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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

2019年の合格率が18.5%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

ケアマネジャー試験ナビ2020
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2020ケアマネ試験

第10回  第4単元「保険給付」1回目

突然ですが・改めて「八訂基本テキスト」はお持ちですか?

 私の受験対策の基本は「基本テキスト」と23年前からお話させていただいていますが、『[八訂]介護支援専門員基本テキスト』(「基本テキスト」)はお持ちですか?

 なぜそんなことをお話したかという説明になりますが、もう一冊、機会があったら手に取っていただきたい受験対策本として、中央法規さんの出版している『ケアマネジャー試験過去問でる順一問一答2020』(一般社団法人神奈川県介護支援専門員協会編集) を是非ともご覧いただきたいと思います。この過去問集は、私が解説しているように、過去4年の試験問題を分野ごとにさらに「でる順」にして、過去問題を解説しています。その選択肢が「○」なのか「☓」なのかといった学習にはもちろんですが、解説については「基本テキスト」の記載該当ページを示しています。このことからも多くの出題は、基本テキストから出題されていることになります。

 したがって、今年はコロナ感染拡大防止のため中止となりましたが、私がお話しする受験対策セミナーでも、確実なる理解と合格のために「基本テキスト」を教材として解説していた理由です。試験に出題された箇所を正確に理解するためにも、ぜひ「基本テキスト」をお手元に、学習をすすめていただきたいのです。

 さて、いよいよ本講座も今回から、第4単元の「保険給付」の解説に入ります。本講座では介護保険制度をその要素である6つに単元分けをし、解説をしてきています。


「保険給付ってなに?」という人は・・・、いないことと思いますが・・・

 さて、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、ケアマネジメントの技術を駆使して、利用者のニーズに適切な社会資源を結びつけ、適切なサービスが提供されることによって、利用者が自立した日常生活がおくられるように支援することが業務ですね。

 したがって、いかに利用者のニーズに適合するサービスや社会資源を提供できるかということは大きなポイントとなります。つまり、具体的には、介護保険制度で「保険給付」される介護サービスの内容を熟知していることが必要なのです。

 この「保険給付」のうち、具体的なサービス内容や、サービス利用者の特性、運営基準、さらに介護報酬などは、「介護支援分野」ではなく「保健医療・福祉サービス分野」で出題されます。

 したがって、本講座では「介護支援分野」は、この部分を除く、つまりその基本となる保険給付の種類や仕組みを中心に進めていきたいと思います。さらには各サービスの共通事項(「基本テキスト」第2巻に該当箇所があります)を理解できるようになりましょう。

 こうした介護保険サービスを知ったうえで、利用者に適切なサービス提供を結びつける必要がケアマネジャーにあるわけですから、当然、試験問題での出題数も多くなります。この「保険給付」の単元を完璧にマスターすれば、先週の「保険事故」と同じように、得点が稼げる単元といえます。
頑張っていきましょうね。

保険事故と保険給付

 これまで解説してきたとおり、介護保険制度では「要介護状態」「要支援状態」を「保険事故」とし、その事故認定、つまり「要介護認定等」を受けることによって、介護保険からの給付が行われるようになります。そして、このことを「保険給付」といいます。さらに、この「保険給付」については、2005(平成17)年の介護保険制度改正により、制度の持続をするために「介護予防」の考え方が重要視されるようになり、「介護給付」に加えて、「地域支援事業」として「介護予防事業」などに、介護保険財源から拠出が行われることになりました。

 さらに、住民活動を含めた「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)も加わりました。そこで「保険給付」を、いったんどんな「区分け」ができるのか考えてみました。
下記の「サービス概要図」(オリジナル)を見てください。

<サービス概要図>

[印刷用PDF]



 この「サービス概要図」は、私が勤める大学の学生に、「複雑な保険給付の仕組み」を1つの図にまとめて説明してみたいと思って作成したものです。

 <サービス概要図>の左側にあるのが「保険給付」の種類で、右側にあるのがその「対象者」であり、具体的なサービスや業務などを中ほどにまとめてあります。

 [印刷用PDF]をクリックすると、PDFファイルがダウンロードできます。ぜひプリントアウトしていただいて、これからの解説とあわせてみていただければと思います。

「保険給付」の種類

 はじめに覚えることとして、介護保険法に定める「法定給付」として全国一律の「介護給付」「予防給付」があります。またこれに加えて、市町村が条例で定めて行う「市町村特別給付」(<サービス概要図>の一番上のほう)というものがあり、介護保険法による「保険給付」としてはこの3種類が位置づいていることを理解してください(「基本テキスト」1巻102ページ・『ケアマネジャー試験ワークブック2020』(「ワークブック」)41ページ)。

 「介護給付」には、さまざまな保険給付がありますが、とりあえず<サービス概要図>の一番右側を見ていただくと、その対象者が囲まれているのがわかると思います。
 「介護給付」は、要介護認定1~5を受けている人が利用できる保険給付となります。そして「予防給付」は、要支援1または要支援2の認定を受けている人か利用できる保険給付となります。

