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看護判断のための気づきとアセスメント セルフケア支援

内容紹介

当事者目線に立ったセルフケア支援

「患者のセルフケア能力を高めることが大切」とは言われますが,医療者の望む『自己管理行動』の指導だけを行って,『セルフケア支援』をしたとしてはいませんか?
本書では,適切に捉えることが難しい『セルフケア』について,事例などを使ってわかりやすく解説しました。看護職者目線の患者指導ではなく,リカバリー,エンパワメントなどを重視した患者目線に立ち,患者・看護職者がともに進める『セルフケア』の視点をまとめました。学生や初学者にも最適な一冊です。

多様な場における事例からポイントがわかる

病棟,外来,在宅,ICTの活用など,多様な場における『セルフケア支援』を学ぶことができます。
また,看護職者との考えとはすれ違ってしまった事例・エピソード等も多数紹介しました。これらを読むことで,改めて,「そうだったのか」と患者の病気に対する思いや,行っている『セルフケア』の意味が見えてきます。

学生・若手から熟練者まで

本書を参考に,学生や若手看護職者の方々が,患者の(方が発信している)言動の意味,自身の行った支援の意味を改めて考えて次の支援に臨み,よりよい関わりにつなげていっていただければと思います。また,熟練の看護職の方々にもご一読いただき,学生や若手とともに,これからの『セルフケア支援』の検討に役立ててほしいと考えています。

編集者から読者へのメッセージ

『セルフケア支援』は,対象者への深いアセスメントや,何気ない言動への気づきからはじまり,それらを確認しながら支援につなげることが重要です。
本書では,この奥深い『セルフケア支援』について,学生や若手看護職者の方々が少しでも理解を深め,目の前の対象者の方への『セルフケア支援』にさらに取り組んでみたいと思っていただくことを目指しました。
『セルフケア』がわかる本書を,ぜひご活用ください。

主な目次

第1部 セルフケア支援の本質をつかむ
1 セルフケアの理論や概念から捉える
 01 人は本来,力をもっている存在
 02 セルフケアの鍵概念
2 支援者の態度・考え方・アプローチのコアを知る
 01 その人の本来もっている力を妨げない
 02 その人にとって望ましい状態の実現や保持を目指す
 03 その人の生活や人生に根差す
 04 その人にとっての価値・優先順位・生き方を共有する
 05 その人自身の意図を育む
 06 調整スキルの学習を支援する
 07 セルフケアのリソース動員を支援する
3 チームでの支援の在り方を知る
 01 セルフケアへの支援におけるチームの考え方
 02 チームにおけるIPW・IPEの理念
 03 セルフケア支援におけるチームの利点
4 セルフケアと家族の関係から支援の在り方を知る
 01 家族のセルフケア機能を高める個のセルフケア
 02 家族の内外との相互関連性を知る
 03 家族役割から考えるセルフケア支援
5 セルフケアをアセスメントする
 01 その人なりのセルフケア
 02 医療者が必要と考える自己管理行動
 03 セルフケアとセルフケア能力
 04 その人なりのセルフケアのアセスメントの視点
 05 セルフケア能力のアセスメントの視点
6 支援が適切か迷ったときに検討すべきポイントをつかむ
 01 アセスメントを振り返る視点
 02 援助の方向性を再検討する視点
 03 援助の適切性を振り返る視点

第2部 疾病・障害とともに生きる人を支援する
1 長期的展望で考え支援する
 01 慢性疾患における生活調整
 02 連続性(Continuity)とは
 03 連続性に着目した支援
2 複数の疾病・障害をもつ人を支援する
 01 どのように患者を捉えるのか
 02 支援の考え方
 03 セルフケア支援のための気づきとアセスメントのポイント
3 新たなセルフケアが必要な人を支援する
 01 どのように対象者を捉えるのか
 02 支援の考え方
 03 セルフケア支援のための気づきとアセスメントのポイント
4 多様な支援の場や方法で支援する
①はじめて糖尿病と診断された人を支援する
 01 はじめて糖尿病と診断された人への支援の重要性
 02 糖尿病と診断を受けるまでの経緯
 03 糖尿病と診断されたことに対する患者の思い
 04 はじめて糖尿病と診断された人のセルフケアに対する思い
 05 はじめて糖尿病と診断された人の身体のアセスメント
 06 はじめて糖尿病と診断された人の心理・社会面のアセスメント
 07 「糖尿病患者としての療養心構え」をアセスメントするときの留意点
 08 その人の生活にあわせたセルフケアの方法を見つけること
 09 はじめて糖尿病と診断された人への継続した支援について
②地域で生活する高齢者を支援する~多職種との連携・協働
 01 どのように対象を捉えるのか
 02 支援の考え方
03 セルフケア支援のための気づきとアセスメントのポイント
③ 日々の状態変化を遠隔モニタリングで支援する
 01 遠隔モニタリングとは
 02 モニタリング指標
 03 遠隔モニタリングを活用したセルフケア支援
 04 遠隔モニタリングに関わる患者・家族支援
 05 遠隔モニタリングを活用した支援のポイント
 06 まとめ
④ 精神科訪問看護で地域の精神疾患をもつ人を支援する
 01 精神疾患をもつ人の地域生活支援とリカバリー
 02 「不足」だけでなく「ストレングス」も捉える
 03 地域で暮らすなかで大切になるセルフケア
 04 自己決定を支え,本人と一緒にアセスメントする
 05 セルフケアレベルにとらわれすぎない
 06 セルフケア行動の影響因子をアセスメントする
 07 ベースラインのセルフケアと比較する
 08 本人の希望と家族の期待のギャップにも働きかける
⑤がん治療中の人を支援する
 01 どのように患者を捉えるのか
 02 セルフケア支援のための気づきとアセスメント
⑥認知症をもつ人のもてる力を活かして支援する
 01 認知症をもつ人の理解を深める
 02 認知症をもつ人のもてる力を捉える
 03 認知症をもつ人のセルフケア支援

