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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2019年の合格率が18.5%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

ケアマネジャー試験ナビ2020
2020ケアマネ試験 頑張りましょう‼
2020ケアマネ試験

第11回  第4単元「保険給付」2回目

「保険給付」の2回目をはじめます!!

 先週は基本テキストの重要性について、「ケアマネジャー試験 過去問でる順一問一答2020(一般社団法人神奈川県介護支援専門員協会編集)を紹介しながらお話をさせていただきました。
 一昨年発行された『[八訂]介護支援専門員基本テキスト』(「基本テキスト」)は、2色刷りとイラストの豊富さにより、七訂までの基本テキストと全く違う印象となり、読みやすくなったともいえます。
 がしかし・・・ 2色刷りで大切な語句に色づけされているという部分がないのが残念ですね。

 さてさて、大学の卒業生から「今年は絶対合格したいので相談に乗ってください!」って連絡がありました。
 もう既にテキストや問題集などは準備しましたが、何もしないうちに今を迎えてしまい、受験手続は要項を入手したところで、このコロナ予防で何も手をつけていなくて…、これからでもできるだろうかという相談でした。とりあえずこの「けあサポ」も読んでくれていて、合格のための「受験計画」も立てたとのことでしたが、「時間は、まだあると」思っていたら受験願書提出の時期、何もしていないことに慌てているみたいでした。「大丈夫、貴方なら合格できます」とおまじないをかけてあげました。みなさんは大丈夫ですよね。
 今こそ、「受験計画」から「合格計画」に変更し、モニタリングをしてみてくださいね。

 ケアマネジメント過程の「モニタリング」には、現状を再度アセスメントし、計画を修正していくフォローアップのプロセスがあるんです。そうしたプロセスがあるから「マネジメント」(管理していく)というのだとしたら、もう一度、自己の学習を振り返り、あと「110日」あまりをどのように取り組むのか、いったん再アセスメントしてみてはいかがでしょうか?
 方法はいろいろありますが、自分の知識を『模擬試験』で60問をやってみて、実力を計ってみるのもよいかもしれません。みなさんも頑張りましょうね。

 では今週もはじめますよ。 保険給付のうち難しいところの解説ですから、テキストやワークブックの該当部分を読みながらでも、じっくりと時間をかけてこの部分は学習してくださいね。

低所得者に対する配慮

 さて、前回は保険給付の具体的な方法や利用者負担について解説しました。今週は、その利用者負担について制度上の配慮や低所得者に対する配慮について解説していきます。
 先週お話ししたように、保険からの給付は「9割」または「8割」・「7割」であり、残りの「1割」または「2割」・「3割」が自己負担として利用者が負担することになっています(所得の多い方は、「8割」の給付、「2割」の負担に加え、平成30年8月からは、3割負担も導入されました。(今年の出題ポイントですね)

 定率の自己負担の他にも「利用者負担」として、食費(材料費・調理費相当額)や居住費(光熱費等)についても全額利用者負担となっています。あわせて、在宅生活者が受けるサービスでは呼び方がかわるものがありますよ。例えば、通所介護(デイサービス)や短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)などで、食事がある場合は、「食費」の負担があります。さらに短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ)では「食費」に加えて「滞在費」も全額自己負担です。

 こうした負担の仕組みは、あくまでも制度の公平性として行われているのですが、介護保険制度には、実はとても利用者に優しい仕組みもありますよ。

高額介護サービス費と高額医療合算介護サービス費等

 その1つが「高額介護サービス費」『[八訂]介護支援専門員基本テキスト』(「基本テキスト」)1巻118~119ページ・『ケアマネジャー試験ワークブック2020』(「ワークブック」)58~59ページ)です。
 これは、定率の利用者負担つまり「1割(2割・3割)負担」の世帯合計額または個人の額が一定額を超えた場合、その超えた額が「償還払い」によって給付されるものです。

