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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

♪ずっとウソだったんだぜ~

 働く障害のある人への使用者による虐待対応件数が統計を開始した2013年以降最多となった事実が公表される一方で、中央省庁や様々な自治体における「障害者雇用水増し」が長年にわたって常態化していた実態が明らかにされつつあります。

 障害者雇用促進法は、障害者権利条約を批准する要件を満たす必要もあり、改正促進法が施行されたばかりです。とくに、法定雇用率については、今年の4月から行政機関が2.5%、企業は2.2%に引き上げられています。

 東京新聞によると、昨年6月の時点で、国の33行政機関の障害者雇用は6,900人、平均雇用率でみると2.49%まで達成したことになっていますが、制度の対象外である障害の程度の軽い人や障害者手帳を所持しない人を除くと、「実際の雇用率は1%未満になる省庁が多いとみられる」そうです。

 「水増し算定」の自治体も、日が経つにつれてどんどん増えています。埼玉県、栃木県、長崎県等では、教育委員会が水増ししていたことを認めています。中央省庁の中には、実質的に障害者が0%となるところさえあるかも知れないといわれているように、国と自治体のこれまでの「水増し算定」の実態調査が第三者によるものでもなく、信用性それ自体に疑いさえあります。

 8月24日放送のNHKニュースウォッチ9が報じたところでは、行政機関における障害者雇用のガイドラインと厚労省が今年の6月に配布したチェックリストに確認の手立てに関する食い違いがあり、チェックリストではじめて障害者手帳の原本による確認の必要があることを知った自治体があるといいます。

 この報道は、いささか釈然としません。障害者雇用促進法における割当雇用の対象規定を都道府県が知らないなんて言い訳が成立するとは考えられないからです。制度サービスの活用に、障害者手帳を杓子定規な絶対的要件としていた時代に成立した割当雇用の仕組みですから、自治体当局がこのような言い訳をしているとすれば、見苦しい限りです。

 社会福祉基礎構造改革以降、障害のある人の地域生活における「自立」の柱に「就労」を置いてきたのは、「国策」ではなかったのでしょうか? 学校卒業後直ちには就労継続支援や生活介護等の福祉サービスを利用できない仕組みにして、各都道府県教育委員会の下でも特別支援教育の中で「就労による自立」に力を入れてきたのではなかったのですか?

 法の執行機関である国と自治体は、障害者雇用率の実態を外部から点検されないことを隠れ蓑にして、ずっと「水増し不正」を続けてきたところに事態の本質はあります。国の障害者施策の柱が内側で、シロアリ被害にあっていたようなものです。

 「ずっとウソだった」と原発批判を歌っていただいた斉藤和義さんには、ぜひもう一曲、「障害者法定雇用率水増し不正批判ソング」を期待したいところです。

 ♪ ずっとウソだったんだぜ やっぱバレてしまったな
   ほんとウソだったんだぜ 雇用率は守っています 🎸

 この数年間、公文書の改ざん問題が浮上したかと思えば、わが国を代表するような企業においても、さまざまな「不正」が明るみに出てきました。三菱自動車の燃費不正、神戸製鋼のデータ改ざん、日産・スバル・スズキ・マツダ・ヤマハ発動機の品質管理不正。

 外国人技能実習制度をめぐる不正行為は、三菱自動車と日産自動車で明るみになったかと思えば、日立製作所でも「目的外」の職場作業に実習生を配置していた疑いが持ち上がっています。この制度は、わが国の優れた技能を世界に広めていくという「国際貢献」のための施策と謳われていましたから、いうなら「技能版クールジャパン」だったはずです。

 障害者の働く権利を守り発展させるための制度の形骸化、日本の製造業が誇る徹底した品質管理の崩壊、わが国の優れた技能を国際社会のために役立てようとする制度の悪用等、これらはすべて現在のわが国が根太から腐りつつあるのか、主な柱の内部がシロアリで食い尽くされつつあるのかを示す事実でしょう。


神戸中華街西安門

 さて、仕事で週末から神戸に赴きました。障害のある人の地域生活を充実発展させるための議論を重ねています。ただ、障害のある人たちの権利擁護に資する法制度を1つ確立するだけでも大変なことなのに、法制度があっても行政が率先して「水増し」による形骸化をしてきたというのですから、これまで以上に知恵を出す必要があるでしょう。


神戸三ノ宮マル井の神戸牛

 神戸の中華街は横浜よりこぢんまりとしているため、中華のお店を探すのに疲れることはありません。六甲山地と海に挟まれた東西に延びる適度な街の広がり中に、明石焼きにそば飯のような庶民の美味から、播州の牡蠣、鱧にアナゴといった瀬戸内海の幸も豊かです。


わ~っ、アワビまで付いてきた!

 そして、何と言っても神戸牛。和牛のブランドはさまざまにあるといえども、神戸牛の旨みと風味の上質さには、他のブランド牛の追随を許さない美味の気品を感じます。ごちそうさまでした。