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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑の施設長。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)、『介護リーダー必読! 元気な職場をつくる、みんなを笑顔にする リーダシップの極意』(中央法規出版、2021年)がある。

俺たちの夢は

 去る10月8日は、著書『最強の介護職、最幸の介護術』の発売された日。
 おかげさまで発売から2年が経ちました。

 かつて私が所属した特別養護老人ホームさつき荘で、12年間勤務した歴史。それは私の歴史ではなく、私たちの歴史……仲間と紡いだ歴史です。

 この本が出版となり、既に定年退職されていた看護主任に献本した時のことです。

 「よくぞ書いてくれたねぇ。さつき荘であなた達と働いたあの頃は、私にとって人生最高の青春時代だったよ。あなたとは、よく衝突もして、口も聞かないこともあったね。お互い想いが強かったから……。でも、いつもみんなでお年寄りのために真剣だったよね。介護の子達も、本当にいい子達だったよ……」

 彼女はそう言って、涙ぐんでいました。

 私は子供の頃はいじめられっ子で、友達と言えるような同級生はほとんどいませんでした。高校時代から空手を始めましたが、個人競技なので、仲間と何かをするという経験を、人生の中でしたことがありませんでした。
 さつき荘に就職したのは今から16年以上前。当時は、改革が必要と感じ、闘いを始めたところでした。しかし、一人で闘うことの難しさ、孤独を感じていた時、手を差し伸べてくれたのは仲間でした。

 利用者を想う仲間達が、正に「一人はみんなのため、みんなは一人のため」に協力し合い、夢のような、奇跡のような出来事を次々と起こしました。

 介護職だけじゃありません。施設長、看護師、管理栄養士、リハビリ、事務職など職種を超え、関係者も含めたすべての人達が、同じ目的、夢に向かって歩んだ奇跡でした。

 あれから16年。新しいステージで闘う私を支えるのは、彼らと歩んできた歴史、情熱、プライドです。大切なことは、全部仲間が教えてくれました。

 この国を、長生きし甲斐のある国にする。生まれてきた甲斐のある国にする。

 彼らと見た夢は、まだ終わっていません。
 俺たちの夢は、まだ途中だ!

 ~さつき荘のみんな……そしてグループホームのみんなへ~