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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

北の大地から

 先週、十勝老人福祉施設協議会の皆さんと虐待防止の取り組みについて深める研修のひと時を共有しました。昨年来、北海道各地の皆さんとは虐待防止研修で幾度となくつながりを持つようになりました。北海道の皆さんには、焦らず、じっくりと根を張るように虐待防止の取り組みを進めていこうとする姿勢を強く感じます。

広大な十勝平野

 まさに、北の大地ならではの構えなのでしょう。このようなスピリットと文化は、厳しい自然と向き合いながら一歩一歩大地を耕し、今日の「フードバレーとかち」に至るまでの悠久の営みの中で培われたものだと考えます。虐待や差別をみんなの力で乗り越えていく営みは、十勝平野における開拓者のように、焦らず、じっくりと根を張るような取り組みでなければならないのです。

 会場の皆さんの集中力は途切れることなく研修が進み、自分たちの具体的な取り組み事例の中からご質問もいただきました。まことに有意義な一歩を踏み出すことができたように受け止めています。

 成年期の虐待防止における法制度上の枠組みが、高齢者、配偶者、障害者等と対象別に分かれているような先進国は、日本以外にありません。成年の保護と人権擁護のための包括的な法の下で、虐待防止の取り組みが進められています。

 わが国では、法制度上の悪しき対象の細分化によって、たとえば、日常の介護サービスから虐待防止の取り組みまでを、要介護高齢者と64歳以下の障害者に機械的に分けて支援を運ぶ考え方がまず先に来てしまうのです。障害者の権利条約に言う障害のある人に年齢の区分など一切ない上、各地の自治体で成立してきた障害のある人の人権擁護に関する条例の多くは、「障害のあるなしにかかわらず」人権をとらえる考え方を明確にしてきました。

 家族内部で発生する虐待は、ライフステージによって発生関連要因やメカニズムが異なりますが、児童福祉法の18歳や成年の入り口となる20歳、老人福祉法の対象となる65歳などが機械的にライフステージの区切りになることなどあり得ません。したがって、これらの年齢区分が虐待防止の法制度上の区分になるということに、何の合理的根拠もないのです。対象の特質を踏まえる必要性は、法制度上の区分によるのではなく、個別支援におけるニーズ把握を起点とする支援の内実にあるだけです。

 施設従事者等による虐待については、障害者と高齢者を分けてしまう合理性は全くありませんし、職場で発生する虐待についても、障害のあるなしにかかわらない問題の土俵からアプローチする必要があります。虐待は必ず複数の発生要因が交錯して生じる事象であり、障害のあることや高齢であることだけが虐待発生の原因となることはないからです。

十勝川温泉のモール泉

 さて、帯広市内の銭湯は、十勝川温泉と同じモール泉です。帯広駅から徒歩5分に位置するタヌキの里という銭湯に行ってみると、ぜいたくに源泉が掛け流されていました。十勝川温泉のモール泉は、泉温が極端に高いわけではないのですが、実に体が温まります。寒さの厳しい時節(この辺は-20℃にまで下がることがあるそうです)には、はかりしれない有難味を感じる温泉でしょう。十勝川温泉まで足を運べない人は、市内の銭湯でも十分に湯を楽しむことができます。

十勝ワイン城の蔵

 「フードバレーとかち」の核をなす帯広は、まさに食の宝庫です。上質の豚肉に鶏肉はむろん、長芋やアスパラガスは今が最盛期です。すこし足をのばせば、池田町の十勝ワインに十勝川温泉があります。これらはすべて、厳しい自然の中から作り上げてきた北海道のゆたかさです。このことと同様に、虐待防止の取り組みの中からは、支援サービスのゆたかさを創り上げることができるのです。

豚肉のちゃんちゃん焼とアスパラとホタテをあしらった前菜