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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

エンドオブライフケアという考え方

 昨日の日曜日、エンドオブライフ・ケア協会の1周年シンポジウムに参加するため、日比谷公園に向かいました。

 この協会が1年前に立ち上げられた背景には、終末期の看取りにおいて看護師、とりわけ介護職員のみなさんが悩んでいる現状がありました。

  • ・終末期、なにもできない自分に無力感を抱いてしまう
  • ・もっとできることがあったのではないか
  • ・なにをやればいいか、わからないのがつらい


 このような切実な声にこたえて、一部のエキスパートだけでなく、看取りの現場に立ち会う専門職に「看取り期の援助方法」を伝えることが必要である、とのことから1年前にエンドオブライフ・ケア協会を小澤竹俊医師らが立ち上げました。

 月刊ケアマネジャーの4月号「ケアマネジャーが行う看取り支援」というタイトルで小澤医師の連載が始まりました。
 そこでわかりやすく書かれていますので、紹介します。小澤医師は「寄り添う」という抽象的な表現に警鐘を鳴らします。
 東日本大震災で全国的に知られるようになった表現です。とてもあたたかい印象はするのですが、心構えとしてはよくても、具体的に何をすればよいかがわかりづらいのが難点です。私も共感します。
 そこで小澤医師らは「援助を言葉にする」ということで看取りの期間、本人と家族を支えることをめざします。

 そのためには援助者は次の2つをキャッチすることが大切と説かれます。

 本人がかかえる現実、つまり「苦しみ」には4つあるということ

  • ・身体的な苦しみ
  • ・精神的な苦しみ
  • ・社会的な苦しみ
  • ・スピリチュアルな苦しみ

 そして本人の希望、つまり「支え」は3つあるということ

  • ・将来の夢
  • ・支えとなる関係
  • ・選ぶことのできる自由

 これらをキャッチし、理解し、それを言語化し、言語化したことを返す(反復の技術)ことで、本人の中に生まれる「わかってもらえたと思う」プロセス、そのものが援助であると話されました。


 シンポジストのなかで、実際に特養で看取りをされた広畑さんの実践事例が印象的でした。これはNHKスペシャルでも放映されています。

「その方は85歳の女性の方でした。終末期になったとき、なにか援助することができないか、と私たちは悩んでいました。スタッフが、もともとこの方は猫好きで、家も猫屋敷の状態で、なんと17匹も飼ってらっしゃったのです。私たちは、もしかして猫がそばにいればご本人の意欲作りになるのではないかと思い、レンタルペットの猫を借りることにしました。

 やがて変化があらわれました。

 このかわいい猫を置いていって逝けないから、食事を少しずつ食べるようになりました。それに大好きなマクドナルドのシェイクを飲まれました。最後は後悔なく眠るように亡くなられました」

 この発表を聞きながら、現場の介護職のみなさんが「なにか伝えたい、なにか引き出した」と思いながら、その手段となる「言葉のフレーズ」を持っていないことの苦しさがよくわかりました。そして、エンドオブライフ・ケア協会の二日間養成研修を受けることで「確かな手法」を身につけられていることを具体的に知ることができました。

 広畑さんの最後の言葉が印象的でした。
「私たちの施設の看取りは、これまで『死んでいく人』としての看取りケアでした。これからは『今日を生きる人』としての看取りケアに取り組んでいきたいと思います」

 まさにこのひと言に集約されているな、と思います。


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  • シリーズ(11)「地域包括ケアにおける実践的施設ケアマネジメント~特養・老健・療養型・有料老人ホーム(住宅型含む)・サ高住~」(定員15名限定:残席7名)
    |日 時|5月22日(日)10:30~17:00
    |詳 細|WEBにて→http://caretown.com/tokyo/caremanage2805.shtml
  • 第2期ケアマネの学校「新・ケアマネジメントの仕事術」6月からスタート!
 全国研修の様子は、ケアタウン総合研究所の公式FBをご覧ください。

研修会場・写メ日記

新潟県十日町市主催
「地域ケア会議の開き方・進め方・まとめ方」


雲母書房主催:12人の介護人がつなぐ「希望」へのリレーセミナー
シリーズ 第3回目
「伝える力」~アクターズケアの手法を使ったコミュニケーション術~