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和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

ヘルシー・ソサエティ賞


「和田さん、ヘルシー・ソサエティ―賞に推薦させてもらってもいいですか」
「何ですか、それ?」

 そんな会話から始まった「賞騒動」でしたが、昨夜、パレスホテル東京葵の間において第14回ヘルシー・ソサエティ賞授賞式が執り行われました。

 この賞は、公益社団法人日本看護協会とジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループが共催して平成16年に創設した賞で、今年第14回目は、「教育者部門」「医療従事者・医療介護部門」「ボランティア部門」「パイオニア部門(今年から)」の4部門4名が授賞。

 僕に記念品を授与してくださっているプレゼンテーターは、審査委員のお一人で、公益財団法人医療科学研究所理事長、公立大学法人埼玉県立大学理事長、元人事院総裁、元厚生労働事務次官、元内閣府事務次官の江利川さんという方ですが、そういう賞でした。

 それぞれの部門において、日本や世界で活動している日本人を対象にどなたかが推薦し、審査委員(大学の学長など8名でした)によって選出されるもので、僕は、現職になる前からお付き合いさせていただいている国会議員の方と、「注文をまちがえる料理店」に来てくださった元大臣の推薦を受け、パイオニア部門に選出されました。

 推薦の話を聞いた時に、僕のボスと注文をまちがえる料理店の同志に、「これ、いただいてもいいのかなぁ」と相談したところ、「いただけるというならいただきましょうよ」と後押ししてもらっての授賞でした。

「受賞者の方は正装で来てください」
 そんなハガキが届きました。
「正装?????」
 わかんないのでボスに聞くと
「和田さん、日本で正装と言えば羽織袴でしょ」

 ということで人生初の羽織袴姿になりました。
 家紋のところには、注文をまちがえる料理店の「てへぺろ別注版」を貼りつけましたが、受賞者というよりは落語家って感じでしたね。


 授賞式には600名もの方々が来られており、内閣総理大臣が祝辞に来られる、厚生労働大臣が列席されるなど大そうな会でした。
 僕的には、近寄ることもできませんでしたが、森英恵さん(この賞の諮問委員)の姿が印象的で、一緒に写真を撮っていただこうと思っていたのに気づいたら帰られており心残りでしたが、さすがファッションデザイナー、ひときわ華やかでしたね。

 受賞者には、式典が始まる前からジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループの職員が一人「エスコート」としてついてくれました。
 警護のSPのようにつくというよりも、婆さん支援で「そっと見まもる僕のような感じ」で、僕がどこに行っても視界の中に居てくれていて、困ったような姿になると「どうされましたか?」と傍に寄ってきてくれました。

 その「鍛えられた感」がステキ!!でしたよ。
 見習わなくてはです。

 パレスホテル東京は、僕には似つかわしくない超高級ホテルでしたね。お部屋の窓から見える景色がこれ。そう、皇居の傍、お濠のところにありますからね。どうやってこの土地を手にしたのか気になりません?


 お部屋に入ると置いてある「お茶とお菓子」もパレスホテルだと、これ。


 キンカンとイチゴでしたが、果物がおいてある宿は初めてでした。

 受賞後にスピーチをさせていただけましたので、著書『大逆転の痴呆ケア』(中央法規出版)の冒頭に掲載させていただいた「まだ見ぬ介護者へ 和田行男」という詩を朗読させていただきました。
 自分で言うのもおこがましい話ですが、いまだこの詩のもつ圧倒感を感じました。ざわついた宴席が一瞬にして静まり返ったそうで、聞いてくれた人も「スピーチ、素晴らしかったよ」って言ってくれました。

 看護師72万人の大組織である日本看護協会の賞の、しかもパイオニア部門に、いち介護職の僕が選ばれたことは「革命的なこと」だと思っていて、全国津々浦々で認知症の状態にある人たちの生活支援に果敢に取り組んでいる介護職たちに、医療界から陽を当てていただいたものだと思っています。誇りに思えました。

 スピーチの最後に「今日は日本看護協会と結納を交わさせていただいた日であり、協会の友人知人・親族の皆様から結婚してもいいよ、子どもを産んでもいいよ、Hしてもいいよと言っていただけるよう精進します」と誓わせていただきましたが、昨夜の授賞式に集った肩書きある600名もの皆さんが知恵と力を尽くし合えば、どんなことでもできるんじゃないかと思えましたし、何となくですが「婆さん解放運動の未来」を感じることができました。

 式が始まる前に、ジョンソン・エンド・ジョンソンの幹部の方から「スピーチの時間は5分、守るように」「だらだらと話すのではなく自分のスピリッツを伝えてください」とのお言葉がありましたが、列席してもらった弟分によると僕は、時計を測ったかのように4分43秒だったそうです。すごいでしょ!
 認知症介護指導者研修受講時の自己紹介も5分でしたが、僕はギター片手に歌を歌って5分ジャスト!
 この正確さは残り人生の時を刻んでいるからかもしれませんね。

 それにしても宴席に出たパンは美味かったなぁ
 羽織袴は暑かったし苦しかったけど愉しかったわぁ。もう着ることにやろけどね。

追伸

京都版 注文をまちがえる料理店
「まぁいいか@きょうとカフェ」スタート


  • 開催日時
    3月29日(木)14時-17時
  • 開催場所
    カモガワラボ(ネットで検索できます)
    京阪神宮丸太町駅徒歩5分
    京都市上京区中町通丸太町下ル駒之町561ー4
    河原町スカイマンション105

 認知症になった母親のことで僕に相談の連絡をくださったことをきっかけに、昨年9月に開催した「注文をまちがえる料理店」にお客様として来られ、「京都でもこれをやりたい」と言いだし始め、僕の同志小国さん(著書:注文をまちがえる料理店・注文をまちがえる料理店のつくり方)の講演会に参加したときに「やりたい」と参加者の前で告げたら、参加者の中から賛同協力者が集まり、急転直下で開催が決まったそうです。
 女性はほんと、パワフルですよね。
 継続開催していかれるそうです。

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