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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第127回 よくわかる!補助犬同伴受け入れ方特集!~飲食店編~

 4月からスタートした障害者差別解消法。これは、日本が障害者権利条約に批准するために、どうしても必要だった、私達1人1人の心の準備をするための法律だったのです。2009年の障害者権利条約に締結しようとした国の動きに、ストップをかけたのは、全国の当事者団体でした。まだ、「社会全体の心の準備ができていない!」・・・と。その準備のために作られたのが『障害者差別解消法』だったのです。

 障害者権利条約と聞くと、とても難しく思えますが、「こんな社会を目指しましょう♪」と指し示す北極星のような存在。それを、わかりやすく伝えてくれる絵本があります。是非、みなさんも手にとってご覧になってみてください。条約の大切さ・めざす社会がやさしくわかります♪ カラフルでとても温かみのある木版画と、全ての人に伝わる優しい文章が、読んだ人の心を温かくしてくれます。


僕たちはテーブルのしたで大人しく待機できるんだ♪
だから、心配無用です!

 さて、今回は「飲食店での受け入れ」について、ご紹介いたします。

 飲食店は、補助犬ユーザーさん達が、最も出入りされるであろう場所だと思われます。ですので、残念ながら、同伴拒否の比率が高い場所でもあります。当会が昨年実施した「補助犬使用者の同伴拒否調査」によりますと、過去5年間で同伴拒否をされた方は44%。医療機関の47%に次いで高い数字となってしまいました。

 飲食店で最もよく断り文句として言われるのが、
「保健所の指導で・・・犬は困ります・・・」という理由・・・。
 さて、それは本当なのでしょうか?

 実は、「NO!」です。全くの誤解! なのです。

 飲食店の皆さんは、当然のことながら、食品衛生法に基づいた運営をされています。保健所からも色々な指導を受けておられます。

食品衛生法 第五十条 第2項
 都道府県は、営業(食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第二条第五号 に規定する食鳥処理の事業を除く。)の施設の内外の清潔保持、ねずみ、昆虫等の駆除その他公衆衛生上講ずべき措置に関し、条例で、必要な基準を定めることができる。

 そして、その条例の一例を見てみると・・・

規則第7条
(1)食品等取扱室には、犬、猫等の動物を入れないこと。ただし、(中略)当該調理場以外の部分に、身体障害者補助犬法(平成14年法律第49号)第2条第1項に規定する身体障害者補助犬を入れるときは、この限りでない。

 ときちんと明記してあります。「補助犬を調理場にまで入れろ!」とは言いませんので、ご安心ください。

 自治体等との連携もしておりますが、保健所は逆に「補助犬同伴受入れ」を指導する立場でもあります。保健所からお問合せをいただき、食品衛生管理者研修時に配布する資料のご請求をいただくこともあります。

 とはいえ、受入れたことがない店舗に関しては、不安もおありだと思います。
 補助犬ユーザーさん達は、厚生労働大臣指定の法人で認定試験を受け、「このペアで社会参加しても問題なし」と国のお墨付きをもらっている方々です。認定に至るまでの道のりは長く、最終的に認定試験では、「きちんと衛生管理・行動管理ができるか?」「社会参加するに当たり、マナーを守れるか?」がしっかりと試験されます。
 ですので、認定表示をつけている補助犬たちに関しては、安心して受入れていただいて大丈夫です♪
(ご参考♪→補助犬同伴受入れマニュアル

 ただ、もしかしたら、気になる点もあるかもしれません。例えば、雨の日の入店時、補助犬の足の裏が汚れているかもしれません。それは、他のお客様の足裏も同じこと。それが、盲導犬だった場合、ユーザーである視覚障害者には、その確認ができません。そんな時は、変な遠慮をせずに、ユーザーさんに対して「盲導犬の足裏が汚れているようですので、玄関マットで拭いてからお入りいただけますか? お手伝いできることがありましたらお伝えください。」と声かけをしてください。

 犬用のレインコートを片付ける時に、水やゴミが飛び散らないように配慮したいが、視覚で確認できない場合、そのフォローをしていただけると助かります。

 お手伝いが必要なのは、「ほんの少し」のことなのです。是非、ご理解いただき、気持ちよく、当たり前に利用できると、皆がHAPPYな社会になると思っております。

 次回は、「飲食店での受け入れ その2」について、ご紹介いたします♪

お知らせ

身体障害者補助犬を推進する議員の会
第4回『ほじょ犬の日啓発シンポジウム2016』
防災と補助犬~障害者インクルーシブな防災~

日時:2016年5月20日(金)10:30 ~ 15:00
会場:衆議院議員会館内会議室

  • ◆ 第1部:10:30~12:00
    藤井克徳(ふじい かつのり)(日本障害フォーラム(JDF)幹事会議長)
    「防災と補助犬 ~障害インクルーシブ防災から学ぶ~」
    1万8000人を越える人たちが犠牲になった3.11東日本大震災から5年。国際的な新たな防災の考え方である『障害者インクルーシブな防災』について、日本障害フォーラムの藤井克徳幹事会議長より学びます。
  • ◆ 第2部:13:30~15:00
    山口千津子(公益財団法人日本動物福祉協会 特別顧問・日本補助犬情報センター理事)
    「補助犬同行避難について ~防災の観点から~」
    過去の数々の大災害における犬との同行避難に関して、現場で多くの事例解決に携わってきたエキスパートより、事例紹介とともに、今すぐ始められる防災の備えを中心にお話しいただきます。

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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