 この2つの給付の大きな違いを見てみると、「予防給付」には「施設サービス」がなくて、「介護給付」に「施設サービス」があることや、居宅サービスについては、「予防給付」のサービス種別には「介護予防訪問看護」など、「介護給付」のサービスに「介護予防」のことばが頭につけられる以外は、ほぼ同じ内容だといえます。

 また、2005(平成17)年の介護保険制度改正で、「地域密着型サービス」という「保険給付」が位置づけられました。この「地域密着型サービス」にも、要介護1~5と要支援1、2の区分で「地域密着型サービス」9種類と「介護予防地域密着型サービス」3種類の2つがあります。

 内容的に見てみると、要支援状態の人が利用することが想定されない「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や「夜間対応型訪問介護」など6つのサービスは位置づけられていないので注意が必要です<試験に出ますよ!>。

 2011(平成23)年の介護保険制度改正によって追加された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「複合型サービス」(「看護小規模多機能型居宅介護」と改称された)は、地域包括ケアを進めるため、介護と医療の連携強化の視点から始まったものですので、要介護1~5の認定を受けた人だけが利用できるなど注意が必要です。

 さらに、2015(平成27)年の介護保険制度改正で、2016(平成28)年4月から、地域密着型サービスとして「地域密着型通所介護」が新しく位置づけられました。

 このほか、<サービス概要図>の左側に「市町村特別給付」「地域支援事業」「保健福祉事業」といった「保険給付」や、<サービス概要図>の右側に示されている対象者について、まず理解していただきたいと思います。

 また、「介護給付」と「予防給付」を提供するサービス事業者や施設の「指定、指定更新、指導監督等」は都道府県知事であるのに対し、「地域密着型サービス」の指定等は、市町村長であり、基本的にその市町村の住民しか利用できないといった相違があります(「基本テキスト」1巻102ページ・「ワークブック」46ページ)。サービスによって事業者の指定を誰が行うのかといった点も理解しておきましょう。

 さらに、「保険給付」を行うにあたっては、「要介護認定等」と「ケアプランの作成」が位置づけられています。ケアプランは要介護1~5の「要介護者」は、「居宅介護支援」、要支援1、2の「要支援者」には、「介護予防支援」として、ケアプランの作成には利用者負担が発生しない10割給付として位置づいています。

 「居宅介護支援」の事業者は、「介護給付」と同様、都道府県知事が指定等を行い、「介護予防支援」は、「地域密着型サービス」と同様に市町村長が指定します(地域包括支援センターが行う業務となります)。

 ここでこれまでの「保険給付の種類」についてのキーワードをいったんまとめて、整理してみます。

  • ●介護給付(「基本テキスト」1巻103~108ページ・「ワークブック」43~46ページ)
     要介護者に対して、介護保険から給付されるサービス(居宅サービス=12種類、施設サービス=4種類、地域密着型サービス=9種類)
  • ●予防給付(「基本テキスト」1巻106~108ページ・「ワークブック」46~47ページ)
     要支援者に対して、介護保険から給付されるサービス(居宅=10種類、地域密着型=3種類)。
  • ●市町村特別給付(「基本テキスト」1巻107~108ページ・「ワークブック」41ページ)
     第1号保険料を財源に市町村が行う、法定の保険給付以外の独自給付。移送サービス・給食配達サービスなど、その内容は条例によって定められる。
  • ●地域密着型サービス(「基本テキスト」1巻104ページ・「ワークブック」44ページ)
     要介護者に対しては、(1)定期巡回・随時対応型訪問介護看護、(2)夜間対応型訪問介護、(3)地域密着型通所介護、(4)認知症対応型通所介護、(5)小規模多機能型居宅介護、(6)認知症対応型共同生活介護、(7)地域密着型特定施設入居者生活介護、(8)地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、(9)看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の9種類のサービスがあり、(4)(5)(6)のサービスは要支援者にも提供可能となっている。
  • ●居宅介護支援・介護予防支援 (「基本テキスト」1巻104~105ページ・107ページ・「ワークブック」45ページ・46ページ)
     居宅の要介護者・要支援者に対してケアマネジメントを行い、「居宅サービス計画」等を作成する。なお、居宅介護支援・介護予防支援のサービスには、利用者の定率負担はない。

デパートやスーパーに行って

 デパートやスーパーに買い物に行くと、値札が貼られていることが多いと思います。介護保険で給付される「サービス」についても、それぞれに「介護報酬」という「値段」がつけられています。そして、それらのサービスを「支給限度基準額」の範囲内で購入した場合、介護保険から被保険者に対して、「9割」または「8割」が保険給付され、利用者は「1割」「2割」または「3割」を自己負担するのが原則です。
 もちろん「支給限度基準額」を超えるサービスの利用はOKですが、超えた分は、保険給付はされず、全額自己負担となります。

 「保険給付」は、「介護報酬」の「9割」または「8割」・「7割」です。「保険給付」の形態には、「現物給付」(「基本テキスト」1巻114~115ページ・「ワークブック」57~58ページ)と「償還払い」(「基本テキスト」1巻114ページ・「ワークブック」57ページ)の2つがあります。

