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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第169回 補助犬と啓発活動

 今回は、当会副理事長 木村佳友(日本介助犬使用者の会・会長、関西学院大学・非常勤講師)からのメッセージをお伝えします。介助犬使用者でもある木村は、介助犬との生活を始めてから21年、たゆまず講演やシンポジウムなどを継続し、回数は約630回、聴講してくださった方の延べ人数は10万人を超えました。これって、本当に凄いことだと思います! その種まきの成果も現れてきています。是非とも、これからその種を、皆さんと一緒に育てて行ければと思います♪
 そして何より、当事者の方々に「自分達の努力が足りない」なんて、言わせてはいけない! と感じております。。。

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 私たち補助犬関係者の努力が足りないのかもしれませんが、身体障害者補助犬法(以後、補助犬法)の認知度は、法律の成立から15年が経った今も低いままです。盲導犬を知らない人はいませんが、介助犬や聴導犬を知っている人は30%程度、補助犬法の名称も内容も知っている人となると数%という調査結果もあります。
 そのため、障害者が補助犬同伴で初めての施設を利用する際には、高い確率で補助犬法の説明や交渉が必要になります。同伴を拒否されても「法律で、補助犬の受入が義務化されていること」を説明して受け入れられればいいのですが、いくら説明しても同伴を拒否されることもあります。これでは、障害者が補助犬との外出を躊躇しかねず、障害者の社会参加を支援するはずの補助犬が、社会参加を妨げる原因となってしまいます。

 同伴拒否を解消するため、厚生労働省や補助犬関連団体などでは、ウェブサイトでの広報だけでなく、啓発イベントの開催、啓発用リーフレット・シールの作成・配付を行なっており、政府インターネットテレビには、啓発ビデオの動画も公開されています。
 当会でも、情報提供や相談対応のほか、啓発セミナーの開催、啓発用DVD・シールの配布を行っていますが、普及啓発の難しさを実感しています。

  • ※毎日新聞大阪社会福祉事業団・シンシア基金の助成で制作した「補助犬シール」や24時間テレビチャリティー委員会で制作した「補助犬啓発DVD・クイズブック」は、当会のウェブサイトから請求できますので、是非ご活用ください。DVDの動画を視聴することもできます。


 私自身も、補助犬の普及・啓発のために講演活動を行っています。介助犬との生活を始めてから21年になり、講演やシンポジウムなどで介助犬の話しをした回数は約630回、聴講して下さった方の延べ人数は10万人を超えました。
 私の講演対象の内訳を下表に示しましたが、学校での講演、企業や団体の職員研修、一般の講演会など、広い世代の方に聴講していただいています。

表:講演対象の内訳 ※1996年~2017年01月
講演対象小学校中学校高等学校大学
専門学校
企業等の研修など百貨店等でのイベント一般講演
福祉フェア
その他
合計
回数92回26回38回49回43回23回362回633回
延べ人数
(概算)
30,700人12,600人10,300人6,900人5,200人3,200人36,300人105,300人

 補助犬の同伴拒否をなくすためには、すべての世代の皆さんに補助犬法を正しく理解していただく必要がありますが、今回は学校での講演についてお話ししたいと思います。

小学校での講演

 学校では、道徳や総合的な学習の授業で、講演を依頼されることが多いです。
 小学校ではあまり難しい話はできないのですが、後日送って下さる感想文には、

  • • 車いすの生活の大変さが分かった。
  • • 介助犬が、体の不自由な人の役に立っていることがよく分かった。
  • • 障害のある人が困っているところを見かけたら、声をかけてお手伝いしたい。
  • • 介助犬が楽しんで仕事をしていることがわかった。
  • • 介助犬を勝手に触っていけないことがわかった。
  • • シンシアの本を、図書館で借りてきた。
  • • お父さんやお母さんに教えてあげた。

などと書かれていて、小学生なりにきちんと理解してくれています。

 ある時、JRの窓口で新幹線のチケットを購入する際に、次のようなことがありました。
 普段は介助犬のことを伝えても、事務的に対応される方がほとんどなのですが、その方は笑顔でとても優しい対応でした。話を聞くと、小学生の時に、私とシンシアの講演を聞いてくれており、私が「大人になって、働いているお店に介助犬を連れた方が来られたときには、同伴拒否などせずに、優しく受け入れてくださいね」と言ったのを憶えてくれていたそうです。
 レストランや病院などでも同じようなことを経験しましたし、新聞やテレビの取材でお会いした記者さんやアナウンサーさんから「子どもの頃にシンシアちゃんの講演を聞きました。ずっと介助犬の取材をしたいと思っていました」と言われたこともあります。
 子どもの頃に、補助犬について学んだり、補助犬と触れ合った経験のある人は、相手の気持ちを優しく受け入れる姿勢が自然に身につくように思います。
 子どもの頃に学ぶべきことは、補助犬だけでなく他にもたくさんありますが、補助犬は子どもたちが関心を持ちやすく、福祉や障害者の理解にもつながると思います。
 身体障害者補助犬を推進する議員の会や文部科学省には、学校での障害者への理解を深める「心のバリアフリー」を充実させるなかで、学習指導要項へ補助犬に関する内容を盛り込むことをお願いしています。

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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