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障がい者福祉を知って高みを目指す!

松崎 匡 (まつざき ただし)

介護職として高みを目指すなら、高齢者福祉も障害者福祉も知っておきたいところ。この2つの現場を経験した松崎さんだからこそ言えるそれぞれの違い。それらを知り、介護職としてあらためて「福祉ケア」について考えていきましょう。

プロフィール松崎 匡 (まつざき ただし)

この4月より「合同会社M&Yファクトリー」代表社員。
元アルファ医療福祉専門学校教務主任。福祉関連事業所の開業、業務改善などのコンサルティング、研修講師、市民向けの介護講座などのほか、青少年の更生、フリーター、ニートの就職支援などを手掛ける新たな福祉への関わりを中心に活動中!

第8回 いざ、ステップアップ・・・その前にまず振り返ろう(2)~ルーチンワークの中に、あなたのこだわりはありますか?~

 年度末の3月~4月にかけてのこの季節、私が最も苦手な時期です。

 まずは30年以上の付き合いの「花粉症」 本当に厄介で、ただでさえ気分が落ち込みやすいのをさらに助長してくれます。

 そして、3月は送別会シーズン…出会いがあれば別れもある。仕事で落ち込んだりしたことが原因で辞めていく人の場合は「何か力になれたはずなのに、何も自分はしてあげられなかった…」、ステップアップのために辞めていく人の場合は「自分はこのままでいいのだろうか?」なんて考えてしまいます。

 そんなモヤモヤした状態で4月を迎えるとそこには新たな出会い…新人の入社や人事異動などが待っています。うまく切り替えてポジティブに考えていかないといけない季節ですね。

 皆さんはこの季節、どのように気持ちを切り替えていますか? ぜひ教えてください。

 というわけで、今回はちょうど新人が入ってくる時期を間近に控えて、普段の「ルーチンワーク」について振り返ってみたいと思います。

 皆さんも新人時代に「一日の流れ」や「タイムスケジュール」なるものを渡されて、先輩から細かい指導を受けたことと思います。思い出してみてください。覚えることで手一杯で、何も考えずにとにかく作業的に流れを覚えて、いつの間にか慣れていくという状態だったのではないでしょうか?

 今回は、そのルーチンワークをもう一度見直して、自分の「こだわり」や「マイルール」をどのように他者に伝えられるかを考えていこうと思います。

 実は、私の周囲で退職した介護職の多くが、この最初のルーチンワークの指導や研修で「やる気」をなくしてしまったことが原因で、3年目の壁を打ち破れずに辞めているのです。なぜでしょう?

 介護職の仕事の多くは、このルーチンワークで占められているのが現状です。そのルーチンワークを単なる「作業」、あるいはノルマのように何も考えずにただこなしていってしまえば、当然モチベーションを維持するのは困難ですね。

 一日のかなりの時間を占めるルーチンワークだからこそ、先輩たちがそこにどのような「思い」や「こだわり」をもっているかを見ることができなければ、伸びる新人も腐ってしまいます。どんなに正しくていい介護をしているという自信があっても、それを人に伝えて共感されてこそ、初めてその正しさが立証されるものと私は思います。

 何だか難しそうなことを言っているようですが、簡単です。普段のルーチンワークに見える仕事に、あなたがどのような「思い」や「こだわり」「気遣い」を持ってあたっているのかを見直してみればよいのです。

 ちなみに私は、特別養護老人ホームで働いていたとき、食事介護とおむつ交換に一番こだわっていて、それを周囲に伝えてきました。たとえば、食事介護 では「この利用者さんは左ななめ○度の角度でスプーンを持っていくと食べやすいよ」とか、「この利用者さんはスプーンの前半分くらいにこのくらいの量で食べさせてあげて。平均25回噛んだら飲み込むからよく観察してあげて」とか、「この人は右を向いて寝ていることが多いから、尿取りパッドは中心にあてるのが基本だけど、この時間はあえて右に何センチだけズラしてあててあげるんだよ」なんて伝えてきました。なかには、「そこまでこだわらなきゃいけないなら私には無理!」と辞めていく人もいましたが、そこまでこだわってやるからこそ「仕事」なのです。食いついてきてくれた人は必ず利用者から「何か」を得られるので、長く続くし、ステップアップしていっています。

 皆さんも今一度、ルーチンワークのなかから自分の思いを表現できるものを見つけてみてください。では、また。