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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑にて人材育成担当。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

ニッポンの福祉、明日はどっちだ!

 厚生労働省が2017年度介護福祉士国家試験の結果を発表しました。受験者は昨年度より増えて9万2,654人。うち合格者は6万5,574人とのことで、合格率は70.8%となりました。合格された皆さま、おめでとうございます。今回は残念だった方も、次回に向けて頑張っていただきたいです。

 介護の資格を取得して、介護の職業に就く人が増えることは、とても嬉しいことです。受験するには実務経験やかなりの時間の研修が必要になるので、大変だったはず。おそらくそこに志がなければできないものだと思います。
 その志をずっと、何年、何十年経ってもなくさないでほしいです。

 年度末から、全国の自治体ごとに高齢者の虐待件数が発表されています。増えたとか減ったとか横ばいとか……。人が人を虐待するのに、増えたとか減ったとか、言い知れぬ違和感があります。
 全国で見ても、2016年度で452件。厚労省が調査を始めた2006年度から10年連続で増加しているのです。もちろんこれは介護職だけが行なった虐待件数ではありません。しかし、そもそも目上の人を敬うことや長く生きられた方を大切にすること、そういったことが軽視される国は、とても危険に思うのです。
 介護の仕事、福祉の仕事を志した時の気持ちを忘れないでください。
 これは、現場で働く者だけの問題ではありません。いや、むしろ現場以上に、管理者や経営者にこそ、問題があるような気がします。
 どんな仕事でも同じです。人の上に立つ者は、自分自身が一番学び、一番成長しなければいけません。
 私はこの四月から、特養だけでなく、居宅やデイ、訪問など在宅系サービスを含めた人材育成室の室長となりました。組織図でいえば上の立場になりますが、ふんぞり返るつもりは毛頭ないですし、これから誰よりも学ばなければいけないと思っています。

 組織を育てる。人を育てるって何でしょう。
 一番簡単なのは、恐怖支配です。威圧し、恐怖で言うことを聞かせ、従わなければ罰する。しかし、これではまるで、鞭で叩かれるのが怖くて芸をする動物のようです。
 こんな風に育てられた介護職員が、高齢者を大切にできるでしょうか。敬うこと、尊厳を守ることができるでしょうか。
 社会福祉法人制度改革により、社会福祉法人といえど経営感覚が必要になっています。
 しかし、私たちは営利組織ではない。制度改革で求められていることも、非営利性、公益性です。利益を追求するなら、顧客であるご利用者の利益を。職員には愛情を。地域、社会に貢献を。
 そうでなければ、福祉は本来の在り方を失います。誰のための福祉か。誰のための施設か。管理者、経営者こそ、肝に銘じるべきです。