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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑にて人材育成担当。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

だって夏じゃない

 介護職員T君の提案した企画のタイトルは、「だって夏じゃない」。
 特養の入居者4名を海にお連れする企画です。

 私たちの特養は東京の世田谷区。海を見に行くには、車で1時間半はかかります。それも、すいすい行けての話。7月となれば夏本番ですから、海までの道は当然渋滞しています。それを懸念する声もありましたが……だって夏じゃない。
 そうですよね。夏の海に行くのに渋滞は当たり前。この渋滞が逆にテンション上がったりします。(そんなことない?笑)
 この暑さの中、海になんて行ってお年寄りが具合が悪くなったらどうするの?と心配する声もありましたが……だって夏じゃない。
 暑けりゃ日傘させばいいし、水分摂ればいい。夏は暑いからクーラーの効いた部屋で。冬は寒いから暖房の効いた部屋で。そんなことしているから、免疫力が低くなってしまうのです。

 葉山にある一色海岸に到着しました。砂浜でビーチサンダルに履き替え、海に入りました。危ないと心配する声もありましたが……だって夏じゃない。
 皆さん、日頃のリハビリの成果でしょうか。ビーチサンダルに履き替えて砂浜を歩いてもまったく問題ありませんでした。波打ち際で足が海水に浸されると、「きゃー!」と大喜びしていました。

 レジャーシートを敷いて波の音を聴いていると、何とも言えない穏やかな表情をされていました。「海っていいわね」女性の入居者さんがつぶやきました。
 お昼は海の見えるレストランでオーシャンビューを楽しみながらランチ。ある女性入居者の方は、家族で海に連れて来てもらった子供の頃の思い出や、自分が親になって子供たちを連れて来た頃の思い出を話してくれました。海を見たのは30年ぶりだったそうです。

 帰りは、太陽がキラキラと湘南の海を照らしている海岸沿いをドライブ。
 「素敵ね……一生忘れません」
 皆さんの心に残る取り組みになったようです。

 予定では15時30分施設到着予定でしたが、実際は渋滞にはまり17時30分を過ぎていました。
 帰ってから上司に怒られたって気にしない、気にしない。
 だって夏じゃない♪