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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

シルバー人材のリユース&リサイクル

 今年は、民生委員の総会で記念講演を依頼されることが増えています。この1年間、10か所でお話をしています。テーマは「地域の多職種連携と民生委員の立ち位置」が多いですね。

 いま、縁が切れてしまって起こってしまっている地域の諸問題(例:ゴミ屋敷、徘徊、孤立死、悪質訪問販売、介護虐待など)について、写真などを見ていただきながらお話をしています。

 その際、終わりの頃に話すのが「団塊高齢者のみなさんへのお願い」です。よもや、いまさら何を頼まれるのかと思われるようですが、私は率直にお話しします。「これから始まる30年間をどう乗り切るか…高齢者が高齢者を支える。これしかありません」…と。

 少子化はどんどん進み、どう考えても、この逆三角形は戻りません。しかし、泣き言をいう必要など、まったくありません。なぜなら、今日ここにいらっしゃる元気高齢者という「すばらしい人材」が誕生したからです。

 ある村おこしの達人がこう言いました。

「大抵は、余っているモノを再利用すればうまくいくんです。元手はただ同然ですからね」

 これは村おこしだけの発想ではありません。以前にも書きましたが、現代の高齢者は「時間長者」だということです。まだまだ身体は動く、意欲もある…「高齢者のみなさんは、この意欲を持て余しているんです」と、81歳になる五木寛之さん(作家)も新刊で述べています。

「老人が変わった、という私の考えが、ますます実感をともなって強まってきた。これだけエネルギーのある世代を、わずかな年金をくれてやってほったらかしにしておくだけでいいのか。…さまざまな計画を検討して、やり甲斐のあるおもしろい仕事を与えるべきだろう。」

 まさに「持て余している」人に、やってもらいたいこと(役割、仕事)を提案できれば、元気高齢者でいつづけることは可能ではないか、と示唆しています。

 その実践を始めたのが福岡県北九州市です。ネットでも読めますが、ザックリと要約すると…。

~「親孝行サービス」始動 北九州、離れた親にシニア派遣~
 全国の20の政令市で最も高齢化率が高い北九州市のシルバー人材センターは、市内の高齢者宅に、遠方で暮らす息子や娘の依頼を受けて会員を派遣し、話し相手になったりする「親孝行支援サービス事業」を10月にも始める。

 さらに、将棋や囲碁の相手、菜園や花壇作りの手伝いも。料金は1回(3時間)2500円程度。掃除、洗濯、食事の準備などのサービスも提供するが、介護保険は適用されない。

 高齢者の様子をタブレット端末で撮影し、写真や動画を送ることで安否確認するサービスも提供する。動画で親子がリアルタイムで会話ができるサービスも検討中だ。

 センターは「遠方の老親を心配する働き盛りの人は多い。親子の橋渡しをお手伝いしたい」としている。

 どうですか…!(^^)!?

 とてもユニークな取り組みですね。シルバー人材センターは全国の市町村にあり、その数、なんと1300です。これまでは、男性であれば除草や公的場所の駐車場や駐輪場管理などの軽作業が主でした。でも、携わっているご本人たちはどうでしょう? 生き生きしている人もいますが、淡々とやっている人も…もっと活かしようがないのかな、と思った方も多いのではないですか?