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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑にて人材育成担当。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

介護職のチカラ無限大

 私の勤務する特別養護老人ホーム千歳敬心苑では、『地域貢献プロジェクト』と題して、様々な取り組みを始めました。
 その一つに、二人だけで生活している共に認知症のあるご夫婦が、在宅生活を続けられるよう応援しよう!という取り組みがあります。
 週に一回ですが、ヘルパーさん等が入れない時間帯に特養の職員が伺い、在宅介護を行ないます。
 特養の職員は、特養の経験しかない者も多く、このプロジェクトに参加している男性1名、女性1名も、在宅介護は初めての経験です。

 特養の多くは、「業務」と呼ばれるものに忙しく、介護職は「業務に追われて利用者さんと向き合う時間がない」と言います。
 今回の在宅介護は一回3時間。家の中には、ご夫婦と自分(介護職)だけ。向き合う時間はたっぷりあります。
 初回を終了した女性職員は、「3時間がこんなに長く感じたのは初めてです。施設にいると3時間なんてあっという間なのに……」と言いました。
 男性職員は、旦那様の方から受け入れてもらえず、「お前が触った食器は全部捨てる!」と、茶碗などを台所に投げつけられ、割られてしまいました。

 別々に伺った二人の共通点は、「逃げ場がない」でした。

 施設なら、一人の利用者さんの機嫌が悪くなったり、興奮したりしても、業務に逃げることができたり、他の職員に代わってもらうことができます。
 しかし、在宅介護はそうはいきません。逃げ場がありません。変わってくれる職員がいません。
 二人は、「自分のスキルのなさを痛感しました」と言いました。
 求めていた「向き合う」時間。それが叶うはずなのに、どう過ごしていいかわからず、二人は愕然としたのです。

 しかし、これは一時的なことです。施設職員が「在宅」という慣れない環境に行ったことで、自分本来の力が発揮できないだけのこと。
 野球とベースボールの違いのようなもので、メジャーリーグに行った日本人選手が最初から活躍できなくとも、環境に慣れることによって本来の力を発揮していくのと同じです。

 現に彼らは、ご夫婦の課題であったお散歩に行くことができています。当初は介入させてくれなかったトイレの介助にも介入できるようになりました。

 施設介護しか知らなかった職員は、在宅介護を知ることで、よりスキルアップする機会になっています。
 介護職のチカラは無限大です。
 まだまだできることがあるはず。伸びるチカラがあるはず。介護職が活躍できるフィールドはまだまだ広がります。

さいたま市老施協様からの依頼で研修講師をしてまいりました。
研修委員会の皆さまとダーッ!