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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

第164回 再び起こってしまった無念の事故・・・

 すでに報道等でご存知の方が多いかとは思いますが、また、駅のホームから盲導犬ユーザーが転落され、お亡くなりになるという痛ましい事故が起こりました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。土曜日の朝、いつもの通勤利用の駅だったとのこと・・・
 今回の事故の原因に関する情報は、まだ出てきておりませんので、この事故に関して現状では何も言えませんが、今一度、社会の私達が何ができるのか? 考えてみたいと思います。

基本的に駅ホームでは、線路側の端に盲導犬が歩きます。

 報道の中で、同じ駅で転落された経験のある視覚障害者の方のコメントもありました。その方はたまたま電車が来るタイミングではなく、ホームに居た方々の協力で助けられたそうです。
 以前のブログでも書きましたが(第150回「ホームドア設置は、視覚障害者だけを守るため???」)、注目されるので、視覚障害者の転落数にばかり目がいきますが、視覚障害者の転落は全体の約2%にすぎません。現在進められているホームドア設置の促進は「視覚障害者だけを守るため」ではなく、「我々すべての人を守るため」の動きだということを、知っていただきたいです。ですので、あなたの問題でもあります。障害者問題は他人事と思われる感覚がまだまだ根深く残っていますが、社会全体で自分ごと・自分の大切な誰かのこととして考えられるようになっていかなければ、何も変わりません。そして、犠牲が出てからしか動けない、という社会であってはならないと思います。

 改めて知っていただきたいのは、ここ数年、歩きスマホの増加に伴っていると思われる、転落客の増加。そして、10年間で4倍に増えている全体の6割を占める酔客の事故。それらを、社会全体が正しく理解し、それぞれが対処するべきだと感じています。ということで、今日から皆さん、歩きスマホは辞めましょう!

横断歩道でできること・・・

 さて、とはいえ、視覚に障がいがある方が、絶えず危険と隣り合わせの状況で、命がけで社会参加していることに変わりはありません。信号を渡るとき、盲導犬が居ても、色がわかるわけではないので、視覚障害者自身が、周囲の音を聞いて判断して渡っています。音声ガイドがついていない信号の交差点では、是非とも「青になりましたよ」「まだ赤ですよ」の声かけをお願いいたします。

駅ホームでできること・・・

 また、駅のホームは視覚障害にとって、最も危険を伴う場所です。欄干のない橋と表現される方もおられます。もちろん、駅員さんのサポートも大切ですが、やはりそこだけに頼るのは限界があります。周囲の私達が簡単な声かけをし、サポートが必要な場合は、必要なサポートを行い、必要に応じて見守るという行為が、自然にできるような社会を目指したいですね。

いつでも誰でもできること・・・

 私達と同じ社会には、さまざまなサポートを必要としている人たちがいることを知る! そして、自分にもできることがあることを知る! だと思います。

 先日、私の視覚障害のある友人と話している中で、「歩行の崩れがあったときのフォローアップ」の話が出ました。白杖で歩いていても、盲導犬を連れて歩いていても、完璧なロボットのような人間はいないのだから(犬も同様に)完璧に安全な歩行なんてできるわけがない。身体の歪みや日常の癖などもあり、自分ではわからない変化が起こることもある。そうならないように日々努力して、いつも神経を研ぎ澄ましながら、1つ1つの情報をキャッチし、判断して、移動している。逆にそれをしなければ、社会参加ができない。だから、歩行を見直す機会はとても大切。白杖指導歩行員や盲導犬歩行指導員の方々の努力が、本当に有難い・・・。
 そんな中での周囲の声かけは、本当に助かる。でも、あまりに続く時は、少し断ることすら邪魔くさくなることもある。でも、「自分にとってはその日10回目の不要な声かけでも、その人にとっては勇気を振り絞っての最初の声かけかもしれないから、『ありがとうございます』と伝えるのを忘れないように心がけている。」と・・・

 このような気配りや努力をしながら、社会参加されているんだ、ということを皆さんには知っていただきたい! と思いました。

 海外旅行された時に、よく耳にする「May I help you ?」って、とても便利な素敵な言葉だな~♪ と思っています。日本語訳が思い当たらない。海外では、ショッピングしようとお店に入ってきたお客様に対して、店員さんが声かけます。不要なら「No Thank You」って言ってよいのです。笑顔で「ごゆっくり」とスムースで簡潔なコミュニケーションが生まれます。街でお手伝いが必要な方がいらっしゃっても同様の言葉がかけられます。そして「No Thank You」って返事しても、全く嫌な顔1つされません。「じゃ、気をつけてね~」と挨拶して終了です。もちろん、手伝いが必要な時は、サッと手伝ってくださいます。これって、何の違いなのかな~? と。そんな何気ない、簡単なコミュニケーションというか、挨拶? が、日本では難しい…
 確かに、レディーファーストという言葉の通り、女性に対する配慮として「ドアを先に開ける」とか、椅子を引くとか・・・ありますよね♪ もちろん、女性だけでなくさまざまなサポートが必要な方に対してスマートにできることがカッコいいという・・・そんな配慮が自然にできる文化、ステキだな~と思います。

 実は、日本でもないわけではないのです。【江戸しぐさ】という江戸時代の江戸っ子たちが実行していた、粋な大人たちの公共マナーがありました。(第20回「最初の一歩…何かお手伝いしましょうか?」

  • 傘かしげ:雨の日に互いの傘を外側に傾け、濡れないようにすれ違うこと
  • 肩引き:道を歩いて、人とすれ違うとき左肩を路肩に寄せて歩くこと
  • 七三の道:道を歩くのは両端の3割、残りの中央7割は緊急時等のため、他の人のために空けておくこと

 まさに、思いやりの行動。昔から日本にもあったんですね。

 是非皆さんも、今日から、平成の粋な大人を目指してみませんか・・・?

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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