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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第45回 夏休みスペシャル企画!【ほじょ犬、動物園に行く!!!(1)】

 この度の台風被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。お疲れのなか、復旧に努められていることと存じますが、お身体をお大事になさってください。一日も早く日常を取り戻されることを願っております。

 さて、先週までの水族館特集、好評をいただきありがとうございます! 今回は動物園特集です。気合いを入れてお伝えいたします♪ まずは、早速質問です!

 補助犬を連れて、動物園に行きました。一番反応したのは次のうちどの動物でしょうか???
1.ライオン    2.サル    3.鳥

 さ~、どれだと思いますか~? 正解は……

 「すべて正解であり、すべて正解ではない」です(中途半端な回答でスミマセン!)。というのも、動物園と一言で言っても、展示方法・環境が様々であり、そのシチュエーションによって動物たちの反応もいろいろなのです。

聴導犬のことを、おサルさんが“ガン見”してきました!(~_~;)※実際の検証とは関係がありません。

 そもそも、動物園・水族館の目的をご存知でしょうか? 見せ物として、ただ動物を展示しているわけではありません。日本動物園水族館協会によれば、その目的は4つ。「種の保存」「教育・環境教育」「調査・研究」「レクリエーション」です(http://www.jaza.jp/about.html)。

 ですので、最近世界的には、展示動物の福祉も考え始められており、展示方法の改良も実施されています。見る側としても、少しでも野生に近い様子を見たいものですね……。

*  *  *

 当会が実施した『補助犬受け入れ検証』は、調査研究も兼ねておりましたので、事前準備としてある程度の想定をした上で実施しましたが、想定していた状況、想定外の状況など、非常に多くのことが学べました。

 まず、差し掛かったのは鳥類のコーナー……。犬たちが檻の前を通りかかると、大声を出して騒ぎ始めました。キジ類が特に騒がしかったです。人間も犬も、その状況をゆっくり観察しようという気にはなりませんでしたので、そそくさと通過。かなり近いところを歩けるようになっていたので、鳥たちからしたら、恐怖だったのでしょう。

 次に通ったのは、サル山の展示。ここは問題なく通過。というのも、サル山を周囲から見下ろせるような展示になっており、犬は完全にサルから見えない壁の向こう側におり、認識ができなかったのだと思われます。犬たちからも姿が見えないから平気平気。

 と、安心して歩いていくと、サル山の前方にある大きな檻の中から、大きな叫び声とともに、1頭の大きなサルが手前のオリの上の方に飛びつき、こちらに向かってオリをガタガタならしながら威嚇を始めました! その行動につられ、檻中のサルたちも騒ぎ始めるなど、これはもうえらい騒ぎでした。サル山では、ニホンザルの展示がされていましたが、他の外来種のサル達は、それぞれの種類ごとに大型の檻で展示されている状況。その先のサルエリアに行くのをやめたのは、言うまでもありません。

 動物園関係者も含め全員が、「犬猿の仲」とはよく言ったものだ……と真剣に思いました。

*  *  *

 このように、同じサルでも、展示の方法はいろいろです。動物園によっても違います。ですので、一概に「サル=ダメ」とは言えないのです……。が、同じ空間に、自然界ではありえない異種の動物が居合わせてしまうシチュエーションを、人間の勝手で作り出しているのが動物園です。どう考えても、展示動物にとっても、犬にとっても迷惑な話だろうな~と、思ってしまいました。(苦笑)

 一方で、補助犬ユーザーの希望もあります。デートで行くかもしれない、子どもについて行くこともあるでしょう。その際には、補助犬がストレスなく、また展示動物にもストレス少なく回れる方法が必要です。しかし、最終的にはユーザーの判断が重要となってくるのです。これは補助犬ユーザーに求められる社会的責任であり、犬の保護者としての責任でもありますね。自分の子どもが「高所恐怖症」なのを知っていて、高所に無理やり連れて行く親はいないですよね。

 最近では、ペット同伴可の動物園的な施設(ふれあい牧場など)も増えてきていますよね。これも同じこと。補助犬に限らず、犬連れで様々な場所に行くときは、我が子である犬の性格、好き嫌いを十分に把握した上で、訪問施設側にいる動物たちの状況も考え、行動することが、結果的に我が子を守ることになるのです♪ 犬の管理・教育は、本当に人間の子育てに通じるところが多く、勉強になります!(言うは易しであり、実践するのは難しいのですが……)

 さて、次週は、夏休みスペシャル企画!「ほじょ犬、動物園に行く!!!(2)」です。次回は、あのライオンが出てきます!お楽しみに~♪

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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