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障がい者福祉を知って高みを目指す!

松崎 匡 (まつざき ただし)

介護職として高みを目指すなら、高齢者福祉も障害者福祉も知っておきたいところ。この2つの現場を経験した松崎さんだからこそ言えるそれぞれの違い。それらを知り、介護職としてあらためて「福祉ケア」について考えていきましょう。

プロフィール松崎 匡 (まつざき ただし)

この4月より「合同会社M&Yファクトリー」代表社員。
元アルファ医療福祉専門学校教務主任。福祉関連事業所の開業、業務改善などのコンサルティング、研修講師、市民向けの介護講座などのほか、青少年の更生、フリーター、ニートの就職支援などを手掛ける新たな福祉への関わりを中心に活動中!

第7回 いざ、ステップアップ…その前に、まず振り返ろう(1)

 前回まで、高齢者福祉と障がい者福祉を対比して書かせてもらいました。

 とはいえ、両者に明確な違いがあるようでないと言いますか…。同じ「福祉」の仕事なのでそんなに違いはないのですが、力点というか、視点と言ったらよいのか、そのあたりを紹介することで、これを読んでいる方の「視野」が拡がるきっかけになれば…との思いで書いてきました。


 さて、今回はステップアップに向けてということで、自分自身を振り返ってみるところから入ってみたいと思います。

あなたの思いと職場の理念は合致していますか?


 日々の業務に追われ、毎日疲れることばかりだな、なんて考えてしまうとき、なぜ自分が介護の仕事をしようと思ったのか? どうして今の職場を選んだのか? ということを振り返ってみてください。

 みなさんが介護の仕事をしようとしたとき、そこには介護に対するそれぞれの「思い」があって、それを実現できる、実現できそうだと感じたからこそ、現在の職場を選んだはずです。しかしながら、現場で日々の利用者への対応や日常業務に追われるうちに、いつの間にかそんな「思い」を忘れてしまってはいませんか?

 私も特別養護老人ホームに勤めて2年目の夜勤中に、エアポケットに入ってしまったかのように突然「俺って何をしたくてここに入ったんだろう?」と考え込んでしまった経験があります。そのような状態で仕事を続けていると、どんどんマイナス思考になり、表情のない介護といいますか、自分の個性や思いを発揮できない毎日になってしまいます。


 そこで、このような状況から早く抜け出すにはどうすればいいのか?


 自分の所属している組織の理念をもう一度よく見てみてください。福祉事業所の理念というと、かなり抽象的な表現にならざるを得ないのか「利用者の生活に寄り添って」とか「地域に根ざした施設」とか「笑顔を大切に」といったような表現が多いように思います。

 まず自分の組織がどのような理念に基づいて運営しているのかをもう一度しっかり確認してみてください。

 理念を再確認したら、今現在自分が煮詰まっているのは何が原因かを考えてみます。だいたい「こんな仕事をしたくて入ったのに、入ってみたら全然違っていた」なんてところが原因だったりします。

 そして、ここからが分かれ道だと思うのですが「理念でこんなこと書いているのに中身は全然違うじゃないか!」と不満を見つけて満足してしまう方。そういう人は、そこでステップアップのチャンスを逃してしまいます。


 一方、「へえ~、うちの施設ってこんな理念を持っているんだ。自分のやりたいこととだいたい同じじゃん」(抽象的な表現ですから、当然共感できる点が見つかるはずなのです)と感じる人は、ステップアップしていく人といえるでしょう。だったらこの理念と自分の思いの共通点を見出して、何かこれって違うよな~と思っていたことを変えられるんじゃないか? という「可能性」に気付くことができるからです。


 当然組織は理念を掲げて運営しているのですから、その理念を不満に変えるだけの人、斜に構えて突っ込みを入れるような人ではなく、まず理念を理解して着実に仕事をしてくれる人、そして「理念を行動に移せるようにステップアップしてくれる人」を求めています。

 組織の理念と働く人の思いに温度差がなく、共鳴して温度を上昇させてくれる人を待っているのですから、まずはそんな視点をもてるようにすることがステップアップするための土台として大切ではないでしょうか。

 今日からもう一度、自分の職場を「理念」というキーワードで見直してみてください。