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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

小事糊塗(しょうじこと)

 「小事糊塗」とは、「小さいことは、糊(のり)を塗って何かを貼り、表面をつくろってごまかすことができるが、大事件となるとそうはいかない」という『宋書』由来の故事です(真藤健志郎著『「四字熟語」博覧辞典』、165頁、1986年、日本実業出版社)。

 津久井やまゆり園の事件を受けた厚労省の再発防止策が発表されました(この報告書の全文は入手できていないため、12月9日付朝日新聞朝刊の記事に依拠して書いています)。津久井やまゆり園の事案の検証というよりも、この事件を機に措置入院制度の手直しをしますという代物です。

 やまゆり園の家族会の人たちの声の中には、「今回の事件は、措置入院の問題ではないでしょう」と明確に意見表明する人が少なからずいるにもかかわらず、なぜ「措置入院の問題」に収れんさせた検討に終始したのでしょうか。

 しかも、あの「事件を受けた」措置入院制度の手直しですから、「措置入院中から退院後の支援計画を立てる」「退院後もチームで支援を続けられるようにする」という目的が犯罪防止に置かれているのは明らかです。

 この検証・再発防止策検討チームの座長は、「あくまでも退院後、孤立せず安心して暮らせる支援体制を築くもので、精神障害者の利益にもなる」と強調したと新聞は報じています。率直に言うと、この発言はいただけません。

 「あくまでも孤立せず安心して暮らせる支援体制を築く」というなら、はじめから精神障害者の利益に適うものです。それなのに、後段でわざわざ「精神障害者の利益にもなる」ととってつけてわざわざ言うのは、手直しの第一目的が精神障害のある人たちの利益を検討したものではないことを座長自らが告白したようなものです。

 神奈川県の検証委員会報告書(前回のブログ参照)は、社会福祉施設が防犯の観点から安全管理体制と関係機関との連携体制を構築することを中心とする「再発防止策」でした。厚労省の検証・再発防止策検討チームの報告書は、やはり防犯の観点から措置入院制度の手直しを中心とする「再発防止策」です。

 先週は、香川県障害者虐待防止・人権擁護研修に講師として参加しました。ここでも、やまゆり園の事件に関する神奈川県の検証報告書に落胆した声が多く聞かれました。中には、「このような貧弱な内容の報告書を受けて、いきなり『ともに生きる社会かながわ憲章』(を参照のこと)にまで飛んで行ってしまうのは、何ら教訓を引き出していない証左ではないか」という声さえありました。

香川県障害者虐待防止・人権擁護研修

 香川県の虐待防止研修は、参加者の真剣さと熱意がひしひしと伝わってきます。障害者虐待防止法の施行から5年目に入り、自治体や支援現場の人たちの多くは、虐待防止・人権擁護の取り組みを、支援と暮らしのただ中で一歩一歩具体的に進めてきています。人権擁護を前に進めたいと切実に願っているのです。

 事件は、障害者支援施設の中で発生しました。施設の支援と暮らしの営みの柱と枠組みを構成する障害福祉制度と法人・事業所の管理運営に関する問題が事実上何も検証されない点は、障害のある人とそのご家族はむろん、多くの支援者にとっての疑問として残されたままです。

 津久井やまゆり園の事件をめぐるこれまでの「検討」や「検証」は、まことに残念ながら、小事糊塗の類ではないでしょうか。

金刀比羅宮の奥院

 さて、香川では金刀比羅宮(ことひらぐう)に立ち寄りました。

 江戸時代に伊勢参りと並んで「金毘羅参り」が盛んになって以来、庶民からの愛称は「金毘羅(こんぴら)さん」。そして、JR四国とことでんの駅名は「琴平(ことひら)駅」。漢字や呼び方の異なるところが、面白く味わいのあるところです。これら表記の変遷に詳しい方は、どうかご教示ください。

 今回は、奥院までの1368段の階段を登り切って来ました。参道にはまだ紅葉が残り、奥院からの眺望はとても素晴らしい。

奥院から坂出方面を望む

絵馬殿の奉納物

 本宮の傍らにある絵馬殿に入ると、さすが金毘羅さんです、数多の船々の写真が奉納されており、海上交通の守り神としての歴史的な重みが感じられます。「うどんだけじゃない香川県」です(笑)