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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

合格率が21.5%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

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平成30年度(第21回)介護支援専門員実務研修受講試験 解答速報掲載 閲覧登録はこちらから

第28回 第21回介護支援専門員実務研修受講試験の講評

 受験されましたみなさん 本当に長い間の学習、おつかれさまでした。
 心より、みなさんの努力された姿に敬意を表します。「おつかれさまでした。」

 さて、厚生労働省は先日、今回のケアマネ試験の受験者数について発表をしています。
 受験者数は「49,312人」でした。
 えっ? 言葉が出ません。過去最少??

 セミナーの講義を担当しながら、今年の受験者数は、相当な減少となり「4割減」か「5割減」とか感じていたのですが…。 (期待値として、「60,000人」くらいと考えていました)
 なお昨年の受験者数については、駆け込み受験もあって一昨年より若干増えて「131,560人」でした。
 今年は、受験資格が厳しくなったり、介護保険法が改正となったり、加えて「基本テキスト」が改訂されたなどの要因があって、なんと「6割を超える」受験者数の激減だったわけです。
 まずはこの状況をどう捉えるのか、懸案となると思われますが、講評のあと加えて述べたいと思っています。

試験問題は「難しかった」のか、「例年通り」なのか、「易しかった」のか

(1)介護支援分野・25問の構成と難易度

 やはり問題1は介護保険法、問題2は「新オレンジプラン」に関する難問でしたね。
 セミナーでもこの受験対策講座でも、最初の2問は難問、『呪文をかける問題』とも表現しましたが、本当に「答えにくい問題」でしたね。セミナーでは「オレンジプラン」は出題可能性が高いので、ひと通り学習を終わったら、改正点の「オレンジプラン」は押さえておいてくださいとお願いしていたところですが、やはりスタートから受験生に呪文をかけ、時間を取らせる問題でしたね。
 それに比べて問題25には比較的易しい「事例問題」があり、この事例が問題24もだったら「儲けもの」です。なんてセミナーでお話しましたが、なんと今年は、問題24と問題25が事例問題。易しい問題でした。
 が、しかし…

 それ以外の21問については、これまでにも出題された(いわゆる過去問)の選択肢に近いものもありますが、その選択肢以外には『聞いたことがない』ような選択肢も散見され、結構「歯ごたえのある」いや「歯が折れてしまうような」難問もみられました。
 さらに、介護支援専門員はケアマネジメントが業務なのに対し、ケアマネジメント業務やケアマネジメントの考え方の問題が少ないのは残念でした。問題17と問題18と事例問題でケアマネジメントのあり方の出題と考えるのでしょうか。八訂基本テキストには、斬新で重要なポイントも書き下ろされているにも関わらず、残念極まりないところです。

 したがって、介護支援分野25問は、かなり「難しかった」といえます。その最たる例は、問題21の「認定調査票の基本調査項目」ですかね。


(2)保健医療サービスの知識・20問の構成と難易度

 保健医療サービスの知識についての問題区分の「基礎」と「総合」がなくなったことにより、全20問が基礎的な内容からの問題となりましたね。全体的には「易しい」とは言えませんが、これまでの出題傾向や、重要事項をちりばめた、よい問題であったと感じました。

 介護保険サービスに関する問題が、問題40から問題45の6問で出題され、新設された「介護医療院」の問題も出題されるなど、保健医療サービス分野は全20問となったことで、出題範囲がカバーできるようになったためなのか、介護支援分野と比較すれば「少し易しい問題」であったと言えます。


(3)福祉サービスの知識 15問の構成と難易度

 福祉サービスの知識の問題については、基本テキストの大幅改訂があるにも関わらず、これまでと変わらない出題でしたね。
 基本テキストでソーシャルワークを「ミクロ」「メゾ」「マクロ」などと表記していたものが「集団援助」や「地域援助」に変わったぐらいで、出題傾向はほぼ同様でしたね。関連する社会福祉制度については、改訂された基本テキストでは、「高齢者すまい法」や「個人情報保護法」、「育児・介護休業法」など新しく書き加えられた部分があるにも関わらずまったく出題すらされなかったのはなぜでしょうかね。来年に出題しますよってことですかね(笑)
 したがって、関連する社会福祉制度は従来通り、生活保護、成年後見制度、後期高齢者医療の3題で、これまでもよく出題されてきた選択肢でした。

