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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

第44回 夏休みスペシャル企画!【ほじょ犬、水族館に行く!!!(2)】

 さて、突然ですが皆さん、犬の気持ちになって想像してみてください。。。初めて行く水族館……何だか薄暗い部屋で魚らしきものが泳いでいる・・・…その先にはエスカレーターがあり、「進め」の指示……エスカレーターに乗ろうと思ったその瞬間、上空を巨大な物体が!!! いかがでしょうか? あなたならどんな気持ちになるでしょう???

A:パニックになって逃げ出す  B:全く平気。いつも通り進む

 「A」と答えたあなた! 残念。補助犬には向いていませんので、家庭犬にキャリアチェンジしてください。
 「B」と答えたあなた! 補助犬の適性バッチリです! 次のステップへ進みましょう♪(笑)

上空から、巨大エイが!!!

 前回に続き、水族館での検証の様子をお伝えします。

 冒頭で、皆さんには犬の気持ちになっていただきました。これは、実際に水族館検証の際にあったシチュエーションです。この水族館の検証には、実際の認定補助犬ではなく、訓練犬を参加させました。事前の施設側との打ち合せ時にも、「訓練を兼ねて」という話をした上での実施でした。双方とも色々試してみたかったので、休館日の実施となりました。

 当日、参加した訓練犬は2頭。大きさも犬種も性格も、ほぼ正反対な感じの2頭でした。

  • ●訓練犬A=色々なものに興味津々、キョロキョロしていました♪ ちょっとドキドキしている様子。
  • ●訓練犬B=全く周囲を気にすることなく、もくもくと歩いていました。水槽、見えてますか~?と聞きたくなるくらい、無関心でした。(笑)

*  *  *

 訓練犬のAちゃんは、とっても良い子でしたが、若干ビビりなところがあり、そこが課題でした。それを克服できなければ、訓練から外す(キャリアチェンジ)予定の子でした。ビビりであること自体は社会に迷惑は掛けません。ただ、あまりに怖がり過ぎですと、吠えてしまったり、時に攻撃してしまうことも考えられますので、【怖がりの犬=適性なし】として早期に訓練からは外します。怖がりまでいかないビビりな性格の場合は、訓練をしながら様子を見ていきます。

 補助犬は、障害者の方と様々な場所へ行き、様々な体験をします。ですので、それを想定した様々な訓練の中で成功体験をすることで、自信をつけていきます。しかし、その度にビビるようなことがあれば、それは完全にストレスの積み重ねとなります。我々は、『補助犬の仕事は、犬にストレスを掛けながらさせることではない』と思っておりますので、その辺りはしっかりと見ます。補助犬としてのお仕事を、その犬自身が楽しみ、自信を持って生活できるようでなければならないと思っています!

 一方B君は、もうすぐ合同訓練に入れる最終段階の犬でした。何度も「見えてますか~? 魚ですよ~」と声を掛けてしまうくらい、全くの無関心でした。(笑)

*  *  *

 そして、冒頭のエスカレーターでの話。検証を進めるなかで、水槽トンネルに差し掛かった時、まさにエスカレーターに乗ろうとした瞬間に、上空を巨大なエイが飛んできた(正確には泳いできた)のです! これを見た訓練犬Aちゃんはビックリしてしまい、腰が引けてエスカレーターに進むことができなくなりました。。。

 Aちゃんは、このエイの他は特に問題はありませんでしたが、この検証の後、少し特訓(急にジャンプ傘を開く等)を続けてみたものの上部からの刺激を克服できず、キャリアチェンジをして家庭犬になりました。トレーナーさんは「それが、Aちゃんにとって最も幸せな道」であると判断したわけです。補助犬トレーナーさんは、担当の訓練犬1頭1頭について、「最も幸せな道」を見つけてあげるという大切なお仕事もしています。

 犬も人と一緒。1頭1頭、性格は様々です。それぞれの個性を見極め、盲導犬・介助犬・聴導犬に向いている子、家庭犬に向いている子、誰が優秀で、誰が優秀でないということではありません。それぞれにとって最も適している生活を送る。それが大事なのだと思います。

 さて、次週も夏休みスペシャル企画!「ほじょ犬、動物園に行く!!!(1)」です。お楽しみに♪

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 当会の使命は、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人と動物に優しい社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

  • ※ 2015年7月、日本介助犬アカデミーより「日本補助犬情報センター」へ名称変更いたしました。
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