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おもいで栞を作ろう
――認知症に寄り添って生きる わたしたちにもできること――

 「おもいで栞」は、認知症のお年寄りの人生の一つのエピソードを、思い出の写真や品物と一緒に短い文章で表すものです。少しの知識と心構えは求められますが、誰でも気軽に、実は、今日からでも取り組める、ハードルのきわめて低い取り組みです。
 「おもいで栞」は、認知症のお年寄りがときどき取り出して昔を懐かしんだり、周りの人に自分のことをよく知ってもらったりするためのきっかけとなるので、認知症カフェなどでは、興味深い実践になることでしょう、
 NPOむすびは、「おもいで栞」を認知症のお年寄りと接する機会の一つにできればと願っています。
 試しに、「おもいで栞」を作成してみませんか。

荒川直美(介護支援専門員・介護福祉士)
プロフィールNPO法人むすび(居宅介護支援事業所)・荒川直美(介護支援専門員・介護福祉士)
〒179-0072 東京都練馬区光が丘3-9-3-206
Tel:03-6904-3275、03-5967-2141
Fax:03-6904-3276
URL:http://musubi-tasukeai.jimdo.com/

第3回 「おもいで栞」の実際

 NPOむすびでは、地元の方々に声をかけて、実際に「おもいで栞」を作成していただきました。
 作成された「おもいで栞」の一部と、その作成者のコメントをご覧ください。

真田さんのおもいで栞


※真田さんの「おもいで栞」を作成した高木清晴さんのコメント

自己紹介

 72歳です。3年前に仕事を辞め、地域社会での連携、繋がりを模索し、防災活動やNPOむすびの活動に参加しています。

取り組んだ動機

 現在、NPOむすびが主催する認知症カフェの活動に参加して、少しずつ認知症の方々との交流も増えてきています。そのような中で、どのようにして接していけばよいのかを模索してきました。今回は、相手のことをよく聞くということは非常に重要なことであると考えて取り組んでみた次第です。

相手の紹介

 真田さんは、大阪出身。東京で小学校教員になり、兄の友人仲間である夫と結婚しました。子どもは作らず、生涯教員生活を全うし、また、教科書作りや子どもの親たちとのコミュニケーションに心がけてきたそうです。

聞き書きした時の様子

 話すことに抵抗はないようであったし、喜んで話をしてくれました。また、そのときの喜びようが印象に残っています。その話す内容は、子ども時代の家族、特に兄や姉の優秀さ、さらに教員時代の教科書作成参加や子どもの両親との関係作りの大切さなどで、繰り返し話してくれました。

おもいで栞を作ってよかったこと・今後の希望

 傾聴したことをただ文章にして残しておくことと違って、おもいで栞を作成するとなると、相手の立場に立って、いつの時代のどのような内容がよいのか、また、それに見合う写真や資料の選定など、考えることが多くなり楽しかったし、さらにより相手の人生を考えることになり、充実していました。

 また、相手も喜んでくれ、今後作成した栞を大事にしてくれそうなので、さらにいろいろと作って上げられれば、相手にとって少しは楽しい時間を過ごせることになり、自分自身にとっても、これからの認知症のある方々との付き合いが楽しく、かつ、有意義なものになると考えられます。これからも機会を作ってチャレンジしてみたいと思います。

高山さんのおもいで栞


※高山さんの「おもいで栞」を作成した松岡佐恵子さんのコメント

自己紹介

 若い頃に少しの間、中学の音楽教師をしておりました。その後は、ピアノ教師をやりながら、興味のあることに首を突っ込んでいました。まだ生まれたてホヤホヤの「いのちの電話」の電話相談員のボランティアをしていたこともありました。40代は音楽療法に興味をもちましたが、子育てと生活に追われ、夢に終わってしまいました。今振り返りますと、私は、人との関わりの中で”心の声”を聴きながら、何か人の役に立ちたいと思い続けてきたような気がします。

取り組んだ動機

 母が介護施設に入居している折、顔なじみになった入居者の方から母を訪問するたびに声をかけられるようになりました。「みんな、話をしたい、話を聴いてもらいたいと思ってるんだな~」と実感したのが関心をもったきっかけです。「栞を作る」という行為は、母亡き後、母の言葉を残しておきたかったという私の思いと結びつきました。

相手の紹介

 私がお話を聴かせていただいた方は、ピアノを弾くのが大好きだったお母様の影響で、ピアノを弾くのが大好きな高山さんです。体格のりっぱな、おだやかで。とても90歳半ばとは思えない元気な方です。

聞き書きした時の様子

 お会いする前は話の糸口をどうやってみつけようかと心配いたしましたが、幸い音楽という共通の話題をきっかけに大好きな曲の話や上野の芸大の話など、お顔の表情もイキイキと楽しそうに語ってくださいました。

 NPOむすびは、「おもいで栞」を認知症の方々と接する機会の一つにできればと願っています。
 皆さんも、試しに、「おもいで栞」を作成してみませんか。

  • ※NPOむすびでは、ほかにも、「おもいで栞」をたくさん作成しています。
    もっとご覧になりたい方は、http://musubi-tasukeai.jimdo.com/まで、お願いします。

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