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宗澤忠雄の福祉の世界に夢うつつ

宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

疲労が溜まりやすい福祉の現場。
皆さんは過度な疲労やストレスを溜めていませんか?
そんな日常のストレスを和らげる、チョットほっとする話を毎週お届けします。

プロフィール宗澤 忠雄 (むねさわ ただお)

大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。
さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

名ばかり管理職

 昨日の朝日新聞朝刊は、「求む教頭・副校長」と題し、激務のためになり手がおらず辞める人まで出てきている教頭・副校長の問題をトップ記事で報じました。

 この記事から勤務の実態を拾ってみると、次のようです。

◇神奈川県内の市立中学校の副校長

 毎朝5時すぎに家を出て、6時20分には学校の門を開ける。担任が入院すれば、かわりの常勤講師を探し、窓ガラスが割れれば業者に電話する。教員の勤務評価、報告書作成。帰宅は午前0時すぎ。休みは新学期になって1日だけ。

◇大阪市立小学校の教頭

「苦情をいう保護者に校長が『教頭によく言って聞かせます』と応対するのを聞き、『心が折れた』。PTA役員から『おい、教頭』と言われ、会費の引き落としを頼まれ、銀行に走ったこともある。呼び出される時に都合を聞かれたことはない。『まるで奴隷です』」

「文部科学省が2006年に全国の公立小中学校の教員を対象に実施した「勤務実態調査」によると、教頭・副校長の平均残業時間は月約63時間で、教諭よりも21時間多かった。また、2012年度の別の調査では、副校長・教頭の4割近くが午前7時までに出勤、午後9時以降に退勤するなど、長時間労働が常態化していた」(同新聞記事より)

 このような働き方が強いられている実態は、ウェッブ夫妻たちがかつて問題とした19世紀から20世紀初頭における「苦汗労働」に近似するものです。それでも、「管理職」扱いですから、残業代は出ないし、平の教諭への降格希望者が続出し、なり手がいなくなるのは当然です。

 かつて、マクドナルドの店長の人たちが集団で残業代を求める訴訟を起こして以来、「名ばかり店長」という言葉が定着しました。今や、学校でも「名ばかり管理職」の実態が進行しつつあると言うのは言い過ぎでしょうか。

 以前、ある公立学校に教職員の精神保健に関する研修に講師として参加したことがあります。この時、教務主任や教頭・副校長という中間管理職の先生方にかかる業務量と精神的負荷の大きさから、心身の調子を崩す方が少なからずいるというお話を伺いました。

 次の表に示した文部科学省の勤務実態調査でみても、病気理由の休職者の中で精神疾患の占める割合は、文部科学省や教育委員会のさまざまな取り組みが進められてきたにもかかわらず、平成21年度(2009)が63.3%、22年度(2010)が62.4%、23年度(2011)が61.7%と高原状態が続いています。

教育職員の病気休職者等について(文部科学省Webサイトより)
年度降任免職休職降給合計
病気休職病気休職起訴休職その他
(うち神経疾患)
21年度0128,627(5,458)2120908,869
22年度298,660(5,407)2520308,899
23年度1128,544(5,274)1618308,756
(単位:人)

 あるところで学校の先生方の勤務実態をお聞きすると、退勤時間は早くて20時くらい、遅くて22時30分というような話を耳にしたことがあります。このような働き方の問題は、他の社会問題にも波及します。

 まず、学校の先生を仕事とするお父さんやお母さんの家庭生活に大変な無理が生じることです。間違いなく、子育てや介護の問題は深刻化します。いうなら、少子高齢化に伴う社会サービスへのニーズを増大させてきた根源には、長時間労働の問題があることを正視しなければなりません。

 次に、OECDの調査でも指摘されたように、世界の主要先進国の中で、日本の小中学校の先生は労働時間が長く、とくに事務労働の占める割合の高い実態があります。残業が多く、過労気味の先生方を増やす傾向が強まれば、わが国の義務教育の質が担保されることへの心配さえ生まれるのです。

 たとえば、教材研究や授業の質が低下していくと、学習の進み具合や学力を担保する手立てとして、宿題への依存傾向を強めることも出てきます。宿題は、学校でやり切れなかった学びを家庭学習で補うという点で合理的だと考えるのは、6人に1人の子どもが貧困である地域の実態からいうと丸でリアリティがありません。

 家庭の生活格差が子どもたちの学力格差に直結しやすい手立てが、宿題依存型指導のもつ欠陥です。これでは、学校でやり切れない学習を家庭や子どもの「自己責任」に丸投げしているだけでしょう。

 日本の子どもたちの学習と発達にゆたかさと闊達さを実現するためには、学校と先生方の働き方にゆたかさが確保する必要があるのではないでしょうか。

セイヨウミツバチ―後足に花粉玉をつくる

 さて、この時期わが家では、ブラックベリーの花が咲き乱れ、その蜜を求めて様々なハチがやってきます。もっとも数の多いハチはセイヨウミツバチ。次いで、ニホンミツバチです。毎年ブラックベリーの花が咲き始めた途端に、ハチが大挙して押しかけてくる事実からすると、この花がきっとミツバチ類の好物なのでしょう。

ニホンミツバチ

 ミツバチを観察してみると、陽が昇るとやってきて、陽が沈むころにはそれぞれのお家(巣)に帰っていきます。蜜を集めるのは働きバチですが、どうも日本の多くの労働者よりも労働時間が短いようですね…嗚呼。