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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

ビジネス誌の高齢特集

 ビジネス誌が高齢特集を組むと、たいていは「シルバーマーケット」や「シルバー産業」なる言葉が踊る「儲け話」的な特集をイメージしがちですが、いやいや、なかなかよく調べ、ユニークな視点で特集をしているなと感心することがあります。


 中堅ビジネスパーソンを対象としたものは3大ビジネス誌があります。

  • ・日経ビジネス
  • ・週刊東洋経済
  • ・週刊ダイヤモンド

 この3誌があります。とくに高齢者特集を定期的に行っているのが東洋経済誌とダイヤモンド誌。年末に組まれる有料老人ホームのランキングづけは業界関係者にはショックな特集として注目されています。


 今週号の東洋経済は「実家の片づけ」です。6月28日のNHK「朝イチ」でもやっていました。この特集はなかなか読みごたえあります。

 親が他界するまでには、多かれ少なかれ、必ず看病・介護の期間を経験することになります。1人暮らしでなんとかやっていた「親の暮らし」に直面して、愕然とします。

  • ・余りの散らかり具合に愕然
  • ・生前整理に頑として応じない本人に愕然
  • ・どこから手をつけてよいかわからないことに愕然
  • ・整理を始めても終わる当ても見えない家財道具の多さに愕然

 などなどです。

 そこで、生前整理の実態、遺品処分の方法などを説いてくれますが、その前に、そもそも「家族のあり方」が大きく変化しているということに着目することを説きます。

 つまりは、かつては「家を継ぐ」という選択が当たり前だったのに、核家族が進み、親が他界した後の実家は空き家となり、やがて朽ち果てるのを待つのみというわけです。

 なにせ7月に発表された「空き家820万戸」は衝撃的な数字です。

 ちなみに私は、かつては日本を代表する(誰もやってないからですが)ゴミステーションウオッチャーとして、数あるゴミ箱を写真に撮ってきました。

 いまは、地方に行けば「空き家」ウオッチャーとして、目についたものは片っ端から写真におさめてきました。よく地方で多いといいますが、実は都会や中心市街地も大差ありません。なにせ子どもたちが同居していない、家業を継がないからです。

 家は人が住まなくなると「朽ちるスピード」は倍速で進むといいます。ですから、近所の人に空気の入れ替えを定期的にしてもらっているという話はよく聞きます。


 ちなみに朝イチの取材を受けた50代の長女の方が、親との片づけにぶつかり合った後に気づいたことがあると、次のように語っていました。

「きれいにすることがゴールではなく、母の幸せがゴールだと思うことで、ぶつかることが減りました」

 そして、お母さんにとって大切な物はなに?と質問し、尊重することで、母自身も自分なりに捨てることができるようになったとも語っています。

 なにより「持ち主が生きていること」のむずかしさを番組は伝えてくれました。

 介護の日々のかかわりを「実家の片づけ」として位置づけることでも、親の暮らしや人生の歩みに近づく「ひと味違ったかかわり方」を演出することができるのではないでしょうか?

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ムロさんの写メ日記

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