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辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方

辻川 泰史 (つじかわ やすし)

一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。

プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)

1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66

利他の気持ち

 「お泊りやカジノ、リハビリ、短時間デイ」など、最近は同じデイサービスといっても多種多様なサービスが展開されています。私がデイサービス事業を開始した12年前の2003年当時は、こういったデイサービスはほとんどありませんでした。

 当時は全国で1万3000事業所ほどでしたが、現在では4万を超えています。この数字は、大手のコンビニエンスストアであるセブンイレブンやローソンなどの店舗数よりも多いのです(セブンイレブンは18099店舗、ローソンは12276店舗で計30375店舗)。

 ここ数日は、神戸市がパチンコや麻雀を主体としたサービスを行うデイサービスを規制することが、テレビや新聞でも報道されています。

 私の考えは、利用者様が喜んでいて、それが社会参加を促し、認知力を維持させ、生活の質を向上させ、家族の介護負担の軽減になり、利用者様本人が生きる楽しさにつながっているのであれば必要だと感じます。

 ただし、6時間のサービスのうち、3、4時間もパチンコや麻雀をし続けるのであれば、デイサービスとは違うと感じます。介護保険事業で行うのではなく、自費で行えばよいとも感じます。

 「保険給付されるゲームセンター」になってしまっては、行政が「デイサービスとはいえない」と判断してもやむを得ない一面があるのかもしれません。

 どんな事業でも、人気が出ると模倣されます。事業性を考えて模倣することも時には必要です。しかし、どうしてカジノ型なのか、お泊りなのか、リハビリデイなのかという理念が必要だと感じます。福岡市にある「宅老所よりあい」では、利用者の要望と自社の使命感から宿泊を受け入れるようになったという経緯があります。

 お泊りデイなどはフランチャイズが多く、一般のデイサービスと差別化するために「お泊り」を行うという事業所が増えました。そして「お泊り」が珍しくなくなると、今度は「リハビリ、機能訓練型デイ」が流行っていそうだからと模倣するのです。

 理念や使命からコンセプトにつながるのではなく、売上や事業性から作ったコンセプトで行うために質が下がると感じます。

 流行っているから模倣する。模倣するにも、事業性だけを模倣するのではなく、どうしてその形態に行きついたのかという経緯を理解し、模倣すべきです。そして自社に合うようにアレンジしていくべきだと感じます。

 何かサービスを考えるとき、新商品を考えるとき、新しい取り組みを始めるときに大切なことは何なのか。

 私が師事する神田正典先生は「社会性=利他性」と言います。利己的でなく、利他の気持ちをもって事業を考えればヒントがあるという意味です。私たちも、利他の気持ちをもってサービスを提供したいですね。

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