)年に介護保険法が施行されて5年の2005(平成17)年がやってきました。

 状況的には制度施行の5年間で保険給付にかかる費用が急増したという大きな課題がありました。そこで「制度の持続可能性」という観点から、当時は「要支援」「要介護1~5」という6区分だったのですが、「要支援1・2」「要介護1~5」と「要支援2」という新しい区分を取り入れ、7区分とし、「要介護1」の人を「要支援2」と「要介護1」に分け、「要支援2」と認定された人は、「要介護1」より、区分支給限度額を6万円程度下げれば、少なくとも保険給付費を下げることができるとされたのです。

 また、要介護認定等を受ける人の要介護状態区分の伸び率についてみると、当時の「要支援」「要介護1」の区分の伸び率が非常に高かったのです(「基本テキスト」第1巻49ページ)。そこで財源抑制のために、「要介護状態」や「要支援状態」にならないようにする「介護予防」という考え方が示されました。

 そこで、介護予防をどのような展開をするのかを検討した結果、介護保険財源を使って「地域支援事業」を位置づけ、「介護予防事業」を市町村の必須事業として位置づけたのです(「基本テキスト」第1巻43ページ・「ワークブック」94ページ)。

さらに改正では

 この地域支援事業の本来の中心は、「介護予防事業」なんですが、当時の介護保険実施の状況において、「相談できる機関がない」とか「権利擁護が必要だ」とか「介護支援専門員を支える仕組みが必要である」といった状況があり、「介護予防」の拠点づくりとあわせ「包括的支援事業」も市町村の必須事業とされました。この「包括的支援事業」として「介護予防ケアマネジメント業務」「総合相談支援業務」「権利擁護業務」「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」を行う機関として「地域包括支援センター」が設置され、「介護予防事業」と「包括的支援事業」「任意事業」などがはじまったのです。

 さらに、2011(平成23)年の介護保険法改正では、より「地域包括ケアシステム」の実現への強化が取り組まれています。このとき、「地域支援事業」がさらに改正され、新しく「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)が、市町村の判断により実施することができるようになりました。

 この「総合事業」は、要支援・介護予防事業対象者向けに、介護予防・生活支援のために配食や見守り、安否確認、買い物支援などの生活支援サービスを実施できるものとして、その内容についても権利擁護や社会参加などの幅広い事業が検討されることになりました。

 「総合事業」の対象は、要支援者二次予防対象者を含めたものになるため、第5期介護保険事業計画(2012(平成24)年度~2014(平成26)年度)の途中であったために、市町村がどのような事業を準備したらよいか調査をする必要があったりして、市町村は「総合事業」の実施について慎重でした。しかし、はじめに述べたように、「総合事業」は、従来は「予防給付」の対象であった「要支援者」も対象にしていくため、今後は「総合事業」が重要な役割を担っていくことになります。

 また総合事業には、「包括的支援事業」の「第1号介護予防支援事業(要支援者を除く)」「総合相談支援業務」「権利擁護業務」「包括的・継続的ケアマネジメント支援業務」に加え、「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症総合支援事業」「生活支援体制整備事業」「地域ケア会議推進事業」が加わりました(「基本テキスト」1巻161ページ・「ワークブック」94ページ)。さらに、地域包括支援センターはもとより、地域包括支援センター以外にもこれらの事業は委託可能となっています。

 第22回では、包括的支援事業と第1号介護予防事業、さらに再試験では地域支援事業の全体的理解の出題がありました。 第21回では、生活支援体制整備事業の生活支援コーディネーターについての出題がありましたね。
 気になる方も多いと思いますので掲載しておきますね。いずれの問題も難易度は高い問題でした。

第22回(2019年)10月13日実施分

問題12 地域支援事業のうち包括的支援事業として正しいものはどれか。3つ選べ。

  • 1 生活支援体制整備事業
  • 2 介護予防把握事業
  • 3 認知症総合支援事業
  • 4 介護給付等費用適正化事業
  • 5 在宅医療・介護連携推進事業

正答は、1・3・5ですね。

問題19 第1号介護予防支援事業の実施について正しいものはどれか。2つ選べ。

  • 1 地域包括支援センターは、指定居宅介護支援事業所に委託することができない。
  • 2 利用者本人が居住していない地域の地域包括支援センターでも、実施が可能である。
  • 3 介護予防ケアマネジメントについては、サービス担当者会議を行う必要がない場合がある。
  • 4 介護予防ケアマネジメントについては、モニタリングを行う必要がない場合がある。
  • 5 要支援者は、対象とならない。

正答は、3・4ですね。

第22回(再試験)3月8日実施分

問題13 地域支援事業について正しいものはどれか。3つ選べ。

  • 1 介護予防・生活支援サービス事業には、生活支援体制整備事業が含まれる。
  • 2 介護予防・日常生活支援総合事業の財源には、第2号被保険者の保険料が含まれる。
  • 3 包括的支援事業は、公益法人以外には委託できない。
  • 4 一般介護予防事業には、地域リハビリテーション活動支援事業が含まれる。
  • 5 一般介護予防事業には、介護予防に関するボランティア等の人材の育成が含まれる。

正答は、2・4・5ですね。

第21回(2018年)

