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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

著書

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著(中央法規出版)

『よくわかる 補助犬同伴受け入れマニュアル』共著
(中央法規出版)

第119回 補助犬は3種の働く犬たちです!

 先週末のバレンタイン、8歳の娘が、「お友達とチョコを作る♪」と言い出しました。母にとっては、二十数年ぶりの手作りチョコ。友達とキャッキャキャッキャ♪楽しそうにしている娘をよそに、久々のお菓子作りに必死になったのは母のほうでした……(笑) 今はまだ『作って、渡す』という行為を楽しんでいるようでしたが、母にとっても、久々のドキドキのおすそ分け、楽しい週末となりました。

身体障害者補助犬は、盲導犬・介助犬・聴導犬の総称です! あなたのご家族、お友達、みんな知ってますか?

 さて、いまだに、「盲導犬は聞いたことありましたが、介助犬と聴導犬は知りませんでした」とか「聴導犬を初めて知りました」と言われることもしばしば……
 ということで、今回は、改めて3種の補助犬をご紹介します。是非とも、皆さんのご家族やお友達など、1人でも多くの方に、「補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)が社会で活躍してるんだよ♪」と伝えてください。
■補助犬別実働頭数(H28.2.1現在)
  • ・盲導犬:984頭
  • ・介助犬:73頭
  • ・聴導犬:59頭

盲導犬

 ご存知の通り、「目に障がいのある人(視覚障害者)の安全で快適な歩行をサポート」します。
 でも、まだまだ、『犬がナビゲーションして誘導している』ようなイメージをお持ちの方もいるのでは? 残念ながら、犬にナビ機能はありません……。「はい、駅まで行って」と指示しても、誘導はしてくれません。
 では、盲導犬は何を教えてくれるのでしょうか? 実は、教えてくれるのは、次の3つだけなんです!!
  • (1)曲がり角
  • (2)段差
  • (3)障害物

 この3つを伝えることで、視覚障害者は、安全・快適に歩けるようになります。視覚障害者の頭の中の「メンタルマップ」という地図が思い描ける場所では、盲導犬の教えてくれる情報を組み合わせて、単独歩行することができます。
 しかし、残念ながら、その地図が頭の中にない知らない場所であったり、道を間違えてしまった時などは、まったく動くことができなくなります。そんなときには、皆さんの出番です♪「お手伝いできることはありますか?」と一声掛けていただき、サポートしていただけると嬉しいです。

介助犬

 「手足に障がいのある人(肢体不自由者)の日常生活動作をサポート」します。
 例えば、落としたものを拾って渡す、指示した物を取ってくる、歩行の介助、脱衣の補助、ドアや引き出しの開閉、車いすの牽引、起き上がりの介助 etc…
 介助犬のお仕事の特徴は、肢体不自由者の障がいの度合いやニーズが幅広いため、訓練も一人ひとりに合わせるなど、オーダーメード性が高いことです。
 今まで、人に頼まないとできなかったことが、『介助犬に指示をしてできた=自分でできた!』と思える感覚は、その方の自尊心を高め、自律と社会参加の大きなきっかけとなります。
 しかし、介助犬ができることは、手や鼻や口を使う作業であり、生活のすべてで困りごとがなくなるわけではありません。介助犬がいても、人のサポートが必要な場合は、皆さんの出番です♪「お手伝いできることはありますか?」の一言を掛けていただけると、嬉しいです。

聴導犬

 「耳に障がいのある人(聴覚障害者)に必要な音の情報を教えて音源まで誘導」します。
 ここで大切なのは、単に『音』を教えるのではなく、『音の情報』を教えているということです。
 つまり、「玄関でチャイムが鳴る」→「使用者のひざ元をタッチして『音』が鳴っていることを伝える」→「玄関まで誘導する」というところまでできて初めて、『音の情報=誰かが来たことを教える』ことになります。
 玄関のチャイム音のほか、ヤカンの沸騰する音、FAXの着信音、携帯メールの着信音、赤ちゃんの泣き声、車のクラクション、自転車のベル音、非常ベル音なども教えます。
 聴覚障害者は、外見からはわかりません。聴覚障害は、「見えない障害」と言われています。その見えない障害を、「見える障害」に変えてくれる。それが聴導犬のもう一つの大切な役割です。
 とはいえ、聴導犬がいれば、全ての情報を得られるわけではありません。電車内の緊急アナウンスなど、聴導犬が伝えることはできませんので、そんなときは皆さんの出番です♪手話ができなくても大丈夫。口をゆっくり開けて話すとか、メモ帳に書いて伝えるなど、緊急アナウンスが流れていること、そしてその内容を伝えてください。

*  *  *

 このように、障害者をサポートする3種類の犬たちが、私たちと同じ社会で活躍しているんだ♪ということを、1人でも多くの方に、伝えていただけると嬉しいです♪
 今年の4月からは、障害者差別解消法がスタートします……。今後も、「当たり前」について考えていきたいと思います。

ご寄付のお願い「日本補助犬情報センター」より

 当会のビジョンは、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人が安心して活躍できる社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。
 皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

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