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梶川義人の虐待相談の現場から

梶川 義人 (かじかわ よしと)

様々な要素が絡み合って発生する福祉現場での「虐待」。
長年の経験から得られた梶川さんの現場の言葉をお届けします。

プロフィール梶川 義人 (かじかわ よしと)

日本虐待防止研究・研修センター代表、昭和女子大学・淑徳大学短期大学部兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。

アクティブラーニング

 大学教育では、アクティブラーニングが大流行です。私も普段、学生のみならず研修の参加者からも質問が少ないことは気になっていましたから、学修者が主体的に学修に参加するこの学習スタイルに興味はあります。

 しかし、小学校低学年以前の子どもは、自ずとアクティブラーニングを体現しているように思います。子どもは本当に好奇心のかたまりで、「それ何?」「どうして?」を連発します。ところが、大人になると「質問しない」学生や研修の参加者になっていきます。

 私は、この変わりようについて考えていたとき、自身の小学生の頃を思い出しました。
 当時、百科事典ブームというものがあり、一般家庭に百科事典が普及し始めました。百科事典は恐るべしで、大人が答えてくれない事柄もそれなりに解説されています。そのうえ、五十音順ですから、医学用語の次に文学用語、その次は建築学用語で、さらに民俗学用語へと続くなど、まるで知識のアミューズメントパークのようです。

 ですから、調べるだけではなく、読み物としての魅力に取り憑かれるのに時間はかかりませんでした。思いつくまま気の向くまま乱読するようになったわけです。この部分を伸ばしつつ大人になっていけたなら、アクティブラーニングも根付いていくのではないでしょうか。

 探究心を持ち続けることは、対応困難な事例に遭遇したときの身の処し方にも活かせます。私は以前、対応困難な事例に遭遇したとき、研究者のような発想をすることで難局を乗り越える提案をしましたが(「虐待事例で離職のリスクマネジメント」を参照)、探求心を持ち続ければ、少なくとも短絡することは避けられるからです。

 また、対応困難な事例への取組み姿勢は、あれこれ理由をつけて避けたがる人と、規則を破ってでも解決しようとする人、そして、どっちつかずに彷徨う人に三分されますから、探究心を育むことで、やらなすぎる人もやりすぎる人も減少させ、かつ、自己効力感も高まりますから、どっちつかずの人も減らせます。

 ですから、第一線のプロたちには是非とも、幼子の探求心を育み続けて頂きたいと切望します。実際、一口にプロと言っても、マニュアルに従って実践するだけの者と、実践と研究をともに行う者がいて、後者が「専門家」と呼ばれるようになっていきます。

 ケアの質の向上や地域包括ケアシステムの深化・推進を進めるうえでも、専門家の層を厚くすることは大いに効果的です。いわば、「専門家」イコール「独立機関」のようなものであり、独立機関が増えれば、虐待防止のネットワークは、よりきめ細やかなものになり、よりきちんと機能し、虐待を減らすことにつながっていくからです。

 こう考えると、いっそのこと、大学院で教える研究の方法を小学校で教え、中学校以上では、研究に必要な知識や技術をバイキング料理のように選んで学べるようにしたほうが、国民の探究心を総じて養え、国力向上に役立つとさえ思います。たった一件のイジメ問題すら解決できない教育委員会も不要ですし。

「アクティブラーニング!!」
「アクティブの意味が…」