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梶川義人の虐待相談の現場から

梶川 義人 (かじかわ よしと)

様々な要素が絡み合って発生する福祉現場での「虐待」。
長年の経験から得られた梶川さんの現場の言葉をお届けします。

プロフィール梶川 義人 (かじかわ よしと)

(仮称)日本虐待防止研究・研修センター開設準備室長、淑徳短期大学兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。

文章を介したコンサルテーション(その2)

 前回に続いて、文章を介したコンサルテーションについて考えます。

 文章を介したコンサルテーションを行う際、私が配慮していることの第4は、「ゴールを達成に向けたコンサルティーの課題探し」です。コンサルティーが今後どう動けば良いのか、アイデアを出し易いように、以下の選択肢のなかから選んで質問をします。洞察力に優れていると、コンサルティーが自ら「自分の認識パターンに潜む矛盾」に気づくこともあります。

  • 〇「もしすべて解決したら今と何が違っていると思いますか?」
  • 〇「何か例外はありませんでしたか?」
  • 〇「0から10で、今の状態はいくつでしょうか?」(「スケーリング・クエスチョン」と呼ばれる質問です)
  • 〇「前回から今回までのやり取りの間に、何か変化はありませんでしたか?」
  • 〇「凄いですね!どうやったのですか?」

 第5は、「手始めに実施する課題選び」です。私はよく、この課題選びで文章を締めくくりますが、以下のことを意識するようにしています。

 すなわち、第4でご紹介した質問「凄いですね!…」と同じ内容でエンパワーしてから、第1と第2で明確化した問題を、第3で具体化したゴールに向けて変化させるために、第4で見出した課題のうち、手始めにどの課題を実施するのか、という一連の流れを明示する、ということです。

 たとえば、「コンサルティーの優れた観察眼によって問題の例外を見出し、それをヒントに幾つか課題(どう動くかというアイデア)を浮かび上がらせることができたが、まずは、手始めに◯◯を実施すると良さそうだ」といった按配です。むろん、このまま書くというより、流れが分かる表現にする、という意味です。

 もっとも、「もっと即効性のあるアイデアはないのか」という、せっかちなコンサルティーもいますから、そのときは、「これまでやって効果があったことはもっとやれば良いが、上手くいかなかったときは、即効性のない小さなことを積み上げることで打開を図るのがセオリーだ。これをリップル(さざ波)効果という。後々大きな効果を発揮する」と説得するようにしています。

 ちなみに、「リップル効果」とは、凪いでいる水面に小石を投げると、小石の入水点を中心に円状の波が発生し、その波は外にいくほどに大きくなっていく様を、対人援助にあてはめ、「小さな変化(効果)こそが後々、大きな変化(効果)をもたらす」という意味です。

 第6は、「上手くいったことがあれば、もっとそれを行う」ことの勧奨です。このブログ「勇気ある撤退」で述べた「効果があるならもっとやるが、効果がないならスッパリ止める」を地でいくわけです。

私「(ゴールの達成に)勝つと思うな、思えば負けよ…」
コンサルティー「また、訳の分からないことを…」