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高室成幸のケアマネさん、あっちこっちどっち?

高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

全国津々浦々、研修・執筆・アドバイザー活動を神出鬼没(?)・縦横無尽に展開する高室成幸さん(ケアタウン総合研究所)。
研修での専門職との出会いや、そのなかでの懇親的な現場を届けます。

プロフィール高室 成幸 (たかむろ しげゆき)

ケアタウン総合研究所所長。
日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』『新・ケアマネジメントの仕事術』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

連携の勘所は・・・

 ここ数ヶ月、地域包括ケアシステムのテーマで「医療と介護の連携」で話してもらいたい、という依頼が多くあります。これまでのタテ割りの弊害をなくし、これからは有機的に連携がとれるために地域包括ケアシステムという仕組みで構築したい、というわけです。
 なるほど、目的意識はとてもいいと思います。

 しかし、気になるのは、肝心な視点が抜けていることです。
 それは「患者目線」です。介護の側なら「利用者目線」。行政なら「住民目線」といっていいでしょう。
 医療と介護の連携を標榜しても、それがそれぞれを仕事とする人たちにとっては効率化でも、患者や利用者にとってはどうか?
 もしかすると連携で生じるマイナスがあり、そのツケは患者・利用者に回ってくることになったら本末転倒のような・・・。

 ですから、患者目線、利用者目線で「メリット」がある連携でなければならない、という思いをこめてお話をしています。

 さて、もう少し、突っ込みましょう。
 連携をするには「顔見知りの関係」になること・・・まことにごもっとも。顔がわかっているだけで安心できますね。(ただ、「あの人が担当かぁ・・・(>_<)」とゲンナリすることも当然あるわけで・・・)
 連携するには「ルール」があるといちいち確認しなくていいですね。たとえば「退院カンファレンスは1週間前にケアマネジャーに連絡をする」などはわかりやすい例です。

 そこで気になるのは「連携」という名で、相手に自分の仕事を押しつける?、あるいは、自分の仕事の効率性のために相手に動いてもらう・・・これは連携という名のご都合主義ですね。意外とやっていたりしませんか?

 つねづね私は「連携」の考え方の1つに「連携先の仕事が楽になる、質が上がる、困り事の解決につながる」ようなアクションをしましょうと伝えます。もちろん、利用者・患者本位を前提として・・・
 たとえば医療チームやリハビリチームが
「患者さんのふだんの暮らしぶりがわからないから日頃の健康管理をどのように指導したらよいかわからない」
「患者さんのご自宅の住環境がつかめないから、機能訓練のメニューが適切か、判断できないんですよ」
 このようなときにケアマネジャーが一日の暮らしの流れや住環境の様子、段差や階段、玄関の高さ、廊下の幅と長さなどをイラストや写真で示すことができたらどうでしょう・・・
 自宅訪問せずともおおよその情報でリハビリプログラムをつくることができるのではないでしょうか。

 連携の「肝」はここにあります。
 先方が連携することでメリットを感じられるアクションを起こすこと・・・まさに信頼関係は「Take」からではなく「Give」から始まるのと同じことです。
 あとは、日本流にいうなら「持ちつ持たれつ」です。

 となると、いちいち「顔の見える関係」でなくても全然かまわないですよね。むしろ、「いつか顔を見たい」と想像するだけでワクワクして、なにかのタイミングで会ったときに、心から「ありがとうございます!」と言い合えるのではないでしょうか?

 連携という言葉はとても好きです。
 協働もいいですねぇ。

 介護保険がスタートしてから15年。
 ようやく「連携」が実感できるようになってきたと実感できます(^_^;)

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