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和田行男の「婆さんとともに」

だいじょうぶ認知症???????

 認知症になってもだいじょうぶ?
 そんなわけがないでしょ
 多くの人が思うように、僕もそう思います。
 朝日新書から出版していただいた著書「だいじょうぶ認知症」は、そんな言葉で始まります。

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 最近、「大丈夫:だいじょうぶ」ってフレーズを、市民講演会なんかでよく見聞きします。「認知症でもだいじょうぶ町づくり」キャンペーンなんていう公的なものもあります。
 このことは、僕も著書で書かせていただきましたが、大丈夫って感じられる社会をつくっていく決意というようなもので、実際に「だいじょうぶ」ってこととは違います。
 病気になりたいと思っている人も、認知症になりたいと思っている人もいないのになっていくのです。しかも全員がなるのならまだしも、後期高齢者でも四人に一人って言われていますから、「なんで自分が自分の身内が、四分の一に当たるんや」って思うのは自然なことで、本人やその家族たちから「おまえらに言われたくないわ」って怒鳴られても仕方がないフレーズです。
 本当にだいじょうぶっていうのは、認知症になった人たち自身が「だいじょうぶ」って言えるようになって初めて、想いが適ったということでしょう。

 今日の本題はここからです。
 そんな社会を構築していくためには、僕ら職業人の果たす役割は極めて大きいと自覚する必要があります。
 合わせてこの仕事が「やりたい」って思える仕事にしていく必要があるし、そのためには「仕事の質の改善」と「待遇改善」も必要でしょう。
 でもまずは、他人や制度など他のことに目を奪われる前に、これを読んだ介護の職業人たち自身が、「だいじょうぶ、僕がいるから」って言えるような仕事ができているか、「あなたがいてくれるから安心だ」って「だいじょうぶ感」をもってもらえるような仕事ができているか、改めて考察してみてはどうでしょうか。
 僕が管轄する介護事業所等でも「だいじょうじょうぶとは程遠い現状」があるのも事実で、先日も講演会でいただいた質問に「それはひどいですね」って答えたら「和田さんのところのグループホームに入居しているんです」って言われてしまいました。
 僕は、僕のところであろうがなかろうが「ひどいこと」をしている事業所や職業人に対して言う言葉の温度差はないですが、同じ介護業界に身をおく者として恥ずかしくなるし、このことは自分と志を同じくする者たちのことだけに、自分も“同じ狢”ですから申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
 せめて介護の専門職たちの前にいる限りは「だいじょうぶ」って思ってもらえるようにはしなければならないし、自分自身のやっていることや言っていることが「だいじょうぶ」かどうかを自分自身に問い詰め、追い求めていく姿勢を失わないようにせねばと、改めて背筋が伸びました。

認知症になってもだいじょうぶ?
そんなわけがないでしょ

 1月10日に「だいじょうぶ認知症」の本を世に出していただき、その数日後に「おまえんとこが大丈夫じゃねぇよ」って突きつけられましたが、「そんなわけがないでしょ」の背景に「専門職であるあなた方がこんな風じゃね」って文字が浮かんでこないように、戒めていかねばです。

追伸
 先週書かせていただいた留蔵さん(仮名)ですが、寒い二夜を屋外で過ごしたにも関わらずお元気だそうです。
 「リングで死んでも本望だという人間を危険だからと隔離収容するか?。認知症で外に出ることは、それぐらい危険や。でも、それを止める権利はないんとちゃうか、家族であっても。」と語られたそうです。
 僕は、この言葉のもつ大きさ・重さ・深さ・広さなど尺度で表せない意味をあちこちで語らせていただこうと思います。
 自分の意思を行動にうつすってことが、人間にとって生き物にとって何ものにも変えがたい言い表せない「ステキなこと」だということを言い表しているし、それを平気で奪い取って尊厳も人権も福祉もクソ食らえではないでしょうか。
 本文よりも追伸のほうがいい話やね、ハハハ。また書きますね。ご一報です。


