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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

地方の時代と政務活動費

 9月1日、全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)は、不適切な支出が問題となっている政務活動費(政活費)について、都道府県と政令市、中核市の計115議会の情報公開度のランキングを初めて公表しました(https://www.ombudsman.jp/seimu/seimu2017.pdf)。

 全国市民オンブズマン連絡会議が情報公開度の判断に用いる基準は、どれもこれも当たり前の内容に過ぎません。領収書、会計帳簿、活動報告書等のそれぞれの公開を問うているだけです。政務活動費は「議員の報酬」ではなく、地域住民に資する自治体の施策形成のための調査活動費ですから、一点の曇りなく、すべてを詳細に公開するのが主権者である国民に対する義務です。

 100点満点でみた各自治体類型の平均点、第1位と最下位の点数は次のようです。

<都道府県:平均点39.8点>兵庫県97点:埼玉県11点
<政令指定都市:平均点34.4点>堺市94点:名古屋市12点
<中核市:平均点44.4点>函館市100点:越谷市7点

 50点は、「領収書を原本で提出し、閲覧ができ、会計帳簿を提出、活動報告書、視察報告書の作成、公表、マニュアルをネットで公開していれば、領収書等のネット公開がまったくなくても獲得できる点数」だと報告書は説明しています。

 そして、調査対象となった地方議会の72%に該当する83議会が、この50点すらクリアできていないのです。都道府県別では、「号泣県議」問題で襟を正したように思える兵庫県議会の情報公開度が1位です。それに対して、埼玉県議会と埼玉県内の政令市・中核市は軒並みひどい実態です。

 都道府県と中核市の最下位が埼玉県議会と越谷市議会であるのに加え、さいたま市議会は22点、川越市議会は20点と平均点をはるかに下回る「赤点」です。これは落第でしょう。埼玉県内の地方議会議員の政務調査活動の質が問われていることは、まず間違いありません。

 介護保険と福祉の施策、虐待防止と差別解消の取り組みは、ほとんどすべてが地方分権型の施策構造ですし、学校教育においても特別支援教育の体制整備については地方分権的な性格が強くなっています。このご時勢に、政務活動費が有効に使われていない可能性が高いという指摘は、まことに深刻ではないでしょうか。

 私の個人的な体験にあった事実から問題を振り返ってみても、唖然とする機会がありました。例えば、福祉領域における計画行政の始まりにあたる市町村高齢者保健福祉計画を1990年3月までに策定する事実を知っていた埼玉県内地方議会議員は、ごく少数でした。私が自治体職員から聞いた人数は、「たった1人の議員だけだ」ということでした。限られた情報であるとしても、ごく少数の議員だったことには間違いありません。

 埼玉県内で障害者計画と障害福祉計画の策定年度に政策委員会や施策推進協議会の長(地方自治法に定める付属機関の長で、非常勤特別職の公務員に当たる)として係わっていても、策定年度を自覚した政務調査活動に鋭意努力している議員に出会った経験はありません。

 福祉領域の各計画の策定年度に熟知している議員は少数だと思います。議会の直前になれば、支援現場の人から問題点や実情を聞く程度のことはするにせよ、自ら支援現場に足を運んで問題の真実を掘り下げて理解しようとするまでの地方議会議員がマジョリティであるとは、とても言えないのではないでしょうか。

 たとえば、障害者差別解消法に施行にあたり、自治体職員の服務規程の策定や障害者差別解消支援地域協議会の設置が進まない問題の背後にも、政務活動費が有効に使われていない実態は果たしてないのか。

 もちろん、会派や議員それぞれによっては熱心な政務調査活動をしている例もあることは知っています。しかし、すべての会派の議員の皆さんが、例外なく、自治体の施策形成のために政務活動費を支出することを担保するために、完全な情報公開は当たり前です。

 今、私は埼玉県障害者施策推進協議会に参画する障害領域の当事者団体や事業者の方が、情報を収集して少しでもよりよい障害者施策にしようと懸命に努力している姿を知っています。その一方で、議会の政務活動費の情報公開度が全国で最下位というのは、地方自治体の付属機関の長としても、県民としても、いささか納得しがたいものを感じます。

ウホッ、松茸御飯―年に一度の秋味

 季節の彩りがあってこそ家庭の食卓と言えるでしょう。この夏は、夏野菜が軒並み芳しくなかったので、季節の味を求める気持ちがいささか肥大化しています。山に人の手が入らなくなって、国産松茸の収穫が格段に減少した影響で、家庭で松茸を食べること自体がかなり難しい値段になっています。それでも、何とかして「年に一度は松茸御飯」を味わいたい。

 私の小学生の頃は、どの家庭にも「年に一度は松茸御飯」が出ていたように思います。小学校に登校した途端に「昨日の晩御飯は、松茸御飯やった~!」とふれまわる小学生が、どのクラスにもいた記憶があります。しかも、このようにふれまわる奴に限って、金持ちではない(笑) ここに、格差を超えた平等観のようなものがあったのでしょうね。

 今、埼玉大学の学生に訊ねてみると、「松茸の存在を知らない」、「存在は知っているが食べた経験はない」の両方で、だいたい全体の2/3を占める勢いです。これがいずれは、本マグロや鰻はむろんのこと、スルメイカにサンマにまで拡大するおそれさえあるというのですから、やりきれない時代ですね。このまま行くと、「えっ、サンマ食べたの?! リッチだね~」となるのですから…。

 では、人が山に入らなくなって山が荒れて、松茸の収穫量が激減したことに伴う農政問題や地域経済問題について、政務活動費を用いて熱心に調査した地方議会議員はいるのでしょうか?