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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

平成26年度使用者による虐待の状況から

 厚生労働省は8月27日、平成26年度「使用者による障害者虐待の状況等」についての結果を公表しました。

 これによると、虐待の認められた事業所数と障害のある被虐待者数は、ともに前年度より2割前後増えています。この点は、使用者による虐待そのものの増加というよりも、平成24年10月の虐待防止法施行から2年余りが経過し、法にもとづく虐待対応の取り組みの実効性が向上したことに由来するものと考えます。

 今回の使用者による虐待状況に関する厚労省の公表資料は、前年度の資料と比べると、より実態に接近できるように改善されていることが分かります。例えば、虐待の確認された事業所規模について、従来は「100~499人」と分類されていたところが、今回は「100~299人」「300~499人」と細かく分けられていること、従来は事業所への対応措置の具体例だけの提示であったものが、今回は「通報・届出の概要」と「労働局の対応」をセットにして例示するようにした点などがあります。

 今後も、ぜひ公表資料がより詳細な実態を明らかにできるように改善を重ねていただきたいと切望します。とりわけ、虐待者と被虐待者の性別と年齢別のデータの開示が必要であると考えます。この点は、養護者による虐待や施設従事者等による虐待との異同を考察する上での基礎的な資料となるからです。関係当局には、ぜひご検討くださるようお願いします。

 さて、今回公表された使用者による虐待の状況と特徴についてまとめると、概ね次のようです。

 まず、虐待認定された事業所数は299事業所(前年度より+18.2%)、障害のある被虐待者のべ数は483人(同+22.9%)です。

 虐待と障害の種別に関する状況は、次の表の通り(公表資料より抜粋)で、すべての障害種別に共通して経済的虐待が最多であり、とりわけ知的障害のある人に対する経済的虐待の多さが目立ちます。その多くは、最低賃金法違反によるものです。

使用者による障害者虐待における虐待種別と障害種別(平成26年度)
虐待種別人数障害種別
延べ合計501(100%)身体障害知的障害精神障害発達障害
身体的虐待23(4.6%)31503
性的虐待8(1.6%)1430
心理的虐待39(7.8%)172043
放置等12(2.4%)4712
経済的虐待419(83.6%)48324456
(単位:人)

 そこで、労働局の虐待に対する措置の状況をみると、労働基準関係法令に基づく指導等の中で、最低賃金法関係の措置の占める割合が、全体の77.2%と最多となっていることが分かります。

使用者による虐待に労働局がとった措置の内訳
労務局がとった措置の内訳平成26年度平成25年度
労働基準関係法令に基づく指導等429件(+25.8%)<87.2%>341件<87.7%>
(うち、最低賃金法関係)380件(+23.4%)<77.2%>308件<79.2%>
障害者雇用促進法に基づく助言・指導等49件(+32.4%)<10.0%>37件<9.5%>
男女雇用均等法に基づく助言・指導等8件(+300.0%)<1.6%>2件<0.5%>
個別労働紛争解決促進法に基づく助言・指導等6件(-33.3%)<1.2%>9件<2.3%>
合計492件(+26.5%)<100%>389件<100%>
( )内は前年度比

 使用者による虐待の認められた事業所数と被虐待者数を事業所の規模別にみると、次の表のようになります。小規模事業所を「299人未満」でまとめたものが表中の「小計」に示してありますが、現在のところ捕捉されている状況によれば、事業数と被虐待数で、299人未満の事業所が大部分を占めていることが分かります。

使用者による虐待の認められた規模別の事業所数・被虐待者数(平成26年度)
規模事業所数(か所)被虐待者数(人)
5人未満44(14.7%)(小計)
292(97.7%)
51(10.5%)(小計)
474(98.1%)
5~29人151(50.5%)218(45.1%)
30~49人50(16.7%)116(24.0%)
50~99人23( 7.7%)52(10.8%)
100~299人24( 8.0%)37( 7.7%)
300~499人2( 0.7%)2( 0.4%)
500~999人1( 0.3%)1( 0.2%)
1,000人以上4( 1.3%)6( 1.2%)
合計299(100%)483(100%)
(公表資料より宗澤作成)

 次の表は、使用者による虐待の「通報・届出」と「認定」に関する「把握の端緒」に関する資料です。これによると、まず全体的な傾向として、通報・届出の事業所件数に対する認定件数の割合が、299/985(30.4%)と約3割となる点はいささか気がかりです。とりわけ、「労働局への相談」で認定される割合が低い(113/663、17.0%)のに対し、「その他労働局の発見」は確率が高くなっている(154/202、76.2%)ことが分かります。

把握の端緒別の通報・届出件数と認定件数(平成26年度)
把握の端緒通報・届出の件数認定件数
都道府県からの報告120事業所(12.2%)32事業所(10.7%)
労働局等への相談663事業所(67.3%)113事業所(37.8%)
その他労働局等の発見202事業所(20.5%)154事業所(51.5%)
合計985事業所(100%)299事業所(100%)
(公表資料より宗澤作成)

 ここにいう「その他労働局等の発見」とは、「労働基準監督署による臨検監督」や「公共職業安定所による事業所訪問」などにおいて「使用者による虐待に該当するおそれがある事例を把握したもの」と説明されています。この「把握の端緒」は、労働局による直接的な把握であるために、認定につながる確率が高くなるのは当然でしょう。

 ただし、「臨検監督」や「事業所訪問」が、小規模事業所に対しても、大規模事業所に対しても、公平・公正に均等に実施されているかどうかの資料は今のところ公表されていないため、事業所規模別の使用者による虐待の発生状況に関しては、先述したように、「現在のところ捕捉されている状況」という限定を付しました。

 最後に、業種別にみる使用者による虐待が大変気がかりな状況を続けている点についてです。平成25年度と26年度に共通して、「製造業」が最も多く、次いで「医療、福祉業」、そして3番目に「卸売業、小売業」となっています。「医療、福祉業」の多さが目立つ点は、この業界が労働関係法令を「知らなかった」という単純な理由からのものではなく、もっと根深い問題があるのではないでしょうか。医療機関における虐待の「間接防止義務」の抜本的改善も含めた検討課題を指示する点ではないでしょうか。

高知県立牧野植物園-企画展「恐竜時代の植物たち」

 さて、この2週間余り、ほとんど休日がありません。静岡県障害者虐待防止研修に続いて、陸前高田市に復興支援関連でお邪魔し、高知の研修の直後に盛岡市で虐待防止研修に参加しました。

ひろめコロッケと屋台安平衛の餃子-ビールと合う!!

 いささかバテ気味の心身を癒し励ますために立ち寄ったのは、高知県立牧野植物園と高知の「ひろめ市場」。牧野植物園では牧野富太郎博士に恐竜時代の植物を案内していただき、ひろめ市場でははらわたから高知の美味を堪能しました。