メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

和田行男の婆さんとともに

和田 行男 (和田 行男)

「大逆転の痴呆ケア」でお馴染みの和田行男(大起エンゼルヘルプ)がけあサポに登場!
全国の人々と接する中で感じたこと、和田さんならではの語り口でお伝えします。

プロフィール和田 行男 (わだ ゆきお)

高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。
特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は株式会社大起エンゼルヘルプ地域密着・地域包括事業部 入居・通所事業部部長。介護福祉士。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

「視」み付いた職業ヤマイ。やだねェ


 喫茶店にモーニングをいただきに入った。
 カウンターとテーブル席のこじんまりした店だが、カウンターでご婦人がひとりカップで何かを飲んでいたが、お客は僕とその方だけだった。

 そのご婦人のいるほうにテレビが備え付けられており、ちょうどNHKの朝ドラが始まったので見ていたところ、視界にご婦人が否応なく入ってきた。
 ご婦人をというよりも連ドラに見入っていたのだが、ご婦人は僕のほうをチラチラと見ている様子も目に入ってくる。

 数分間目に入ってきたご婦人の情報から「?」と…。
 そう「あれェ~認知症かも」と思うところが病的なのだが、カウンターの中にいるママにも目をやると、「あれま、母娘かな」と勘繰るところも病的。

 そういう視点をもつと、あれよあれよと思う間に僕の脳はどんどん情報を収集していくが、これも病的。

 そうこうしていると「おはようございます」と一人の男性が入ってきたのだが、デイサービスのお迎えのように思えた。

 僕の目前でママさん(娘さん?)とデイサービスの職員さんらしき人の小声の会話が耳に入るが、「本人にはデイサービスへ行くとは言っていないので」と聞こえた。

 もともと聴力に難がありテレビでも音楽でも、連れ合いからうるさがられるほど音量をでかくする僕なのに、これも病的集中力の賜物か。

 結局は僕の思ったとおりだったのだが、ものすごい「病的な自分」の嫌さが残り、結構つらかった。

 店を出る間際にママさんに声をかけようとして踏みとどまったのが「せめてもの救い」と自分をなだめたが後の祭りで、自分に染み付いてしまった「やまい」にほどほど嫌気がさした一日の始まりだった。

追伸

 耄碌という言葉はほとんど死語になっているが、自分が耄碌したことを実感したできごとが起こりました。
 というのも、ひとつ前のブログ記事で「9:2」の人員配置に関する二人の知人からの話を書かせてもらいましたが、政治家の知人からの話はすでにブログで書いていたことにアップしてから気づきました。
 書いた直前に役人の知人から同じような話がきたので、これ幸いとばかり題材にして書かせてもらいましたが、同じことを二度にわたって書くとは…(ショボン)。
 まぁ、こういうこともあるってことで受け流してくださいね。
 先のインフルエンザで1週分ぶっ飛ばしてしまいましたので、今週は2本アップさせていただきますね。

写真

 陰ってステキやね。芸術やし、創造的。五感をかきたててくれますよね。

【次の記事】

緊張