第3部 時期により変化するセルフケアを補う
1 周手術期にある人のセルフケアを支援する
 01 周手術期にある患者の特徴
 02 セルフケア支援の実際
 03 セルフケア支援のための気づきとアセスメントのポイント
2 回復期にある人のセルフケアを支援する
 01 回復期にある患者の特徴
 02 回復期の看護の視点
 03 セルフケア支援の実際
 04 セルフケア支援のための気づきとアセスメントのポイント
3 慢性期にある人のセルフケアを支援する
 01 慢性期にある患者の特徴
 02 セルフケア支援の実際
 03 セルフケア支援のための気づきとアセスメントのポイント
4 下降期にある人のセルフケアを支援する
 01 下降期にある患者の特徴
 02 セルフケア支援の実際
 03 セルフケア支援のための気づきとアセスメントのポイント

第4部 加齢で変化するセルフケアを捉える
1 小児から成人への成長を踏まえてセルフケアを捉える
 01 小児の成長発達とセルフケア
 02 小児の生活とセルフケア
 03 小児の疾患とセルフケア
 04 1型糖尿病をもつ小児のセルフケア
 05 特別な健康問題をもつ小児のセルフケア
 06 セルフケアの育成・促進に向けた支援
2 高齢にともなう変化を踏まえてセルフケアを捉える
 01 自らの意思で日常生活の送り方を選択する
 02 高齢者の身体的特徴を考慮したセルフケア支援
 03 入院時に重要なセルフケア支援
 04 普段の生活環境と入院時の病床環境の違いを理解する
 05 入院した高齢者が安心できる療養環境
 06 高齢者のセルフケア支援に大切なこと

第5部 セルフケアを捉える観点や看護モデルを知る
1 「糖尿病セルフケア能力測定ツール」を支援に活かす
 01 糖尿病患者のセルフケア能力に着目した理由
 02 「糖尿病セルフケア能力測定ツール」開発のプロセス
 03 「糖尿病セルフケア能力測定ツール」の活用
 04 「糖尿病セルフケア能力測定ツール[短縮版]」活用の実際
 05 「糖尿病セルフケア能力測定ツール[短縮版]」へのQ&A
 資料 糖尿病患者セルフケア能力測定ツール[短縮版]
 2 「慢性心不全患者のセルフケア理論」と「生活の再構築をするプロセス」から支援を考える
 01 国内の心不全患者の現状
 02 心不全増悪の原因
 03 在宅で生活する慢性心不全患者に対してセルフケア支援を行う目的・意義
 04 慢性心不全患者に関するセルフケアの理論
 05 心不全のセルフケアをうまく行うための要因~自然主義的意思決定~
 06 慢性心不全患者が生活の再構築をうるプロセス
 07 心不全患者が在宅で生活していくために必要なセルフケア支援のアセスメントの視点
3 「ミシェルの病気の不確かさ理論」から胆道閉鎖症をもつ思春期・青年期患者・家族への支援を考える
 01 胆道閉鎖症をもつ思春期・青年期患者・家族のセルフケアと不確かさへの着目
 02 「ミシェルの病気の不確かさ理論」における2つの認知モデル
 03 胆道閉鎖症をもつ思春期・青年期患者のセルフケア・アセスメントと支援の実際
 04 まとめ

著者情報

編集
黒田久美(千葉大学大学院看護学研究院准教授)
清水安子(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻教授)
内海香子(岩手県立大学看護学部教授)

執筆者(執筆順)
黒田久美(千葉大学大学院看護学研究院准教授)
清水安子(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻教授)
河井伸子(大手前大学国際看護学部教授)
内海香子(岩手県立大学看護学部教授)
髙橋 慧(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻助教)
水野美華(原内科クリニック,糖尿病看護特定認定看護師)
石川かおり(岐阜県立看護大学看護学部教授)
河村奈緒(静岡県立静岡がんセンター看護部,がん看護専門看護師)
橋本悠子(聖隷佐倉市民病院,認知症看護認定看護師)
山中政子(天理医療大学医療学部看護学科教授)
森小律恵(日本看護協会看護研修学校認定看護師教育課程糖尿病看護学科主任教員)
髙橋弥生(聖隷佐倉市民病院,糖尿病看護認定看護師)
谷本真理子(東京医療保健大学医療保健学部看護学科教授)
中村伸枝(千葉大学大学院看護学研究院教授)
田中久美(筑波メディカルセンター病院看護部長,老人看護専門看護師)
君成田大(岩手県立軽米病院看護科,糖尿病看護認定看護師)
佐野元洋(千葉大学大学院看護学研究院助教)
平塚克洋(上智大学総合人間科学部看護学科助教)