 基本テキストの改訂が反映されていないという不満は残りますが、福祉サービスの知識15問についても、例年通りで、しかも「比較的易しい」問題であったと言えます。

介護支援分野の得点が合否の鍵となる

 さて、分野ごとの内容分析から今年の試験の合否については、やはり「介護支援分野」の得点が鍵となることでしょう。

 合格基準として、「介護支援分野」と「保健医療・福祉サービスの知識分野」の2つの区分において、それぞれ一定の得点(7割)を基準としています。 基準通りであればそれぞれ 「18.5点」と「24.5点」が合格基準となりますが、問題の難易度で補正することとなっており、過去にこの「19点・25点」となったことはほとんどありません。
 しかしながら冒頭にお話ししたように、受験者数の激減は、受験者の得点率が拡がる可能性が高いうえ、基準点の前後1点の分布が大きなポイントとなることでしょう。

 これまでの試験でも合格率だけが先行して、「受からない試験」としてみられています。やっと昨年は合格率を若干上げたところですから、今年もと行きたいのかもしれませんが、分布状況が気になるところですね。特に「介護支援分野」の得点率の拡がりがあると思われますので、合格基準を決めるには大変なことだと思います。
 正答率70%と定めておいて、問題が難しかったので、25点中で5割以下の12点に設定はできないでしょうから…。
 そうすると、合格率を20%台にすることは困難になると考えられます。
 受験者数の激減は、「合格基準の正当な評価」と「合格率の維持」という大きな懸案事項を抱えて、合格発表の日を待つことになりますね。

参考 過去3年間の合格基準
分 野問題数合格基準
第18回第19回第20回
介護支援分野25問13点13点15点
保健医療福祉サービス分野35問25点22点23点

これまでの全試験の受験者数と合格者数(合格率)
 受験者数合格者数合格率
第1回(1998年)207,080人91,269人44.1%
第2回(1999年)165,117人68,090人41.2%
第3回(2000年)128,153人43,854人34.2%
第4回(2001年)92,735人32,560人35.1%
第5回(2002年)96,207人29,508人30.7%
第6回(2003年)112,961人34,634人30.7%
第7回(2004年)124,791人37,781人30.3%
第8回(2005年)136,030人34,813人25.6%
第9回(2006年)138,262人28,391人20.5%
第10回(2007年)139,006人31,758人22.8%
第11回(2008年)133,072人28,992人21.8%
第12回(2009年)140,277人33,119人23.6%
第13回(2010年)139,959人28,703人20.5%
第14回(2011年)145,529人22,332人15.3%
第15回(2012年)146,586人27,905人19.0%
第16回(2013年)144,397人22,331人15.5%
第17回(2014年)174,974人33,539人19.2%
第18回(2015年)134,539人20,924人15.6%
第19回(2016年)124,585人16,281人13.1%
第20回(2017年)131,560人28,233人21.5%
2,755,820人695,017人

 受験された皆さんにとっては、安心できる毎日ではないかもしれませんが、静かに発表を待つ時間となるので、受験勉強でできなかったことをしばらく実践してくださいね。
 リフレッシュのために映画や演劇、コンサートなどに行かれることをおすすめいたします。 本当にご苦労さまでした。
 試験に合格したら「実務研修」を受講して、利用者本位のケアマネジメント実践を期待しています。

最後に・・・

 最後に「実務研修」を行うため準備している都道府県においても受験者数の6割減により、合格者が確定したあとの「実務研修」の開催方法も大幅な予定変更をしなければならない事態となることが予測されます。
 受験者数の減は予想していたものの、この減り方は何故なのでしょうか。

 ひょっとすると、ケアマネジャーの業務や社会的評価なども大きく影響しているのかもしれません。来年の試験では、1年間受験できなかったけど、実務期間が満了して受験できる方々も増えてくることは明白です。そうしたことを考えると、受験対策にかかわってきた1人として、本当の意味でケアマネジメントを定着させたいと考えている1人として、この試験では何を求めているのか、どんな知識を持った人が介護支援専門員であるべきなのか、そのための「基本テキスト」の内容はどうであるべきか真剣に考えていただきたいと願ってやみません。
 受験者数を増やすことが目的ではありませんが、受験資格をもつ人たちが「受けたい資格」「取得したい資格」「魅力のある資格」となるようにしてほしいと思います。

 1年間、お読みいただきありがとうございました。