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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑にて人材育成担当。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

介護は本当に福祉なのか?

 東京の福祉施設で、またしても痛ましい事件が続けて起きました。
 高齢者の介護施設において、男性入居者が布団を何度も汚した、浴室で排泄をしたことに職員が怒りを覚え、浴槽に投げ込み溺死させたといいます。
 知的障害者施設においては、28歳の男性入居者を徘徊するからと職員二人がかりで両手、両足を縛り、空いている部屋の布団に寝かせました。しかし、明け方確認すると死亡していたといいます。

 いつものことですが、ネット上にはさまざまな意見があります。
 加害者を擁護する意見も多い。「介護はストレスが溜まる仕事だから・・・」

 納得する人が多いのかもしれませんが、私は「そんなことが人を殺める理由になるか」と思います。
 殺されたのが自分の父親だったとしても、同じことが言えるのか?
 殺されたのが自分の息子だったとしても、同じことが言えるのか?

 介護にストレスを感じ、人を傷つけたりするくらいなら、この仕事に就くな。ストレスなんて、暴力を肯定する理由になどなるわけがない。そのような抑制も効かないのであれば、この仕事に就くべきではない。そのように思います。

 あなたが傷つけた高齢者は、生まれた時、両親が目に入れても痛くないと思った可愛い子供です。幼い時代には学校に通い、戦争や戦後の厳しい時代を生きてきました。高度経済成長の時代には、社会で必死に闘ってきました。愛する妻がいて、愛する子供がいて、またこの人も愛されている夫であり、父であるのです。誰かの大切なお父さんになり、誰かの大好きなお爺ちゃんになった。高齢になり、晩年を穏やかに過ごすつもりでしたが、まだ認知症という試練が待っていました。愛する家族は断腸の思いで、施設入居を選択したのです。それでも幸せに過ごしてほしい。職員の人たちに優しくしてもらいたいと願ったことでしょう。そんな人をあなたは傷つけたのです。

 高齢者福祉施設、障害者福祉施設、福祉って一体何でしょう?
 Wikipediaによると、福祉とは「しあわせ」や「ゆたかさ」を意味する言葉であり、すべての市民に最低限の幸福と社会的援助を提供するという理念を指しているそうです。

 介護は本当に福祉なのでしょうか。人の「しあわせ」や「ゆたかさ」を実現する職業の人が、人を傷つけ、社会もまたそれを擁護しています。

 介護事業所で働く人たちは、今回の事件も対岸の火事だと思わないでほしい。いつもそんな風に思っているから、こんな事件が後を絶たないのです。



お知らせ
2017年11月25日(土)東京でセミナーを開催します。
『介護とは何か? ~本当に大切なこと~』
【開催日】2017年11月25日(土)
【時間】10:00~16:00
【会場】NATULUCK茅場町新館3階大会議室
【受講料】7,000円
【主催】関西看護医療ゼミ