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どうなる? 介護保険

地域密着型サービス、施設サービスの介護報酬は…

 前回に引き続き、第87回社会保障審議会介護給付費分科会(12月7日。座長:大森彌・東京大学名誉教授。以下、分科会)でまとめられた「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告(概要)」の「基本的な考え方及び重点課題」に沿って、地域密着型サービスと施設サービスの値段(介護報酬)の方向性について整理してみます。
 くわしい内容は、「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告」(以下、審議報告)と文末の参考資料で確認してください。

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サービスにはいくつもの分類方法がある
 介護保険法にもとづきお金(介護報酬)が支払われるサービス(給付)は現在、認定ランクに応じて介護予防サービス(予防給付、ケアマネジメントを含めて17種類)と介護サービス(介護給付、同23種類)に分かれます。また、(1)在宅(予防給付13種類、介護給付13種類)、(2)地域密着型(予防給付3種類、介護給付6種類)、(3)施設(介護給付3種類)とも分類されます。在宅と施設のサービス提供事業者は都道府県が、地域密着型は市区町村がそれぞれ指定し、指導・監督を行います。
 このほか、厚生労働省の分科会資料では、在宅サービスをさらに(1)訪問系、(2)通所系、(3)短期入所系と細分しています。それとは別に、有料老人ホームやケアハウスで提供される特定施設入居者生活介護(在宅サービス)、認知症高齢者グループホーム(地域密着型サービス)などについて「居住系」というまとめ方をすることもあります。

1 高齢者の自立支援に重点を置いた「居住系」・施設サービス
(1)小規模多機能型居宅介護
 ・サテライト型小規模多機能型居宅介護を新設する
 ・事業開始時支援加算を2015年3月まで継続する
(2)認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
 ・短期利用共同生活介護、共用型認知症対応型通所介護の事業実施要件を緩和する
(3)老人保健施設(介護老人保健施設)
 ・在宅復帰状況、ベッド回転率を指標とする報酬体系に見直す
 ・在宅復帰支援機能加算の算定要件を見直す

2 要介護度が高い高齢者や医療ニーズの高い高齢者に対応した「居住系」・施設サービス
(1)認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
 ・認定ランク別の基本報酬を見直す
 ・ユニット数別の介護報酬により適正化する
 ・夜間職員の配置基準、夜間ケア加算を見直す
(2)特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
 ・外部医師によるターミナルケア推進など看取りを強化する
 ・重度化・機能強化などの観点から認定ランク別の報酬を設定する
 ・ユニット型個室、従来型個室、多床室の順に報酬水準を適正化する
 ・ユニット型個室の第3段階利用者の負担軽減を検討する
 ・2011年度までに整備された多床室は、新設のものより報酬に配慮する
 ・在宅での対応が困難になった場合の受け入れを評価する
 ・言語聴覚士と連携した経口維持加算、経口移行加算を強化する
 ・歯科医師と連携した経口維持加算の算定要件を見直す
 ・歯科衛生士が直接口腔ケアを実施した場合の口腔機能維持管理加算を評価する
 ・医療関係者との連携のもとに介護福祉士、研修を受けた介護職員などがたんの吸引などを実施した場合の既存の体制加算を見直す
(3)老人保健施設(介護老人保健施設)
 ・軽症の疾病を発症した場合の施設内での対応を評価する
 ・認知症の症状が悪化し、在宅での対応が困難となった場合の受け入れ、在宅復帰を目指したケアを評価する
(4-1)介護療養病床(介護療養型老人保健施設)
 ・医療ニーズの高い利用者の受け入れを促進する機能に応じた報酬体系に見直す
 ・介護療養型医療施設から転換するための施設基準の緩和などは2018年3月まで継続する
(4-2)介護療養病床(介護療養型医療施設)
 ・適切に評価する
 ・認知症の症状が悪化し、在宅での対応が困難になった場合の受け入れを評価する
 ・有床診療所を併設して介護療養型老人保健施設に転換した場合、増床できるよう見直す
 ・経過型介護療養型医療施設は新規指定を認めず、現行施設は2018年3月まで転換期限を延長する

3 看取りへの対応強化
(1)認知症高齢者グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
 ・看取り介護加算を見直す
(2)老人保健施設(介護老人保健施設)
 ・入退院後の再入所における集中的なリハビリテーションを評価する
 ・入退院後、別の老人保健施設に転所した場合の取扱いを適正化する
 ・ターミナルケア加算の算定要件、評価を見直す
(3)介護療養病床(介護療養型老人保健施設)
 ・ターミナルケア加算の算定要件、評価を見直す

4 入退院時における医療機関と介護サービス事業者との連携促進
(1)老人保健施設(介護老人保健施設)
 ・入所前に利用者宅を訪問し、早期退所に向けた施設サービス計画の策定、診療方針を決定した場合、地域連携診療計画に係る医療機関から利用者を受け入れた場合に評価する

5 参考資料
第76回分科会資料(2011年6月16日開催)
・資料2 認知症への対応について
第84回分科会(2011年11月10日開催)資料
・資料1 介護老人福祉施設の基準・報酬(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を含む)
・資料3 介護老人保健施設の基準・報酬
・資料4 介護療養型医療施設・介護療養型老人保健施設の基準・報酬
・資料5 介護保険施設入所者に対する口腔・栄養関連サービス
・資料6 小規模多機能型居宅介護の基準・報酬
第85回分科会(2011年11月14日開催)資料
・資料1 認知症への対応
・資料2 介護職員によるたんの吸引等の実施
・資料3 さらに議論が必要な論点(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、小規模多機能型居宅介護)



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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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