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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第134回 「地域コミュニティを取り戻そう」

 さて、この2回連続で、5/20に開催された「ほじょ犬の日啓発シンポジウム」の報告をさせていただきました。そこで、出てきた重要なキーワード【地域コミュニティ】という言葉、皆さんの地域ではどうでしょうか・・・?

和室での会議中もお利口に待機していられるよ♪

 国土交通省のサイトでも、このように書かれています。
 地域コミュニティは、平常時における定期的な防災訓練の実施、住民の防災意識や災害時に向けた準備の喚起等に大きな役割を果たすとともに、災害時においては、災害発生直後の住民の安否確認、初期救助活動、情報の伝達、避難所の運営、被災した住居を狙った窃盗等を防ぐための住民による見回り等に重要な役割を果たしている。実際に、平成7年の阪神・淡路大震災では、倒壊した家屋等に閉じ込められ救助された人々の多くは、救助隊員等のほか、家族や近所の住民によって救助された。
 しかし、都市部、地方部における地域コミュニティの状況を把握するために行った調査によると、15大都市(注)においては、地域コミュニティはかなり衰退しているとともに、町村部においても、15大都市ほどではないものの、地域コミュニティが衰退している状況にある。(注)東京都区部及び14政令指定市

 私が生まれ育ったのは、京都の西陣にある商店街でした。私の実家も化粧品の小売店を営んでおりましたので、幼稚園・学校から帰ってきたら、母と祖母と一緒にお店番をしていました。1歩外に出ると、隣近所の方だけでなく、商店街中の人が私のことを知っており、年頃になると逆に恥ずかしくなるくらいでした。オシャレしてバスに乗る時も見つかる。それこそ、何歳になっても「あら~、大きくなったね~」といわれる(苦笑)。
 今考えると、地域の大人の目がたくさん在り、お互いが助け合う、そんな温かい地域コミュニティで育ったことは、何て恵まれてたんだろう・・・と思わずにはいられません。

 京都を離れたのが14年前の補助犬法成立の年。初めての東京での1人暮らし。マンションの隣にどんな人が住んでいるかもわからない、近所の方々との交流が無い環境は、最初のうちこそ怖いと感じましたが、だんだんと慣れていってしまいました・・・。(いまだに人ごみを歩くのは苦手ですが…)

 しかし、自分が出産して、子育てを始めた時に、地域との繋がりが必要!と、切実に感じたのを思い出します。区役所主催の出産前講習で知り合った、同じ時期に出産をする妊婦さんたちとの出会いは、今も同じ小学校に通わせる母同士で繋がっています。
 とはいえ、仕事を始めてからは、自宅と保育園と職場の往復で精一杯で、地域との関わりはほとんどない状況でした。

 それが、上の子が小学校に通い始めることで、大きく変わります。通学路に立つ旗持ちパトロールのボランティア、町内会の行事、夏のラジオ体操など、子どもを通じて、地域コミュニティに入れる機会が増えました。そして、何より地域の方々とのコミュニケーションが増えました。それは、何よりも生活に安心と安全をもたらしてくれていると感じます。

 『障害インクルーシブ防災』や『補助犬同行非難』を考えた時に、「日頃からの地域コミュニティーとのつながりが大事」ということを学びましたが、これは、決して“障害のある方”に限った問題ではなく、全ての人にとって、その繋がりは大切なものだと、改めて実体験を通しても感じています。

 なかなか、お1人暮らしだったり、学齢期の子どもさんがおられなかったりすると、地域に関わるチャンスは少ないとは思いますが、まずは自治会に入ってみるとか、地域の掲示板に張り出されているお祭りや催し物を除いてみるとか、自分の地域のことを知るチャンスを作ってみてください。防災訓練はとっても大事! 気の合う方と出会えたり、居場所がそこにあったり、ともするとあなたの助けを必要としている人が居るかもしれません。

 仲良しの介助犬ユーザーさんがいつも講演会等で話されることがあります。「介助犬とともに暮らすことで、地域を知ることができた。地域の人々と交流することができ、地域に戻ることができた」と・・・。補助犬たちは、そんな役割も果たしてくれているのです♪ とっても素敵なことだと思います♪

 そんな補助犬たちを、ぜひ、皆さんのコミュニティでも、当たり前に受入れていただき、そしてともにコミュニティを作る仲間として、迎え入れていただきたいと思います。素敵なコミュニティが増えることを、祈っております・・・♪

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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