 なお、この高額介護サービス費は、すべての利用者が対象ですが、利用者の所得状況によって負担しなければならない上限額が設定されています。低所得者にはこの上限額を低くすることによってさらに配慮しています。

高額介護サービス費による負担上限額
所得区分負担上限額(月額)
現役並み所得相当44,400 円(世帯)
世帯のいずれかが市町村民税課税44,400 円(世帯)
※同じ世帯のすべての65歳以上の高齢者の利用者負担割合が1割の世帯に年間上限額(446,400円(37,200円×12か月))を設定
市区町村民税非課税世帯等24,600 円(世帯)
 年金収入80万円以下等15,000 円(個人)

例をもとに少し説明しましょう。

 低所得でない「世帯のいずれかが市町村民税課税(利用者負担割合が1割)」で、要介護5の利用者がいると仮定しましょう。要介護5の「区分支給限度基準限度額」は36,217単位(「基本テキスト」1巻112ページ・「ワークブック」52ページ)です。
 令和元年10月の消費税率の改正にともない、区分支給限度基準額が変更となっています『長寿社会開発センター「2019(令和元)年10月1日の消費税率引上げに伴う改正内容について」)。基本テキストを修正しておくとよいですね。
 区分支給限度基準額まで目いっぱいサービス利用した場合は、1単位=10円の地域の利用者1割負担分は、36,217円となります。

 この利用者は、「高額介護サービス費」の適用となる負担上限額は、月額では37,200円です。そのため、「高額介護サービス費」の対象となりません。
 しかし、その世帯にもう1人「要支援2」の方が同居していて、その方の1割負担額として20,000円を負担していたとしましょう。その世帯の利用者負担合計額は56,217円となり、「高額介護サービス費」の適用となる負担上限額44,400円についての超過分として11,817円が発生します。この11,817円という額が高額介護サービス費として、その世帯に「保険給付」として償還払いされる仕組みです。

 現役並み所得のある世帯については、月あたり44,400円という負担上限額が設定されています。

 さらに2008(平成20)年からは、「高額医療合算介護サービス費等」(「基本テキスト」1巻119~120ページ・「ワークブック」59~60ページ)が位置づけられています。これは医療保険と介護保険の両サービスを利用した世帯で、1年間の自己負担合計額が一定額を超えた場合に、2つの保険制度から按分によって支給されるものです。
 「基本テキスト」には詳細が複雑なために金額などについては書かれていませんが、この「制度があること」ぐらいはおさえておきましょう。また、この「高額医療合算介護サービス費等」も、「償還払い」となりますので、この点もおさえておきましょう。

さらに、「食費・居住費」の負担についても・・・

 先ほどお話ししたように、施設利用者の食費ならびに居住費については全額利用者負担です。しかしながら、2005年(平成17)の介護保険法改正以前は、サービス費1割の定率負担と食材料費を合わせて、1か月の利用者負担が約8万円程度であったのに対し、2005年(平成17)の介護保険法改正により、12万円以上を負担しなければ、施設を利用することができない状況になりました。

 そこで入所中の低所得者に対する配慮も同時に行われることになりました。具体的には、「特定入所者介護サービス費等」(「基本テキスト」1巻122~126ページ・「ワークブック」61ページ)です。
 基本テキストでは、やたらと「特定○○」っていうのが出できますね。「特」がついたら特に注意してほしいですね。これまででは「特定疾病」とか「特定施設」とかありましたね。

 さて、この「特定入所者介護サービス費等」ですが、「入所者」という言葉の前に「特定」をつけていることから、入所者について特定しているものですね。つまり特定の「所得段階」の人に限定しているものです。

 突然ですが、この「所得段階」で思い出すことがありませんか?
 そうですね。第6回「保険料」のところで解説した「所得段階別定額保険料」(「基本テキスト」1巻78ページ・「ワークブック」88ページ)を思い出してほしいですね。