 基本的に介護保険は、「法定代理受領方式」(「基本テキスト」1巻115ページ・「ワークブック」58ページ)を採用しています。「現物給付」となるようにして、利用者が「1割」あるいは「2割」、「3割」のみを支払えば、サービス(現物)を利用できる仕組みとなっており、保険給付の手続きを簡素化しています。

 簡単にいえば、デパートやスーパーで1万円のものを買う際に、「1割分」の場合、1,000円を支払えば、商品を受け取ることができる仕組みが「現物給付」です。

 一方の「償還払い」は、1万円の買い物をして、1万円を支払い、その領収書を保険者へもっていき、請求してはじめて保険給付分の9,000円または8,000円、7,000円が還付される仕組みです。

 先ほどお話ししたように、事務手続きの簡素化をするために、介護保険では基本的に「現物給付」の形態を採用しています。ただし、「福祉用具購入費」「住宅改修費」「高額介護サービス費」「高額医療合算介護サービス費」については現物給付化が認められていないことには注意が必要です。

 少し難しい法律用語が出てきました。そこで「保険給付の基本的な考え方」についての重要ワードをまとめてみました。「基本テキスト」や「ワークブック」の該当ページもご覧いただきながら、理解してみてください。

  • ●利用者負担(「基本テキスト」1巻117~118ページ・「ワークブック」56ページ)
     応益負担の原則から、居宅介護支援や介護予防支援にかかる費用を除くサービス費用については、定率(1割・2割・3割)を利用者が負担する(残りの9割・8割・7割については、介護保険財源から給付される)。なお、介護保険施設等を利用する際の食費・居住費(滞在費)については、低所得者に配慮した補足給付はあるものの、原則、全額利用者負担とされている。
  • ●現物給付(「基本テキスト」1巻115~116ページ・「ワークブック」57~58ページ)
     サービスの利用は、1割・2割の自己負担の支払いのみで可能となっている。本来は「償還払い」の形式を経るべきだが、指定サービス事業者や指定施設から指定のサービスを受けることなど、一定の要件を満たすことを前提に、法定代理受領方式により利用者の利便を図っている。
  • ●償還払い(「基本テキスト」1巻114ページ・「ワークブック」57ページ)
     まず、サービス利用者が事業者や施設に利用料の全額を支払う。そのうえで、事業者・施設から発行された領収書等を「保険者」である市町村に提出することにより、9割・8割の保険給付を受けとる。なお、福祉用具購入費、住宅改修費、高額介護サービス費等は「償還払い」である。
  • ●高額介護サービス費等(「基本テキスト」1巻118~119ページ・「ワークブック」58~59ページ)
     利用者負担の合計が一定額を超えた場合、家計に与える影響から、負担軽減を図るために行う保険給付。所得段階別に負担上限額(44,400円・37,200円・24,600円・15,000円の4段階)が設定されている。
  • ●高額医療合算介護サービス費等 (「基本テキスト」1巻119~120ページ・「ワークブック」59~60ページ)
     医療保険と介護保険の両サービスを利用する世帯において、1年間(前年の8月から当年の7月)の介護保険と医療保険の自己負担額の合計が一定額を超えた場合、その超えた額が自己負担額の比率に応じて按分され、それぞれの保険から支給される。医療保険からは「高額介護合算療養費」が支給される。
  • ●低所得者への配慮 (「基本テキスト」1巻122~128ページ・「ワークブック」61~62ページ)
     社会福祉法人等による利用者負担の軽減制度、要介護旧措置入所者に対する特例措置、高額介護サービス費等の負担上減額の引下げ、高額医療合算介護サービス費、特定入所者介護サービス費等の支給がある。
  • ●特定入所者介護サービス費等 (「基本テキスト」1巻122~126ページ・「ワークブック」61ページ)
     介護保険施設等を利用する際の食費・居住費(滞在費)についての利用者負担に対する補足給付。ここでも負担段階を設定し、低所得者への配慮がなされている。所得(年金等)と資産(現金・預貯金等)の 状況による。
  • ●介護報酬 (「基本テキスト」1巻108~111ページ・「ワークブック」49~50ページ)
     保険給付の対象となる各種サービスの費用の算定基準。介護報酬として1単位の単価(10円を基本に地域差を反映)を乗じて計算される。サービスを提供した事業者・施設は、市町村から委託を受けた国民健康保険団体連合会や利用者に費用請求を行う。
  • ●支給限度基準額 (「基本テキスト」1巻111~115ページ・「ワークブック」52~54ページ)
     負担と給付の公平を図る観点から、居宅サービスや地域密着型サービスについて支給限度基準額が設定されている。区分支給限度基準額、種類支給限度基準額、福祉用具購入費支給限度基準額、住宅改修費支給限度基準額がある。区分支給限度基準額、種類支給限度基準額の2つの限度額管理期間は1か月。

 来週は、「保険給付」2回目として「事業者指定」や「高額介護サービス費」「低所得者に対する配慮」などについて解説します。

 いよいよ受験勉強も本格化してきましたね。その調子、その調子!!
そして、もう一つ 受験手続も忘れないように 実務経験証明証などの必要書類がありますからね。