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山口晃弘の超幸齢社会の最幸介護術

山口 晃弘(やまぐち あきひろ)

超高齢社会を実り多き「幸齢社会」にするために、
介護職がすべきこととは?
元気がとりえの介護職・山口晃弘が紡ぐ最幸介護術。

プロフィール山口 晃弘 (やまぐち あきひろ)

介護福祉士、介護支援専門員。1971年、東京都生まれ。高校卒業後、設計士、身体障害者施設職員を経て、特別養護老人ホームに入職し、介護職・生活相談員を務め、その後グループホームの管理者となる。
現在、社会福祉法人敬心福祉会 千歳敬心苑にて人材育成担当。著書に『最強の介護職、最幸の介護術』(ワニブックス、2014年)がある。

著書

『最強の介護職、最幸の介護術』
『最強の介護職、最幸の介護術』

あの夏の少年

 7月。いよいよ本格的な夏になります。
 皆さんは、私の少年時代はわんぱくで真っ黒になって外で遊びまわっていたイメージをもつかもしれませんが、その逆です。色白でいつも部屋の中に閉じこもってばかり。友達も少なく、幼なじみだけでした。
 とてもおとなしかった。人と接しない、喋らないぶん、頭の中で何かを考える、想像することは、普通の少年よりしていた気がします。スポーツも苦手で、身体も弱かったせいか、強いものへの憧れ、ヒーローへの憧れは、人一倍強くなっていました。
 学校でいじめられても、誰も助けてくれない。苦しいとき、つらいときも、誰も手を差し伸べてくれない。心のどこかで、ヒーローの登場を待っていたのかもしれません。
 その後、空手を始めて強くなり、弱かった時代への反動か、自分の力を試したくて仕方ない時期があり、随分とやんちゃをしました。それでも、最終的には福祉の仕事に就いた。私の原点は、少年時代にあるのだと思います。

 強いものへの憧れ、ヒーローへの憧れが、自分を突き動かしているのだと感じることがあります。困っている人を片っぱしから助けたい!そんな正義の味方気取りの私ですが、この仕事に就いて、本当に多くの困っている人と出逢いました。自分の少年時代の記憶と重なるのか、放っておけない。だけど、片っぱしから助けるには、自分にはまだまだ力が足りない。力及ばず、不十分な形でしか手伝うことができなかった自分に腹を立てたことも、一度や二度じゃありません。

 姿かたち、年齢だけは大人になりました。少年時代に憧れたヒーロー、大人にはほど遠い今の自分。人を助ける、守るためには、腕力とは違う、力が必要なことを嫌というほど味わいました。

 ただ、そんな中で、困っている人を片っぱしから助けたい!というマインドを失わずに大人になったことは、今では誇れることになりました。そして、44歳にもなった今でも、ヒーロー、正義の味方への憧れを失わない自分のことも。

 「弱き者は守ろうとした。強き者には挑んでいた」

 私は、今この時も、どこかで苦しんでいる人、ヒーローの登場を待っている人を助けたい!そう思います。

 よく言えば、「少年の心を持った大人」。
 悪く言えば、「少年のまま大人になりきれない大人」。

 「あの夏の少年」が大人になった。今持てる自分の力を最大限に使って、助けを求めている誰かのヒーローになりたい。


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