 実はこの所得段階別定額保険料の段階と、「特定入所者介護サービス費」の支給対象となる特定入所者とは関連しているのです。
 詳しくは「基本テキスト」や「ワークブック」を見ていただきたいのですが、この所得段階に該当する人は、「介護保険負担限度額認定証」を申請により保険者から交付を受け、入所施設や短期入所施設等に提示することにより、それぞれの所得段階ごとに設定されている負担限度額までを負担すればよくなるというものです。

 実際にサービスを給付した施設等は、この利用者が負担をしなくてよい介護報酬の不足分について介護保険から「補足給付」として保険者である市町村に対して、請求し、受領します。施設等が利用者に配慮して定額にしているものではありません。

 さらに、社会福祉法人には利用者負担の軽減制度などもあります。

「利用者負担」に関する問題

 介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)では、3年前までは必ず「利用者負担」に関する問題が出題されていましたが、一昨年と昨年、さらに再試験でも出題が見られません。
 とても不思議です !!  たぶん今年のためにお休みしているのかもしれません。
 過去問題を掲載しておきますので確実に押さえておきましょう。

第20回(2017年)

問題7 高額介護サービス費の支給について正しいものはどれか。2つ選べ。

  • 1 第1号被保険者である生活保護の被保護者は、対象とならない。
  • 2 居宅要支援被保険者は、対象とならない。
  • 3 施設サービスの食費は、対象となる。
  • 4 施設サービスの居住費は、対象とならない。
  • 5 負担上限額は、所得によって異なる。

→第20回・問題7の正答は、「4・5」になります。

  • 1 高額介護サービス費は、所得に応じて上限額が設定されており、生活保護世帯も個人で15,000円の設定がある。
  • 2 居宅の要支援者も対象となる。 (高額介護予防サービス費)
  • 3 施設サービスの食費、居住費は高額介護サービス費の対象とならない。

第19回(2016年)

問題8 社会福祉法人による利用者負担額軽減制度の対象となる居宅介護サービスとして正しいものはどれか。3つ選べ。

  • 1 訪問入浴介護
  • 2 訪問看護
  • 3 小規模多機能型居宅介護
  • 4 夜間対応型訪問介護
  • 5 第一号訪問事業のうち介護予防訪問介護に相当する事業

  • →第19回・問題8の正答は、「3・4・5」になります。
    「基本テキスト」1巻128ページ・「ワークブック」62ページの表中からの出題ですが、対象サービスの詳細までは …難易度が高すぎますね。

第18回(2015年)

問題13 介護保険制度の利用者負担について正しいものはどれか。2つ選べ。

  • 1 介護給付は、1割負担である。
  • 2 高額介護サービス費は、世帯単位で算定する。
  • 3 短期入所系サービスの滞在費は、1割負担である。
  • 4 食費は、社会福祉法人による利用者負担額軽減制度の対象となる。
  • 5 地域支援事業の第1号訪問事業については、利用料を請求できない。

→第18回・問題13の正答は、「2・4」になります。

  • 1 2015(平成27)年8月からは、「2割」負担が導入されている。(年金収入等 280万円以上)
  • 2 2018(平成30)年8月からは、「3割」負担も導入されている。(年金収入等 340万円以上)
  • 3 滞在費については、保健給付の対象となっておらず、全額自己負担となる。
  • 5 第1号訪問事業は、総合事業の訪問型サービスのことで、利用者に利用料を請求できる。

 このように利用者負担に関する問題は、必ず1題は出されていましたよ。

 低所得者の負担軽減策についても、「基本テキスト」「ワークブック」に戻って、いま一度確認しておきましょう。

 来週は、今年も出題される可能性が高い「地域支援事業」について解説しますよ。保険給付としての3種類(介護給付・予防給付・市町村特別給付)ではないのですが、介護保険財源を活用して市町村が必ず行わなければならないものなので、保険給付の単元で解説しますね。

 特に、「介護予防・日常生活支援総合事業」や、包括的支援事業の内容をじっくりと説明したいと思います。

 あっ! 「受験手続」大丈夫ですか ?