コメント


グループホームの家族から、この職員「大丈夫?」と言われるような言動が多くあります。
先日も利用者家族が面会ついでにトイレ介助に入ったらリハビリパンツにパッドを数枚もあてていたと報告があった。家族も在宅で介護をしていたから全くの素人とも言えない。尿量が多いならリハビリパンツに何枚ものパットを重ねるのではなく、吸収量の大きいパット1枚で充分かもしれない。逆にパッドを無駄に何枚も使われたら家族の経済的な負担もかかります。
専門職として、認知症ケアだけでなく介護の専門職として正しい介護の仕方を知らないと恥ずかしくなりますね。


投稿者: ・・・ | 2014年01月27日 17:05

・・・さんへ

実はそれは別々のものではなくて「人を想えば人として」ではないかということであり、人と思えていないから、何枚ものパッドを重ねてしても平気なんだろうなと僕は思います。
これは、僕であれ、僕のところの職員であれ、誰であれですが、まずはベースに「人として」がないと、「人でなし」にしていても平気なんだろうなと。
どこで起こったことであれ、他人事ではなく、わがこととして戒めねばです。
ステキなコメントをありがとうございます。


投稿者: わだゆきお | 2014年01月29日 09:30

この施設大丈夫?と言われるような事がおこりました。認知症の方に対する接し方・ケアの仕方を何度も指導し話をしても改善されず、職員が辞めました。悲しい結果になってしまいました。利用者様には、本当に申し訳なく思うのと、辞めた職員にもちゃんとした指導ができず、自分の勉強不足と力のなさに申し訳なく思っています。まわりの職員(私も含め)のケアのやり方をみて、そんなんでいいんだ と思われても仕方ないケアをしていたなと反省し、二度と利用者様に迷惑を掛けないように自分自身、もう一度振り返り勉強したいと思います。和田さんの本を再び読み、みんなに伝えていきたいと思っています。二度と起こらないようにがんばります。


投稿者: みゆ | 2014年01月30日 07:44

かがやきが高齢の男性を雇用しました。わたしと同い年。今まで送迎介護をしていました。本人も高齢者とのかかわりには自信をもっていたのでしょう・・・。
3ヶ月が過ぎても同じ間違いを?勘違い?して注意されています。わたしも何度もお願いというか指導というかしましたが、結局のところ『人は良いけど…中々覚えられないのかな?』と思う事にしましたが、この方に限らず、介護に限らずその人の人間性?がもろに跳ね返る仕事でありその被害を受けるのは嫌な言い方ですが弱者なんですよね。改めて人間力磨かねばと思います。


投稿者: かがやき | 2014年01月30日 16:37

久々に投稿したつもりが、手元を間違えてしまったようで、再度チャレンジしてみます(^o^)v
最近は「専門性」「専門職」という言葉に疑問を感じています。頭に「介護の」と付けると余計に悩みます。何ですかね?専門って??
グループホーム…認知症高齢者の仕事って長く続けていると「見えてくる」気がしますが、更に謎が深まる。わからないから追究してみたくなるのが魅力かもしれませんね…。
やはり介護の仕事って「自己満足」なのでしょうかね~(>_<)


投稿者: T | 2014年02月02日 23:08

皆さんへ

先月の記事がこんなに盛り上がっているなんて、驚きですが、中身はかなり深刻やね。
高齢者が多い社会になり、要介護高齢者が多くなり、プロの支援者の高齢化もやむを得なくなるので、そこにチャレンジしていくしかないのですが、この仕事って「モノ」じゃなく「ヒト」やから、時間をかけられないところがありますからね。相手がだれであれ「ダメなものはダメ」って言っていかないといけないことが多いから、みんなのように悶々とするんやろね。俺も悶々としています悶。


投稿者: わだゆきお | 2014年02月17日 17:04

ある介護研修のチラシがに目に入りました。

タイトル:役割を果たす、専門職を見抜こう!

。。。え?
と思って見直したら、正確には

タイトル:異変を見抜こう!役割を果たす専門職
でした。(苦笑)

ドキッとしました〜!


投稿者: すみこ | 2014年02月28日 10:26

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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