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辻川泰史の介護事業経営に必要な考え方

辻川 泰史 (つじかわ やすし)

一期一会の出会いを大切にし、介護のプロとしてサービスを提供する辻川泰史さんによる、これからの事業所運営の指南ブログ。

プロフィール辻川 泰史 (つじかわ やすし)

1978年東京都生まれ。98年、日本福祉教育専門学校卒業。
老人ホーム、在宅介護会社勤務を経 て2002年、(有)はっぴーライフを設立(05年に株式会社化)。08年、(株)エイチエルを設立。現在、コンサルティ ング、講演、セミナーなどでも活躍中。
著書に『福祉の仕事を人生に活かす!』(中央法規、2009年)がある。
はっぴーライフHP
http://www.hl-tokyo.com/
対談ムービー http://www.youtube.com/user/2g66

進むべき道

 よく、職員から「明確な目標がない、何をしていけば良いか分からない、夢がない」という相談を受けることがあります。自分自身も「今している仕事が自分に向いているのか? 本当にやりたいことなのか」と不安になることもあります。

 どんなに好きでしていることでも、不安になったり葛藤することはあります。プロの野球選手なども、地道な努力を続ける中で、このままでいいのか?と不安になることがあると聞きました。どんな状況や立場でも、そう感じることはやむを得ないことだと思います。

「ストーリーとしての競争戦略」という本に、興味深い内容が書かれていました。ピレネー山脈を登山中、雪崩に巻き込まれ遭難した登山隊の話です。

 全ての装備が失われ、残ったものといえば僅かな食糧のみ。登山に重要なコンパスまでなくなってしまい、登山隊の隊員は死を覚悟しました。

 その時、隊員の1人のポケットから1枚の地図が出てきました。この地図を見て再度、登山隊にはやる気が湧いてきました。

 尾根がこういうふうに走っていて、 周囲の地形がこうなっているということは、自分たちはこのあたりにいるのではないか。太陽の向きを考えると、東はこっちだな。何とか下山できるのではないか。このように、地図の上に道をつけ、なんとか下山するための方法と工程を組み立てようと隊員達はしました。地図に下山のルートの印をつける作業を行いました。下山するための方向性、方針、要は下山するための戦略を皆で共有しました。

 下山中は多くの困難に遭遇しましたが、印をつけたルートを皆で信じて、何とか下山するという目的を達成しました。

 しかし、この話には大きな間違いがありました。そのポイントが大きな学びになります。

 遭難したという状況は救助隊にも届いておりました。救助隊も捜索しましたが見つからず、絶望的な状況でした。

 そんな中、登山隊が下山したことは大きな驚きでした

「あの大きな雪崩で、いったいどうやって下山したのか?」という質問に、登山隊のリーダーは、「この地図で下山した」と地図を見せました。

 それを見た救援隊は、驚きました。

「これは、ピレネー山脈の地図ではありませんよ。これはアルプスの地図じゃないですか」

 よく確認すると、確かにそれはピレネー山脈の地図ではなかったのです。


 この話は、人それぞれ違う捉え方をすると思います。私は、一つの目的をしっかり持ち、その指針をメンバーと共有することで結果に結び付くということだと感じました。

 リーダーは自分自身の方向性を示し、進んでいくこと、そのことで結果を得ることができます。また、個人としても自分の進むべき大まかな方向性を持っていくことで先が見えてくるのだと感じました。