問題13 地域支援事業の在宅医療・介護連携推進事業として市町村が実施することとされているものはどれか。3つ選べ。

  • 1 地域住民への普及啓発
  • 2 医療・介護関係者の研修
  • 3 地域在宅医療推進員の設置
  • 4 地域の医療・介護の資源の把握
  • 5 地域リハビリテーション活動支援体制の構築

正答は、1・2・4ですね。

第20回(2017年)

問題20 生活支援体制整備事業において生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)の機能として規定されている内容について正しいものはどれか。3つ選べ。

  • 1 地域のニーズと資源の状況の見える化、問題提起
  • 2 生活支援の担い手の養成やサービスの開発
  • 3 要支援認定に係る認定調査の状況のチェック
  • 4 地域支え合いの観点からのケアプランの点検
  • 5 地縁組織等多様な主体への協力依頼等の働きかけ

正答は、1・2・5ですね。

第19回(2016年)

問題4 包括的支援事業のうち、地域包括支援センター以外に委託できる事業として正しいものはどれか。2つ選べ。

  • 1 総合相談支援事業
  • 2 権利擁護事業
  • 3 認知症総合支援事業
  • 4 包括的・継続的ケアマネジメント支援事業
  • 5 在宅医療・介護連携推進事業

正答は、3・5ですね。

問題7 地域包括支援センターの業務として正しいものはどれか。3つ選べ。

  • 1 地域ケア会議の開催
  • 2 居宅介護支援事業所開設の許可
  • 3 第一号介護予防支援事業の実施
  • 4 要介護認定の申請代行
  • 5 介護・医療連携推進会議の開催

正答は、1・3・4ですね。

 新しく位置づけられた4事業については、「基本テキスト」等でその内容を確認しておくことが重要です。なかでも、「生活支援コーディネーター」や「認知症地域支援推進員」といった新たな仕組みは要チェックだと思います。

「地域密着型サービス」はなぜ?

 地域密着型サービスは、2005(平成17)年の改正により位置づけられました。現在では介護給付として9種類、予防給付として3種類が位置づけられています(「基本テキスト」第1巻102ページ図・「ワークブック」48ページ図)。

 さて、保険給付としての「地域密着型サービス」は、市町村が指定するサービスとして、2006(平成18)年4月からはじまりました。つまり2005(平成17)年の改正によって新たに位置づけられた給付です。当時は、介護給付として8種類、予防給付として3種類がありました。

 特に「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)は、制度施行時から介護給付の「居宅サービス」として位置づけられていたものであり、なぜ地域密着型に位置づけられることになったのだろうかを考えると、この地域密着型サービスの創設された意味がよくわかります。

 少しまわり道をしてしまいますが、お話ししましょう。

 2000(平成12)年介護保険創設時の「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)の指定は都道府県であり、市町村の意向とは関係なく、指定基準を満たしていれば、申請に基づき指定が行われていました。したがって市町村が把握できない間に、「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)がどんどん増えていったのです。

 国も、「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)はとても有効なサービスであると認識し、基準や報酬についても配慮しながら、地域に密着してつくられることを期待していました。

 しかし、「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)は住所地特例対象施設第4回参照)ではないため、「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)利用者がグループホームに住所を移動すると、そのグループホーム所在地の被保険者となることになります。

 このことによって、他の市町村から多くの流入が起きると、その市町村の介護給付費が増え、介護保険事業計画にも影響するということになったのです。こうしたことが市町村を悩ませ、市町村の保険者としての権限を強化してほしいという声があげられることになりました。

 そこで、都道府県が指定するサービスではなく、市町村が指定、指導監督、更新等を行うサービス体系をつくるとともに、「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)を含め、いくつかの時代に沿った新たなサービスとして「夜間対応型訪問介護」や「小規模多機能型居宅介護支援」、「認知症対応型通所介護」などのサービスを新規に介護保険サービスに加えるとともに、定員規模の29人以下の小規模な施設サービスを加えて「地域密着型サービス」という新たな体系が生まれました。

 さらに2011(平成23)年の改正では、「定期巡回・随時対応型訪問介護・看護」と「看護小規模多機能型居宅介護」が加えられました。

 これらの「地域密着型サービス」は、居宅サービスの場合は区分支給限度基準額の適用となることもおさえておきましょう。

 さらに加えて、2017(平成29)年度から、「地域密着型通所介護」が新しく位置づけられました。この通所介護は、利用定員の比較的小規模(利用定員19人未満)の通所介護事業所が移行することになります。
 今後、「地域密着型サービス」の重要性は増すものと考えられるため、今年の問題には必ず出題されると思われます。「地域密着型通所介護」の創設にあわせて、「療養型通所介護」(利用定員18人以下。平成30年の改正で9人→18人に改正されました)もこの中に含まれることになりました。

 これにより介護給付として9種類、予防給付として3種類の地域密着型サービスとなりました。

 以上で「保険給付」の第4単元を終え、来週から第5単元「支える仕組み」に入ります。
 具体的に「支える仕組み」とは「国民健康保険団体連合会」・「国」・「都道府県」となります。

 予習は大歓迎ですよ!!

 そろそろ受験手続も締切が迫っていると思います。
 完了していますか?