メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

レリゴー


 昨夜のNHKスペシャル「認知症800万人時代 ~行方不明者1万人~ 知られざる徘徊の実態」に関心をもって見た人たちが多いのではないだろうか。

 認知症で行方不明になっている人の数が年間10000人弱。

 これをどう考えるかである。

認知症の原因となる疾患は「脳を壊す」

 いま、認知症という状態にある人は推計462万人、おそれのある人は400万人と公表されているが、日本人の多くは認知症の原因疾患にかかってはおらず、脳が壊れていない。そのため、自分の意思とは無関係に行方がわからなくなることはない。逆に言えば、自分の意思で行方をくらまして周りの人にわからなくする道はあっても、自分の意思に反して行方がわからなくなることは事件や事故以外にないということだ。

 社会の仕組みは、この国民の圧倒的多数である認知症の原因疾患に罹患していない人たち(自分の意思を行動に移してやり遂げることのできる人たち)を対象に組み立てている。

 それを「じりつできている人たち」だとしたら、僕も含めてその人たちには、基本的に行方不明の心配がないため、誰もが監視を受けないで済んでいる。

 ところが、脳の能力が大人ほどに行きつけていないちびっこはどうかといえば、完璧に大人の監視下におかれている。

 自分の意思を行動に移すことができない赤子からスタートした僕らは、やがては自分の意思を行動に移すことができるようになるが、その頃から大人による24時間365日監視下に置かれる。

 それもこれも「脳が大人ほどいきついていないから」であり、ちびっこを監視しない親はいないだろう。

 言葉が出せるようになると、やがては「自分の名前」「親の名前」「住んでいるところの地名・住所」などが言えるようになる。つまり、自分を特定できるようになるということだ。

 それを見極める親たちは、迷子になった時のために、自分のことを自分の口で特定できない・特定能力に不安がある時期は、名札を付けるといったような特定するための方策をとる。つまり、監視下から外れた時のための手立てを講じるのだ。

 人は誰もがその時期を通過し、やがては監視下から外れていくのであるが、認知症という状態になるのは、その後である。

 ところが、いつそういうことが起こるかわからないからといって、それを見越して行動をとることを特別にはしない人が多いのではないか。

wada20140505

【前の記事】

努力と尽力

【次の記事】

腹合わせ
ph01